【プロ野球 衣笠祥雄選手】
1984年に広島東洋カープに入団し、ちょうど20年目のシーズンを迎えた衣笠祥雄選手。この年、衣笠選手は37歳にもかかわらず打率3割2分9厘、ホームラン31本、102打点を記録。スラッガーの勲章である「3割・30本・100打点」を初めて達成し、カープ4度目のリーグ優勝に大きく貢献しました。
日本シリーズの相手は、1975年の対戦で0勝4敗2分けと惨敗を喫したパ・リーグ王者・阪急ブレーブス。9年ぶりの対戦で、広島は1勝1敗から第3戦・第4戦を連勝し、日本一に王手としますが、第5戦・第6戦を阪急に返され、逆王手を掛けられます。衣笠選手は三番打者として、ここまでホームラン2本を記録。必勝を期してホーム・広島市民球場で行われた第7戦に臨み、 阪急を破って4年ぶり3度目の日本一に輝きました。衣笠選手は20年目にして、レギュラーシーズン・日本シリーズともに最高の結果を残したのです。
【プロ野球 伊東勤選手】
1988年のパ・リーグは、シーズン終盤で近鉄バファローズが連勝につぐ連勝で、首位・西武ライオンズを猛追。シーズン最後のロッテとのダブルヘッダーで、近鉄が2連勝すると逆転優勝という状況にまでもつれ込みます。しかし近鉄はあと一歩のところで優勝を逃し、西武がリーグ4連覇を達成。6年ぶりにセ・リーグ制覇を果たした、中日ドラゴンズとの日本シリーズへと駒を進めました。そんな西武の正捕手として投手陣を支え、守備の要を務めていたのが伊東選手です。日本シリーズ第1戦で渡辺久信投手、第3戦で工藤公康投手を巧みにリード。いずれも勝利投手に導くと、第4戦では森山良二投手の完封勝ちに貢献。伊東選手の冴えたリードで、西武は3勝1敗と日本一に王手を掛けます。
西武球場で行われた中日との日本シリーズ第5戦は、延長戦に突入。11回ウラ、2アウト2塁のチャンスで打席に立ったのは伊東選手でした。中日の守護神・郭源治投手のこの日69球目のストレートを伊東選手のバットが捉え、ライト頭上を越えるサヨナラヒットに。劇的な幕切れで、西武が日本一を勝ち取りました。チームを3年連続日本一に導いたこのサヨナラヒットは、翌1989年から元号が平成に変わったため、結果的に「プロ野球 昭和最後のヒット」となったのです。
【プロ野球 中畑清選手】
平成になって初めてとなる1989年の日本シリーズは、8年ぶりの日本一奪回を目指す巨人と、9年ぶりにパ・リーグ王者となった近鉄バファローズが激突。シリーズ3連敗からの4連勝という大逆転劇で、巨人が日本一に輝きました。そんな伝説の日本シリーズで最後の最後に主役となった人物が、“お祭り男”と呼ばれた中畑選手でした。中畑選手はこの89年、度重なるケガの影響と若手の台頭で出場機会が激減。シーズン終盤に現役引退を表明します。しかしチームはリーグ優勝を果たし、日本シリーズへ進出。最後の大舞台でひと花咲かせて日本一を手土産にユニフォームを脱ごうと、中畑選手は特別な思いで日本シリーズを迎えました。
3勝3敗で迎えた第7戦は、現役最後の戦い。中畑選手はスタンドに、現役生活を支えてくれた夫人を呼んでいました。6回表、主砲の原辰徳選手にツーランホームランが飛び出し、巨人が4点リードしたところで、藤田元司監督は「代打・中畑」を審判に告げます。中畑選手は初球を空振り。しかしこの一振りが“お祭り男”の目を覚ましました。2球目をフルスイングで捉えると、打球は左中間スタンドへ。現役生活の最後を飾る、記念すべきホームランとなったのです。
【プロ野球 岡田幸文選手】
2010年、パ・リーグのクライマックスシリーズで、2位・西武と、リーグ優勝したソフトバンクを相次いで倒した、3位の千葉ロッテマリーンズ。日本シリーズでは、セ・リーグ覇者の中日ドラゴンズと激突。リーグ3位からの下克上日本一を目指すロッテの中で、最後に輝いたのは育成出身の岡田選手でした。入団2年目の10年、岡田選手はロッテでは初めて育成選手から一軍昇格を果たし、チームの快進撃にひと役買いました。その活躍が買われて、この年の日本シリーズでも第2戦から先発メンバーに名を連ねます。
ナゴヤドームで行われた第6戦は延長15回の末に引き分けとなり、ロッテの3勝2敗1分けで迎えた仕切り直しの第7戦。試合はまたしても、延長戦の死闘となりました。延長12回、2アウト2塁のチャンスで打席に立った岡田選手。バットを短く持ち、149キロのストレートをはじき返すと、これが試合を決める決勝タイムリースリーベースとなったのです。この延長戦を制したロッテが、4度目の日本一に輝きました。育成出身のたたき上げ・岡田選手の殊勲打で、みごと“史上最大の下克上”が完成したのです。
【プロ野球 川島慶三選手】
2017年の日本シリーズは、パ・リーグを圧倒的な強さで制したソフトバンクと、セ・リーグ3位からクライマックスシリーズを勝ち上がってきた横浜DeNAベイスターズという組み合わせになりました。このシリーズは、下馬評通りソフトバンクが初戦から3連勝。日本一に王手をかけますが、粘るDeNAはホーム・横浜スタジアムで連勝し、何とか胴上げを阻止。舞台を再び福岡に戻しました。第6戦は延長戦に突入。延長11回ウラ、ソフトバンクは2アウト1・2塁と、一打サヨナラのチャンスを作ります。ここで打席に立ったのが、川島選手でした。
川島選手は9回まで4打数ノーヒット・3三振。まったく当たっていませんでした。しかし工藤公康監督は代打を送らず、そのまま川島選手に勝負を託しました。その思いに燃えた川島選手は149キロの真っ直ぐを振り抜くと、打球は一・二塁間を抜けてライト前へ。二塁ランナーが生還し、史上4度目となるサヨナラ日本一となったのです。
来週のスポーツ伝説は……
11/30(月) プロ野球 佐藤輝明選手
12/1(火) プロ野球 伊藤大海投手
12/2(水) プロ野球 渡部健人選手
12/3(木) プロ野球 高橋宏斗投手
12/4(金) プロ野球 山下舜平大投手
お楽しみに!!