スポーツ伝説

9月21日~25日の放送内容

【メジャーリーグ 岩隈久志投手】

 アメリカ時間の8月12日、シアトル・マリナーズの岩隈投手はメジャーリーグ史上291度目のノーヒットノーランを達成しました。この日は、メジャー先発88試合目。ノーヒットノーランに加え、メジャー初完投・初完封というメモリアルデーとなりました。試合後、「5回にトイレに行きたくなった」と話したロイド・マクレンドン監督。実はメジャーリーグには、チームの投手がノーヒットノーランを行っている際、トイレを我慢しなくてはいけないという不文律があるのです。
 今シーズンの開幕前、マリナーズの評判は上々で、ポストシーズン進出は当然。ワールドシリーズ進出も夢ではないとの期待を寄せられていました。ところが投手陣に故障者が続出。岩隈投手も故障で出遅れ、一時はトレード候補に挙げられました。ちょうど今年で契約が切れることもあり、7月31日に期限を迎えるトレード市場の目玉に。しかしオーナー側が反対し、結局残留が決まったという経緯がありました。それでもシーズン後の契約を有利に運ぶには実績が必要であり、このタイミングでノーヒッターとなったことには大きな価値があります。8月18日には、日米通算150勝を達成。コントロールのアーティスト、催眠術師と呼ばれる抜群の制球力を示しています。
 


【プロ野球 中村武志捕手】

 中日ドラゴンズ時代の星野監督の司令塔として活躍した中村捕手。闘将に見いだされ、入団2年目での戦力外候補から、一転して球界を代表するキャッチャーに。レギュラーを獲得した1988年には、星野監督リーグ初優勝の原動力となりました。
 ピッチャーからの信頼は絶大。対戦相手のデータを踏まえ、その日の投手の調子も見極めて臨機応変にピッチングを組み立てます。「中村さんのミットを目がけて投げればいい」と、若手投手。仮に打たれても、常に「自分のリードが悪かった」と責任を。打撃でもチャンスに強いことで定評があり、通算137本塁打を放っています。2001年オフ、横浜から谷繁選手をFAで獲得すると、自らトレードを志願して横浜へ移籍。その後は楽天に移籍しますが、捕手として史上4人目の通算2000試合出場まであと45試合を残して現役を引退しました。
 

 
【プロ野球 中利夫選手】

 中日ドラゴンズで活躍した中選手は、走攻守3拍子揃った、対戦相手からするととても嫌な存在でした。1967年に首位打者に輝き、巨人・王貞治選手の3冠王を阻止。外野手としては、「グラブが届けば絶対にボールを落とさない」と絶賛された、華麗で守備範囲の広い名手でした。55年にプロの道に入ると、開幕直後の4月14日、広島戦で1軍デビュー。初打席ながら、その初球に意表をつくセーフティバントを敢行します。これが大成功となり、プロ初ヒットはノーヒットノーランの不名誉を阻止するダブルメモリアルとなりました。
 中日の本拠地ナゴヤドームには、中選手の使用したグラブが展示されています。そのグラブと共に、シーズン350刺殺のセ・リーグ記録を2度もマーク。打撃においては常に次の塁を狙うのが中選手の特長で、シーズン最多3塁打通算5回は、通算8回の元阪急・福本豊さんに次ぐ、日本プロ野球歴代2位の記録です。打席では低めのボールには体を伸ばし、高めでは縮めることから、ちょうちん打法という呼び名がつきました。
 


【高校野球 清宮幸太郎選手】

 100周年迎えた今年の夏の甲子園。早稲田実業学校の清宮選手は、1年生ながら怪物の異名をほしいままにしました。100年前の1915年、第1回大会、早稲田実業は4強入り。それを「越えなければ」と誓っていた清宮選手ですが、準決勝で仙台育英に完敗しました。甲子園の通算成績は19打数9安打8打点。ただ、史上2人目の1年生で甲子園2本塁打を放つなど大活躍。「悔しさを絶対に忘れないで戻ってきます」と、あえて甲子園の土を持ち帰りませんでした。
 お父さんはラグビートップリーグの名将・清宮克之さん。ラガーマンになることを熱望していましたが、2006年夏の早実と駒大苫小牧の決勝再試合で転機が。斉藤祐樹投手と田中将大投手の激闘を生で観戦したことがきっかけで、野球一本に絞ることを決意しました。克之さんは「野球で一番になれ。できなければラグビーをやれ」と、息子のために一軒家へ転居し、地下に打撃練習用の部屋を作りました。環境を与え、指導まで行ったのです。社会人に匹敵する133キロのスイングスピードは、続けてきた体幹トレーニングの賜物だと言われています。
 


【サッカー 岡崎慎司選手】

 ヨーロッパ各国のサッカーは、2015-16年シーズンがスタート。ドイツ・ブンデスリーガから、イングランド・プレミアリーグへ移籍したレスターシティの岡崎選手は、サッカー誕生の地イングランドでさっそく初ゴールを記録しました。チームは18年ぶりという開幕2連勝。そのヒーローとなった岡崎選手は移籍が決定してから、「チームは無駄な金を使った」と現地メディアから強烈なバッシングを受けていました。しかし結果を残せば手のひらを返すのがイングランド名物。プレミア・リーグでゴールを記録した日本人選手は、引退した稲本選手・中田選手。そして現役の香川選手・吉田選手に次いで5人目です。
 


来週のスポーツ伝説は……

 9月28日(月) 高校野球 オコエ瑠偉選手
 9月29日(火) 高校野球 小笠原慎之助投手
 9月30日(水) プロ野球 金山次郎選手
 10月1日(木) バレーボール 木村沙織選手
 10月2日(金) 陸  上 ウサイン・ボルト選手

                       以上の5選手をご紹介します。
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