スポーツ伝説

9月20日~24日の放送内容

【スケートボード 西矢椛選手】

 大阪出身の中学2年生が、大偉業をやってのけました。東京オリンピックから新たに採用された新競技・スケートボードのストリート女子で、13歳10カ月の西矢選手が金メダルを獲得したのです。これは日本人のオリンピック最年少金メダル記録で、実況アナウンサーの「13歳、真夏の大冒険」というフレーズとともに注目を浴びました。また、銅メダルを獲得したのは16歳の中山楓奈選手。ふたりは競技の合間も笑顔で交流していたそうです。
 スケートボードの「ストリート」は、街なかの坂や手すりなどを再現した専用コースを滑る種目で、まさに、若者のストリート文化を象徴するスポーツ。オリンピックへの敬意を持ちながらも、あくまでも自然体で競技を楽しみ、軽やかに快挙を達成した若者ふたりの姿は、新時代の到来を予感させるものでした。西矢選手のモットーは「笑顔で楽しく滑りたい」。オリンピック本番では、「前半の滑りは納得のいくものではありませんでしたが、それでも笑顔を絶やさず、周りからの励ましを力に変えていきました。競技後半、一発の大技で勝負する「ベストトリック」で高得点を連発し金メダル獲得につなげたのです。


  
【スケートボード 堀米雄斗選手】

 「世界で一番うまいスケーターになる」小学6年生の時、作文に書いた夢を見事に叶えたのが、東京オリンピック・スケートボード男子ストリートの初代王者・堀米選手です。スケートボードが得意だったタクシー運転手の父の影響で、生後間もない頃から江東区の地元公園でスケボーにふれる日々。小学生になると、同じ公園でスケートボードの技術を磨き、9歳頃には空中で1回転半する大技も成功するなど頭角を現します。
 2016年、堀米選手は17歳で本場・アメリカに拠点を移し、スケートボード漬けの日々を送ります。18年、世界最高峰のストリートリーグで日本人として初優勝。プロリーグで優勝を重ね、ついに昨年、ロサンゼルスに豪邸を建てたのです。庭には、念願の練習場も併設し“アメリカン・ドリーム”を実現させました。今年6月、ついに世界選手権で初優勝して迎えた東京オリンピック本番。上位8人よる決勝戦では、一発の技で競う「ベストトリック」で高得点となる9点台を連発。終わってみれば、2位以下に1点以上の差を付けて金メダル獲得を果たしたのです。


 
【スケートボード 四十住さくら選手】

 すり鉢状のコースで1人45秒間を3回滑り、技の難度やスピードなどで得点を競い合う、スケートボードの種目「パーク」。東京オリンピック予選4位で決勝に進んだのが、世界ランク2位の四十住選手です。予選では難易度の高い技をあえて控え、決勝でインパクトのある技を繰り出す作戦でした。
 そして迎えた決勝。1回目に新たに習得した1回転半する大技「バックサイド540」を2回連続で決め、予選と決勝を通じてただひとり、60点台の高得点60.09をマーク。日本選手権、ジャカルタ・アジア大会、世界選手権と、“初代女王”の栄冠を総なめにしてきた四十住選手は、オリンピックでも初代女王となったのです。また女子パークは、開心那選手が銀メダルを獲得。夏のオリンピックの同じ種目で日本選手が金・銀のメダルを同時に獲得したのは、なんと45年ぶりの快挙でした。



【空手 喜友名諒選手】
 
 沖縄市で生まれた喜友名諒選手が空手を始めたのは、5歳の時でした。早くから世界を目指し、家族がその夢をバックアップします。その甲斐あって、全日本選手権9連覇、世界選手権は3連覇、世界のトップ選手が集まる国際大会・プレミアリーグの通算19回の優勝はギネス世界記録に認定されています。
 東京オリンピックでも予選から圧倒的な強さで勝ち上がり、決勝進出を果たした喜友名選手。決勝での演武は、得意の「オーハンダイ」でした。喜友名選手が繰り出す、技の風切り音、胴着の擦れる音、深い呼吸だけが鳴り響く日本武道館。ぴんっと張り詰めた空気の中、圧倒的な演武で会場を支配し、最後の一礼まで隙のない動きと表情に、王者の風格が漂いました。主審の手が喜友名選手に上がり、喜友名選手は沖縄県出身選手で、初のオリンピック金メダリストとなったのです。



【サーフィン 五十嵐カノア選手】 

 日本人の両親のもと、自身はアメリカ・カリフォルニア州で生まれ育った五十嵐選手。サーフィンは父親の手ほどきで3歳から波に乗り始め、その後ジュニアツアーで腕を磨き、2016年からプロ最高峰のチャンピオンシップツアーに参戦。世界のトップ選手としのぎを削ります。18年シーズンからは、東京オリンピックを見据えて、五十嵐選手は大きな決断をします。選手登録をアメリカから日本に変えたのです。オリンピックの会場である千葉県の釣ヶ崎海岸は、父親がよく通い、自身も幼い頃から日本に来るたび波に乗った思い出の場所でした。
 日本のエースとして、初のオリンピック本番に臨んだ五十嵐選手。技の難易度や独創性が採点されるサーフィンは、自然が相手の競技ゆえ、波の状態をよく見極めたうえで波に乗ることが重要です。台風接近の影響で海は荒れ、難しいコンディションの中で行われた準決勝。波をうまく味方に付けた五十嵐選手は、高く跳ぶ大技「エアリアル」を決め、高得点をマーク。ブラジルのメジナ選手を終盤で逆転し、決勝進出を決めました。その決勝の相手は、19年に世界王者に輝いたブラジルのフェヘイラ選手。序盤、小技を重ねてリードを奪った五十嵐選手でしたが、大技を何度も決めたフェヘイラ選手が逆転。五十嵐選手も逆転を狙いましたが、波に恵まれないままタイムアップ。金メダルを逃した悔しさはありましたが、大舞台で銀メダルを獲得しました。



来週のスポーツ伝説は……

9/27(月) 体 操 橋本大輝選手
9/28(火) ボクシング 入江聖奈選手  
9/29(水) フェンシング 男子エペ団体
9/30(木) レスリング 川井梨紗子・友香子選手
10/1(金) 柔 道 ウルフ・アロン選手

お楽しみに!!
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