【ラグビー 伊藤剛臣選手】
来年9月20日に開幕する、ラグビーワールドカップ日本大会。試合会場は全国12都市。その中で唯一、東日本大震災の被災地で行われるのが岩手県釜石市です。この釜石市と深い縁がある日本ラグビー史が誇るレジェンドが、ワールドカップに2度出場し、“鉄人”と呼ばれた伊藤選手です。法政大学3年の時、大学選手権で活躍。25年ぶりの優勝の立役者になりました。闘志を前面に出したタックルや、ボールを持った時のカニバサミのような独特なステップで相手チームを翻弄。大学卒業後は名門・神戸製鋼に入り、ルーキーイヤーの94年度には、全国社会人大会と日本選手権の7連覇に貢献。また2003年にはじまったトップリーグでは、神戸製鋼の中心選手としてチームを初代王者へ導きました。
日本代表では、99年のワールドカップに、現日本代表ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフらとともに出場。次の03年ワールドカップでは、フランスやスコットランドといった世界の一流国相手に善戦を演じた代表チームの中心選手として活躍。この大会における、桜のジャージを着た日本代表選手たちの奮闘ぶりは、海外メディアから“ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜)”として讃えられ、それが日本代表のニックネームになりました。12年、41歳になった伊藤選手は、世代交代を目指していた神戸製鋼を退団。選んだ道は、新日鐵釜石の流れをくむクラブチーム・釜石シーウェイブスでした。伊藤選手は46歳まで現役を続け、今年1月に引退。神戸製鋼と釜石、日本のラグビー史には欠かすことのできないふたつのチームでプレーし、その誇りを若い世代へと継承していったのです。
【ラグビー 小野澤宏時投手】
2003年に開幕した、社会人ラグビーの最高峰「トップリーグ」。その記念すべき第1号トライを決めた選手は、当時サントリー・サンゴリアスでプレーしていた小野澤選手です。小野澤選手は、相手チームに囲まれてもつかまれてもスルリと抜け出す“うなぎステップ”を武器に、日本屈指のウイングとして活躍。トップリーグ開幕戦で、記念すべき第1号トライを含む4トライに成功すると、その後もコンスタントにトライを決め続け、09年度と10年度はリーグ戦トライ王に輝きました。
12年、34歳でトップリーグ史上初となる個人通算100トライの偉業を達成。トップリーグのベスト・フィフティーンには、フルバックで1度、ウイングで7度も選出されました。07年度にはサントリーの初優勝に貢献。リーグ戦・プレーオフ両方でMVPに輝くなど、日本ラグビー史を語る上で欠かせない選手です。また、日本代表では13年間にわたってプレー。ワールドカップには03年大会から3大会連続で出場し、すべての大会でトライに成功。代表キャップ数81と通算トライ数55は、どちらも歴代2位を数えます。
【大相撲 魁聖一郎関】
3月の大相撲春場所で、初日から負けなしの9連勝。東前頭6枚目ながら、横綱・鶴竜関と優勝争いを演じたのが、魁聖関です。12日目の終了時点で10勝2敗。11勝1敗の鶴竜関を、星一つの差で魁聖関が追う展開になりました。
ここで取組を編成する協会審判部は、「ファンが見たい取組」を優先し、13日目に本来なら関脇・御嶽海関と当たるはずだった鶴竜関と魁聖関の直接対決を組みました。魁聖関にとっては、勝てばトップに並べる大一番でしたが、鶴竜関にはたき込まれ、勝負はあっけなくついてしまいました。これで優勝は絶望的になりましたが、気を取り直して残る2番に連勝。自己最多の12勝を挙げ、みごと6年ぶりの敢闘賞に輝きました。
【大相撲 逸ノ城駿関】
3月の春場所で16場所ぶりの三役・小結に返り咲き、10日目まで8勝2敗。優勝戦線に加わって土俵を沸かせたのが、モンゴル出身の逸ノ城関です。名門・鳥取城北高校への相撲留学を経て、13年に実業団横綱に輝くと、「幕下15枚目格・付け出し」でデビューできる権利を得て14 年初場所で初土俵。そこからわずか4場所、9月の秋場所で新入幕を果たすと、この幕内デビューの場所で、当時大関だった稀勢の里関と、大関・豪栄道関、横綱・鶴竜関を3日続けて撃破。新入幕力士が横綱と2大関を倒したのは、史上初の快挙でした。この場所は13勝2敗。新入幕優勝は惜しくも逃しましたが、殊勲賞と敢闘賞をダブル受賞。逸ノ城旋風が巻き起こり“怪物”の名をほしいままにすると、続く11月の九州場所は、小結を飛び越していきなり関脇に昇進。しかしそこから、減量に失敗して3年ほど足踏みが続きます。
昨年の九州場所では、今年の初場所と2場所連続で10勝。春場所で久々の小結復帰を果たしました。「新入幕の時の勢いが戻ってきた」との声も多く、再びの目覚ましい活躍を大相撲ファンは期待しています。
【大相撲 大奄美元規関】
3月の春場所で、3日目から6連勝を挙げるなど10勝5敗の好成績を収めたのが、鹿児島県・奄美大島出身の大奄美関です。2015年9月に実業団横綱となり、「幕下15枚目格・付け出し」の資格を得て、追手風部屋に入門。16年初場所に、本名の「坂元」で初土俵を踏みました。それから丸1年かけて、17年初場所に十両昇進。「故郷の奄美より大きくなりたい」と、現在の「大奄美」に改名しました。
平成4年生まれの大奄美関は、宇良関や御嶽海関・北勝富士関らと同い年。生まれ年にちなんで“花のヨン組”と呼ばれていますが、大奄美関が新入幕を果たしたのは、昨年の九州場所。同期に大きく先を越されてしまいました。しかし回り道をしながらも、自分のペースで地道にコツコツと番付を上げてきた大奄美関。ここで飛躍し、ライバルたちを一気に追い抜けるのか注目です。
来週のスポーツ伝説は……
5月14日(月) プロ野球 トレイ・ヒルマン監督
5月15日(火) プロ野球 新庄剛志選手
5月16日(水) プロ野球 小笠原道大選手
5月17日(木) プロ野球 フェルナンド・セギノール選手
5月18日(金) プロ野球 武田久投手
お楽しみに!!