【プロ野球 佐々木朗希投手】
2年目の昨シーズン、5月に待望のプロ初登板を果たし、続く2試合目でプロ初勝利を挙げた千葉ロッテマリーンズ・佐々木投手。ただし、デビュー戦から8月までに投げた7試合は最長が6回まで。ほとんどの試合が5回で降板と、やや物足りなさがあったことも否めません。しかしチームの優勝がかかった9月以降、佐々木投手は怪物ぶりを発揮します。9月10日の東北楽天戦では、田中将大投手と互角に渡り合い、自己最長の8回を投げ抜いて2安打2失点。白星こそ付きませんでしたが、9回裏にサヨナラホームランが飛び出しチームの劇的勝利を演出しました。さらに10月14日、優勝を争うオリックスとの直接対決は、同学年のライバル・宮城大弥投手とプロ入り後初めて投げ合いました。佐々木投手は6回を投げて5安打8奪三振、無失点に抑え3勝目。ロッテに優勝マジックを点灯させたのです。
勝負の10月には3試合に先発し、19イニングで27奪三振を記録。この間の自責点はわずか1点と“令和の怪物”がついにベールを脱ぎました。優勝は逃しましたが、シーズン2位で迎えた11月のクライマックスシリーズ。佐々木投手は、楽天とのファーストステージ第1戦に登板して10奪三振。6回を投げて1失点と、サヨナラ勝ちを呼ぶ好投を見せました。昨年は11試合に登板し3勝2敗でしたが、今年こそはエースと呼べる存在へ。“令和の怪物”の本領発揮は、いよいよこれからです。
【プロ野球 奥川恭伸投手】
プロ2年目の昨シーズン、4月に待望のプロ初勝利を挙げた東京ヤクルトスワローズ・奥川投手。後半戦の初戦で先発を任されるなど、スワローズのエース格へと飛躍し、間隔を空けながらもチームトップタイの9勝を挙げて優勝に貢献しました。中でも、勝負所の9月から10月初旬にかけて4連勝を記録します。その最初の試合、9月7日の甲子園球場での阪神戦では、7回を投げて2安打無四球。二塁も踏ませないピッチングで6勝目を挙げました。この白星で阪神から初勝利を挙げた奥川投手は、セ・リーグ5球団からの勝利も達成。高卒2年目以内のピッチャーが6勝を挙げたのは、五十嵐亮太投手以来チーム22年ぶりの快挙でした。
奥川投手の魅力は、制球力に優れ、フォアボールをほとんど出さないことです。9勝目を挙げた10月8日の試合途中で8試合ぶりにフォアボールを許すまで、54イニング以上連続無四球を記録しました。この抜群の安定感を買われ、神宮球場で行われた巨人とのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ初戦の先発を託された奥川投手。期待に応えて、巨人打線を6安打9三振、無四球に抑え、わずか98球でプロ初完投・初完封勝利を挙げたのです。奥川投手は、これまで最長7回までしか投げたことがありませんでしたが、大一番で初めて9回を投げきりクライマックスシリーズ最年少完封勝利も達成。3年目の今年は、チームを支えるエースとして、さらなる高みを目指します。
【プロ野球 宮城大弥投手】
高卒2年目の昨シーズン、開幕から先発ローテーション入りしたオリックスバファローズの若きサウスポー・宮城投手。プロ1年目はわずか1勝だけでしたが、中嶋聡監督は、キレのある直球に変化球を織り交ぜ、緩急をつけてバッターを打ち取る落ち着いたマウンドさばきに注目したのです。宮城投手も期待に応えて勝ち続け、5月にはDeNAとの交流戦で開幕から負けなしの5連勝。10代の左ピッチャーが開幕5連勝を記録したのは、バファローズのOBでもある近鉄・鈴木啓示投手以来、実に54年ぶりの快挙でした。
次の試合で連勝は止まり、「勝つまでは切らない」と伸ばしていた長髪をいきなり五厘刈りに。気分を変えると、そこから6連勝。両リーグ最速で2ケタ勝利を挙げ、8月21日の時点で11勝1敗。一人で貯金を10も作り、オリックスが優勝争いをする原動力となりました。ところが11勝目を挙げてからは足踏みが続き、優勝争いが佳境に入った9月は3試合に登板して0勝2敗。チームも調子を落とし、9月上旬に首位から陥落してしまいます。「少し考えすぎて、ネガティブ思考になってしまった」と言う宮城投手。ポジティブな気持ちを思い出し、10月1日、本拠地・京セラドームでのソフトバンク戦では7回を1失点、自責点0に抑え、5試合ぶりの12勝目を挙げたのです。チームもこの勝利で、首位を奪還。宮城投手は13勝4敗でシーズンを終え、パ・リーグ新人王に選ばれました。
【プロ野球 紅林弘太郎選手】
2019年のドラフトでオリックスバファローズの2位指名を受け、静岡の駿河総合高校から入団した紅林選手。目標とする選手として挙げたのが、巨人・坂本勇人選手でした。守備の負担が大きいショートを守りながら長打も打てる坂本選手に、小学生の頃から憧れていたといいます。「僕は坂本さんみたいになるのではなく、坂本さんを超える選手にならなきゃいけない」と、志高く宣言しました。そんな紅林選手のパワーと潜在能力を、入団当時二軍監督だった中嶋聡監督はファームでしっかり見極めていました。一軍監督代行に就任した20年、シーズン終盤に紅林選手を一軍に昇格させると、プロ初打席で初ヒットを放つなど勝負強さを見せます。
そして21年3月の開幕戦。正式に一軍の指揮官となった中嶋監督は、19歳の紅林選手をショートとして先発で起用したのです。その期待に応え、開幕3戦目にプロ初ホームランを放ってみせた紅林選手。レギュラーの座は渡さない、と宣言するかのような一発でした。紅林選手は昨シーズン、リーグ最多の17個のエラーを記録しましたが、それも勉強のうちと中嶋監督はレギュラーで使い続けます。すると、じきにピッチャーを助けるファインプレーも見せるようになっていきました。また、主砲・吉田正尚選手がシーズン終盤に故障で離脱すると、代役で3番に座り大活躍。10月5日には日本ハム戦で10号ホームランを放ち、球団史上初となる「10代でのふたケタホームラン」を記録しました。
【プロ野球 及川雅喜投手】
スリークォーター気味の角度から繰り出す150キロ超えのストレートとキレのあるスライダーを武器に、昨シーズン、リリーフで存在感を見せた阪神タイガース・及川投手。9月26日の巨人戦では、リードした7回に登板。11球のうち10球でストレート勝負を挑んで抑えるなど、強気な一面も持ち合わせています。及川投手は名門・横浜高校で甲子園に3度出場し、チームメイトの西純矢投手、ヤクルト奥川恭伸投手、ロッテ佐々木朗希投手らと共に、“高校ビッグ4”と呼ばれた逸材。昨年5月プロ初登板を果たすと、2試合目で1回3分の2を無失点に抑え、記念すべきプロ初勝利を飾っています。
順調なスタートを切ったかに見えた及川投手ですが、苦い経験もしています。初めて勝ちパターンで起用された6月26日の横浜DeNA戦、1点リードの7回に逆転2ランを浴びてプロ初黒星。それでも4日後のヤクルト戦に雪辱の機会をもらうと、今度は同点の7回1アウト2塁の場面で登板し、青木宣親選手・山田哲人選手をシャットアウト。完璧な火消しでプロ初ホールドを挙げたのです。これ以降、“7回の男”として存在感を高めた及川投手は39試合に登板。2勝3敗10ホールドと結果を残しました。
来週のスポーツ伝説は……
1/31(月) カーリング ロコ・ソラーレ
2/1(火) フィギュア 鍵山優真選手
2/2(水) フィギュア 宇野昌磨選手
2/3(木) フィギュア 坂本花織選手
2/4(金) スピードスケート 菊池悠希・純礼選手
お楽しみに!!