スポーツ伝説

5月20日~24日の放送内容

【陸上 戸邉直人選手】

 今年2月、ドイツのカールスルーエで行われた陸上の室内競技会で、男子・走り高跳びの戸邉選手が2m35を跳び、13年ぶりに日本記録を塗り替えて優勝しました。ジャンプ力がものを言う走り高跳びはどうしても大柄で背の高い選手の方が有利なため、小柄な日本人には向かない競技と言われてきました。実際、男子選手は、戦後のオリンピックで入賞すらゼロ。しかし戸邉選手は身長194cmと恵まれた体格を活かし、一躍、東京オリンピックのメダル有力候補となったのです。
 日本記録を更新した後「今後、記録は2m40を目指す」と宣言した戸邉選手。3月に筑波大学大学院で博士の学位を取得し、4月からは日本航空にアスリート社員として入社。9月末からドーハで行われる世界選手権、そして来年の東京オリンピックで日本人初の金メダルを目指します。


   
【マラソン 堀尾謙介選手】

 今年3月に行われた東京マラソン。スタート時の気温は5.7度と、冷たい雨が降る過酷なコンディションで有力選手が次々と失速する中、日本人トップの5位に入ったのは、マラソン初挑戦の中央大学4年・堀尾選手でした。タイムは2時間10分21秒。大学生としては初めて、東京オリンピックの代表選考も兼ねた、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)への出場権を獲得しました。堀尾選手は、今年の箱根駅伝にも中央大学のエースとして華の2区を走り、区間5位と健闘。そんな堀尾選手の長距離への適性を見抜きマラソン転向を勧めたのが、日本人男子で唯一、東京マラソンの優勝経験がある藤原正和監督です。
 大学3年からマラソン強化に着手。箱根駅伝後は1週間の休養をはさんで、1月後半からは10日間、40キロ走も取り入れたキツい練習で追い込み、2月に最終調整を重ねて東京マラソンに臨みました。棄権者も出る悪天候も、堀尾選手を後押しします。大学4年間、東京・日野市の大学の寮の近くにある河川敷を向かい風が吹く中で走り込み、冬の朝は氷点下にもなる過酷な練習環境で悪天候への耐久力を身につけた堀尾選手。逆境を力に、大舞台でみごと結果を出しました。



【マラソン 服部勇馬選手】

 昨年12月の福岡国際マラソンを日本歴代8位の2時間7分27秒で制した服部選手。日本人選手として14年ぶりの優勝で、2位のエチオピアのイエマネ・ツェガエ選手に1分27秒差をつける圧勝でした。ちなみにツェガエ選手は、2015年の世界選手権銀メダルに輝いた実力者です。
服部選手がフルマラソンを走るのは、この福岡国際マラソンが4回目。過去3度は、いずれも35キロ以降で失速しましたが、今回は35キロ以降にギアを上げ、後続に差をつけてゴールイン。圧倒的な練習量で、安定した走りと、最後までペースを落とさず走り切るスタミナを身につけ、栄冠を手にしたのです。


    
【テニス ラファエル・ナダル選手】
 
 テニスの4大大会で唯一、赤土のクレーコートで開催される全仏オープン。昨年の男子決勝は、そのクレーコートを得意とする選手同士の対決となりました。2017年の大会を制し、全仏10度目の優勝という偉業を成し遂げた“クレーキング”こと、ラファエル・ナダル選手。対するは、ツアー優勝10回のうち8大会がクレーコートというドミニク・ティーム選手でした。実は、このふたりには浅からぬ因縁がありました。18年のシーズンが始まってから全仏オープンを迎えるまで、ナダル選手はクレーコートで19勝1敗という圧倒的な成績。その唯一負けた相手というのが、ティーム選手だったのです。全仏で絶対的な強さを発揮するナダル選手を止めるのは、同じくクレーコートが得意な若きティーム選手しかいないと大きな注目を集めました。
 結果は、ゲームと途中で利き手の左手が痙攣に見舞われながらも、ナダル選手がティーム選手を圧倒し、セットカウント3対0のストレートで2年連続11度目の優勝。4大大会で同じ大会を11度も制するという偉業は、60年代から70年代にかけて女子の全豪大会を11度制したマーガレット・スミス・コート選手に続く、史上2人目の快挙でした。

 
 
【テニス モニカ・セレシュ選手】
 
 100年以上の歴史を誇る全仏オープンテニスにおいて、いまなお金字塔として輝く偉大な記録があります。1990年、セレシュ選手が16歳6ヵ月で成し遂げた「全仏オープン最年少優勝」です。セレシュ選手は89年、15歳でプロに転向すると、わずかデビュー2ヵ月でツアー初優勝を達成。その勢いのまま、グランドスラム初出場となったその年の全仏オープンでもいきなり準決勝進出を果たします。準決勝では当時の世界ランク1位・シュテフィ・グラフ選手に善戦しながら、力尽きたセレシュ選手。ただ、無敵の強さを誇った絶対女王を相手に15歳の少女が1セットを奪ったことは、世界中のテニスファンを驚かせました。
 90年、2度目の挑戦となった全仏オープンで、セレシュ選手は代名詞ともいえる両手打ちでの強烈なショットを武器に、決勝へと勝ち上がります。迎えた相手は、1年前に準決勝で敗れたグラフ選手。苦戦が予想される中、絶対女王にストレート勝ちで全仏オープン・最年少優勝を成し遂げたのです。これにより、セレシュ選手は翌年3月、史上最年少の17歳3ヵ月で世界ランキング1位の座を奪取。グラフ選手がずっと保持してきた世界1位の連続記録を186週でストップさせ、女王交代を成し遂げたのです。

        
 
来週のスポーツ伝説は……

  5月27日(月) ラグビー  福岡堅樹選手
  5月28日(火) ラグビー  田村優選手
  5月29日(水) バスケットボール レブロン・ジェームズ選手
  5月30日(木) バスケットボール カリー&デュラント選手
  5月31日(金) サッカー  ガレス・ベイル選手
                       
                        お楽しみに!!
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