スポーツ伝説

9月12日~16日の放送内容

【競歩 山西利和選手】

 今年7月、アメリカ・オレゴン州で開催された陸上世界選手権。男子20キロ競歩に出場した山西選手は、日本人初となる世界選手権連覇を目指していました。前回は、有力選手の1人として臨み初優勝。一躍、世界の第一人者となりました。しかし優勝最右翼といわれた昨年の東京オリンピックでは金メダルに届かず、池田向希選手とのデッドヒートにも敗れ、銅メダルに。この経験から改めて、自分が負けず嫌いだと気づいたという山西選手。再び世界の頂点を目指し、日々の生活から見直します。すると、今年3月の国際大会では、オリンピックで敗れた池田選手を破ってみごと優勝。大きな手応えを掴みました。
 前回王者の証し、名前に赤帯の入ったチャンピオンゼッケンをつけて世界選手権のスタートラインに立った山西選手。レース全体の流れを自分で決定しようと、スタートから飛び出し、スローペースの展開を回避しました。地力があるからこそできる、まさに王者の戦略。小刻みにペースを上げ下げして主導権を握り続けた山西選手は、レース終盤、池田選手とのトップ争いでも冷静さをキープ。残り800mでギアを上げると、最後は両手を突き上げながらフィニッシュテープを切り優勝。日本陸上界初の大会連覇を果たしたのです。競歩での連覇は世界でも史上3人目の快挙でした。

  
 
【競歩 川野将虎選手】

 川野選手は競技歴1年余りで出場した高校2年生のインターハイターハイ5000m競歩で銀メダルを獲得し、一躍注目選手となりました。東洋大学に進学後も、世界で戦いたい、オリンピックに出場したいという強い思いを胸に秘め、競技に励んだ川野選手。2019年10月の全日本50キロ競歩で、それまでの記録を2分22秒も更新する3時間36分45秒の日本新記録で優勝。東京オリンピック内定を勝ち取ります。しかしオリンピック本番ではレース途中に体調を崩し無念の6位。今年1月にも極度の貧血に苦しむなど、体調面での壁にぶつかることが多かった川野選手。それでも、東洋大学時代から指導を受けるコーチの食事指導で徐々に克服しスタミナ練習もスピード練習も十分に準備した上で、初めて7月の世界選手権の舞台に立ったのです。
 オリンピックでは50キロ競歩に挑んだ川野選手でしたが、今年からこの距離が廃止され、35キロの新種目が誕生。その結果、20キロ競歩を主戦場としてきた選手でもエントリーするケースが増え、これまで以上の激戦が予想されました。そんな中、川野選手はスタートから2位集団につき、先頭を追いかける形に。レース前から、勝負はラストの10キロ以降と考えていた川野選手は、計画通り21キロ過ぎで先頭集団に追いつきます。33キロ付近では、東京オリンピック20キロ競歩の金メダリスト、イタリアのマッシモ・スタノ選手と一騎討ちに。最後の最後まで競り合った末、わずか1秒及ばずフィニッシュ。金メダルにはあと一歩届きませんでしたが、世界の大舞台で銀メダルの快挙を成し遂げました。

   
 
【やり投げ 北口榛花選手】

 昨年の東京オリンピックでは、予選1投目から62m超えを記録し、女子やり投げでは日本勢57年ぶりの決勝進出を果たした北口選手。ところが喜びも束の間、予選を終えてから左脇腹に痛みが出て、決勝では自身の持つ日本記録に10m以上及ばない記録しか出せず、決勝12人中12位と悔しい経験も味わいました。この脇腹のケガは回復するまで長引き、3ヵ月近くやりを握れなかった北口選手。それでも、今年6月には日本選手権で2年連続優勝と貫禄を見せます。その1週間後には、今年から参戦した世界最高峰の陸上競技リーグ戦、ダイヤモンドリーグのパリ大会でも好記録を叩き出し、みごと日本人初優勝を果たしました。
 ダイヤモンドリーグ優勝から1ヵ月後、日本選手団女子主将という大役とともに世界選手権に挑んだ北口選手は、予選1投目でいきなりシーズン自己ベストの64m32をマーク。両手を突き上げて2度跳び跳ね、喜びを爆発させました。予選をトップ通過して決勝に進んだ北口選手。中1日で行われた決勝でも、1投目で62m07を投げ暫定2位に。その後、記録を伸ばせず5位で迎えた最終6投目、63m27を投げ再び2位に浮上。その後1人に抜かれたものの、3位に入り銅メダル。オリンピック・世界選手権を通じ、投てき種目で日本女子初のメダル獲得という歴史的快挙を達成しました。
   

  
【1600mリレー 佐藤風雅選手他】

 1人400mずつ、4人で1マイルを走る、男子1600mリレー。日本代表は2004年のアテネオリンピックで4位と、メダルまであと一歩に迫る健闘を見せました。しかしその後は世代交代がうまく行かず、長く低迷が続きます。世界で戦うには、400mを最低でも45秒台で走れる選手が4人必要で、そのタイムを出せる選手がなかなか揃わなくなったのが原因でした。その後、選手個人の力を高める強化策が実り、45秒台の優秀なタイムを出せる若い選手が現れるようになります。7月の世界選手権代表に選ばれたのは、1走が佐藤風雅選手、2走が川端魁人選手、3走がウォルシュ・ジュリアン選手、アンカーが中島佑気ジョセフ選手。“新・マイル侍”は、平均年齢23.5歳という若いチームでした。しかも中島選手以外は全員自己ベストが45秒台。佐藤選手とウォルシュ選手は、今大会個人種目の400mでも準決勝に進出したスピードの持ち主です。
 「リレーでメダルを獲る」を合言葉に、会場のオレゴンに乗り込んだ4人。予選ではアンカーの中島選手が、東京オリンピック銀メダルのジャマイカ、トリニダード・トバゴに競り勝ち2着でゴール。19年ぶりの決勝進出を決めます。翌日の決勝、日本は2走の川端選手が6・7番手で3走のウォルシュ選手にバトンを渡すと猛然とスパート。順位を4番手まで押し上げ、アンカーの中島選手につなぎます。3番手のベルギー選手をはっきりと視界に捉え猛追しましたが、惜しくも届かず。その差は0秒79でした。とはいえ、3分を切るアジア新記録・2分59秒51で、世界選手権過去最高の4位に入賞した日本。来年こそ悲願のメダルを狙います。



【100m サニブラウン・ハキーム選手】

 2015年、陸上世界選手権に16歳で初出場し、男子200mで準決勝進出。さらに18歳で出場した17年大会では決勝へ進み、あのウサイン・ボルト選手が持っていた200m決勝進出の最年少記録を塗り替えるなど、世界を驚かせてきたサニブラウン・ハキーム選手。しかし活躍が期待された昨年の東京オリンピックは、腰痛に苦しみ本来の実力が発揮できず、男子200mでまさかの予選落ちを喫しました。故障が癒えた今年は、種目を100m一本に絞り、並々ならぬ決意で世界選手権に臨んだサニブラウン選手。予選では向かい風0.3mの中、自己ベストに100分の1秒差に迫る9秒98をマーク。自身3度目となる9秒台を記録し、1着で準決勝に駒を進めます。
 迎えた準決勝。サニブラウン選手はいい形でスタートを切りましたが、タイムは10秒05の3着。自動進出の2位以内とはなりませんでしたが上位タイム2人に入り、世界選手権では日本人初の決勝進出を果たします。決勝は第1レーンからのスタート。中盤までは先頭に並んで走っていましたが、後半はアメリカ勢に後れを取り、10秒06の7位でゴール。来年の世界選手権こそメダルを獲り、新たな歴史を作ると宣言しました。



来週のスポーツ伝説は……

9/19(月) バスケ オコエ桃仁花選手
9/20(火) バスケ 赤穂ひまわり選手  
9/21(水) バスケ 髙田真希選手
9/22(木) ゴルフ 勝みなみ選手
9/23(金) ゴルフ 原英莉花選手

お楽しみに!!
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