スポーツ伝説

7月12日~16日の放送内容

【陸上  金井大旺選手】

 今年4月、男子110メートル ハードルで金井選手がマークした日本新記録13秒16は、前回のリオ・オリンピックなら銀メダル相当の好タイムでした。これでオリンピックの参加標準記録をクリア。25歳と次のパリも十分目指せる金井選手ですが、すでに今シーズン限りでの競技引退を表明しています。理由は歯科医を目指すため。金井選手は小学生にして全国区のハードラーとして名を馳せ、進学校として知られる函館ラ・サール高校時代にもアジアジュニア選手権で優勝。ハードルの世界で着実に結果を残しますが、あくまでも第一の夢は歯科医でした。
 高校でトップを極めた後は歯科大学に進学するつもりでしたが、インターハイの結果に納得がいかなかったため、ハードルの名門・法政大学に進学。在学中の2018年に当時の日本新記録をマークし、日本選手権を制しました。そんな金井選手が、競技生活の集大成として位置付けたのが東京オリンピックです。しかもただ出るだけではなく、「決勝に出る」という明確な目標があります。これまで、110メートルハードルでオリンピックの決勝まで進んだ日本人選手はいません。金井選手は、日本陸上界にとっても大きなハードルに挑もうとしているのです。



【ゴルフ  全米女子オープン2021】

 日本中を湧かせた、松山英樹選手のマスターズ制覇の興奮も醒めやらぬうちに、今度は日本の女子選手がまたもや快挙を成し遂げました。6月に行われた女子ゴルフの海外メジャータイトル、全米女子オープン最終日。18ホールを終えた時点で、笹生優花選手と畑岡奈紗選手が、ともに通算4アンダーで首位に並び、日本人選手同士のプレーオフ対決となったのです。プレーオフは、2ホールのトータルスコア方式では決着が付かず、サドンデスに切り替わって3ホール目に突入。ここで畑岡選手がバーディーパットを外したのに対し、笹生選手はしっかりバーディーパットを決めて、見事全米女子オープン初優勝。大会最年少の19歳351日、女子では渋野日向子選手以来、史上3人目のメジャー大会制覇となりました。
 優勝した笹生選手は母親がフィリピン人で、本格的にゴルフをするため、子どもの頃フィリピンに移住。早くから海外での試合を経験し、全米女子オープンはアマチュア時代を含め、今回が3度目の出場でした。一方、敗れた畑岡選手も19歳でアメリカ女子ツアー初優勝を挙げてから、メジャー制覇を目標にアメリカを拠点に活動。目標のメジャータイトルをあと一歩で逃して悔し涙を流しましたが、勝った笹生選手とグリーン上で抱き合い、勝者を讃えました。女子ゴルフの歴史に名前を刻んだ2人。今後も2人の対決は続きます。


 
【サッカー 久保建英選手】

 先月、20歳の誕生日を迎えた久保選手は2011年、10歳の時にスペインの名門・バルセロナの下部組織でプレーするチャンスをつかみました。その後、日本でのプレー期間を経て、18歳でバルセロナのライバルであるレアル・マドリードに入団。スペイン1部リーグ1年目の19年11月、レアルからレンタルで移籍したマジョルカで初ゴールを記録すると、この得点はヨーロッパ4大リーグでの日本人最年少ゴールとなりました。1年目を終えた20年6月、久保選手はヨーロッパでプレーする若手選手を対象とした「ゴールデンボーイ賞」候補100人に選出されました。
 昨年夏、スペイン1部リーグ2年目のシーズンが始まるにあたっては、レアル・マドリードに残って激しいチーム内の競争に挑むか、外のクラブに出て武者修行を続けるのか。その選択も注目されましたが、久保選手が下した決断はスペイン国内でも屈指の強豪、ビジャレアルへのレンタル移籍でした。ただ、それは試練の始まりでもありました。監督の方針などから出場機会を得られず、今年1月には残留争いをするヘタフェに期限付き移籍。スペインでの1年目は35試合に出場し、4ゴール4アシストを記録した久保選手が、2年目は長らくノーゴールが続きました。しかしリーグ戦出場30試合目で待ちに待ったシーズン初ゴール。この得点はヘタフェを残留に導く決勝点ともなりました。



【サッカー 板倉滉選手】
 
 守備的ミッドフィルダーに加えてセンターバックもこなせる万能の守備職人で、オランダリーグでの活躍が話題の板倉選手。186㎝の長身を生かした空中戦での競り合いと、恵まれた体格を生かしたボール奪取力には定評があります。そんな板倉選手の名が広く知れ渡ったのは2019年1月のこと。選手層の厚い川崎フロンターレではレギュラーを奪えず、出場機会を求めてベガルタ仙台にレンタル移籍中だったところに、イングランドのマンチェスター・シティへ完全移籍が発表されたのです。プレミアリーグ王者で、世界最高峰とも称される世界的な名門に日本人が移籍するだけでも大ニュース。しかもそれがA代表の経験もない無名選手とあって騒然となりました。
 イングランドでの労働許可証が取得できなかったため、まずはオランダ1部リーグ・フローニンゲンへ期限付き移籍し、経験を積むことになった板倉選手。リーグの水にも慣れた20年夏からのシーズンで、ついにその真価を発揮します。センターバックとして毎試合安定したパフォーマンスを披露し、オランダリーグの全34試合にフル出場を果たす鉄人ぶりを見せたのです。この活躍ぶりから、クラブの年間最優秀選手に選出され、レンタル移籍3シーズン目にしてキャリア最高のシーズンを過ごしました。



【サッカー 中山雄太選手】 

 東京オリンピックに向けて、代表チームが立ち上がった2017年からリーダーを務めてきたのが中山選手です。中山選手はこれまでも、所属してきたクラブや各年代の代表チームで常にリーダーとしてチームを支えてきました。Jリーグ・柏レイソルのユースチームで頭角を現した中山選手は16年、19歳以下の日本代表チームでアジア選手権初優勝を果たします。この大会は、6試合すべて無失点と守備の安定感が目覚ましく、ディフェンス陣のリーダー・中山選手の守備力とリーダーシップが光りました。続く17年は、20歳以下のワールドカップでゲームキャプテンを務めるなど、全4試合に出場。Jリーグ3年目の若手ながら、センターバックという経験が求められるポジションでレギュラーをつかみ、リーグで最も活躍した若手に贈られる「ベストヤングプレーヤー賞」を受賞したのです。
 19年、中山選手はオランダ1部リーグ、ズウォレに完全移籍。しかし当初はクラブで出場機会が得られず、22歳以下の代表戦でもコロンビアに完敗を喫するなど苦い経験を味わいました。試合後、中山選手の呼びかけで選手だけのミーティングを開催。チームの問題点や目的意識を再確認すると、翌月のジャマイカ代表戦では、中山選手の先制フリーキックなどで日本は大量9得点を挙げ、守備も安定して無失点に抑えるなど、チームの立て直しに成功したのです。



来週のスポーツ伝説は……

7/19(月) 野球 山本由伸投手
7/20(火) 野球 山崎康晃投手  
7/21(水) 野球 菊池涼介選手
7/22(木) 野球 甲斐拓也選手
7/23(金) 野球 山田哲人選手

お楽しみに!!
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