スポーツ伝説

11月6日~10日の放送内容

【野球 多和田真三郎投手】

 今年で48回を数える明治神宮野球大会は、毎年11月に神宮球場で行われる秋の風物詩で、「大学の部」と「高校の部」がそれぞれ開催されます。「高校の部」は、全国各地区の秋季大会を勝ち抜いた10校が出場。高校野球の全国大会といえば、春のセンバツと、夏の選手権大会が有名ですが、明治神宮野球大会も“もうひとつの日本一決定戦”として、野球ファンの間では注目されています。一方、大学の部は、全国の大学野球・秋季リーグの優勝チーム11大学が参加。春の全日本大学野球選手権大会と合わせ、大学野球の2大全国大会と呼ばれています。特に地方リーグの大学にとっては、全国の野球ファン、そしてプロのスカウトに顔と名前、プレースタイルを覚えてもらう絶好のチャンスです。
 そんな地方大学の選手で、近年、目覚ましい活躍を見せたプレーヤーといえば、2012年の大会でノーヒットノーランを演じた富士大学の1年生ピッチャー・多和田投手です。この活躍で一躍、プロのスカウトたちからドラフト1位候補として注目を集めるようになった多和田投手は、2015年のドラフト1位で西武に入団。1年目が7勝。2年目の今シーズンは5勝と、数字こそ落としましたが、24歳以下の侍ジャパン入りを果たすなど、更なるステップアップを見せています。


 
【野球 田中将大投手】

 日本人投手として、メジャー史上初の4年連続2ケタ勝利を記録するなど、今やメジャーリーグの名門 ニューヨーク・ヤンキースを支える柱となった田中投手。そんな田中投手が初めて全国の舞台に出場したのは、高校1年の秋、2004年11月に行われた明治神宮野球大会でした。この年、夏の甲子園で、北海道勢初優勝を果たした駒大苫小牧。1年生だった田中投手は、その栄光をアルプススタンドで応援する立場でしたが、夏が終わって新チームに移行すると、見事にレギュラーの座を獲得。ただし、背番号は2番。ピッチャーではなく、正捕手という立場でした。
 「キャッチャー田中」から「ピッチャー田中」へと変貌を遂げるきっかけになったのが、04年の明治神宮野球大会。大会2回戦、東北代表の羽黒高校との試合で、背番号2の田中投手が先発のマウンドに立ったのです。6回を投げて10安打4失点。7回からはキャッチャーとしてマスクをかぶり、試合に出続けましたが、チームは敗れ、負け投手になってしまいました。翌年、田中投手は2年生ながら実質、駒大苫小牧のエースとなり、57年ぶりとなる夏の甲子園連覇に大きく貢献。秋の国体も制すると、2度目の出場となった明治神宮野球大会でも圧巻のピッチングを見せ、駒大苫小牧に悲願の初優勝をもたらします。夏の甲子園・秋の国体・明治神宮野球大会という3つのタイトルを同じ年に獲得したのは、史上初の快挙でした。


   
【サッカー 川口能活選手・伊東輝悦選手】
 
 来年6月に開幕する、サッカー・ロシアワールドカップ。6大会連続出場を勝ち取った日本代表は、10日にブラジルとの強化試合を行います。A代表では過去に、ブラジルと11試合を行い、戦績は0勝9敗2分。ただしA代表以外の試合では、過去にたった一度だけブラジルを倒したことがありました。サッカーファンの間で伝説として語り継がれる、1996年 アトランタオリンピックでの奇跡の勝利です。試合会場にちなんで“マイアミの奇跡”と呼ばれるこの試合で、オーバーエイジの選手を使わず、23歳以下のメンバーだけで臨んだ日本は、A代表メンバーも出場した優勝候補ブラジルを1対0で撃破。世界中のメディアが“世紀の番狂わせ”と大きく報じました。
 その攻守の立役者が、決勝ゴールを決めた伊東選手と、ゴールキーパーの川口選手です。ブラジルを徹底研究した日本は、ゴールキーパーとセンターバックの連携に弱点があると分析。後半27分、そのディフェンスラインとゴールキーパーの間のスペースを目掛け、クロスボールを放り込みます。すると狙い通り、相手キーパーとディフェンダーが激突。こぼれたボールを伊東選手が押し込み、みごと先制点をあげたのです。この1点を、何度もスーパーセーブで守りきったのが川口選手でした。ブラジルがほとんどの時間帯でボールを支配し、打ったシュート数は日本の4本に対して、ブラジルは28本。その強烈なシュートを何度も何度もゴールマウスから弾き出した川口選手は、世界中のサッカーファンから賞賛を集めました。
 
  
   
【大相撲 朝乃山英樹関】

 9月の大相撲秋場所で、新入幕ながら、終盤まで優勝争いに加わって10勝を挙げ、敢闘賞に輝いた朝乃山関。近畿大学の相撲部で活躍し、高砂部屋に入門すると、昨年3月の春場所に本名の「石橋」のまま、三段目最下位格付け出しでデビュー。6場所連続で勝ち越し、今年の春場所で十両に昇進。シコ名を「朝乃山」に改名し、十両もわずか3場所で通過。秋場所で新入幕を果たしました。高砂部屋にとっては、2015年 九州場所の朝赤龍関以来、2年ぶりの幕内力士です。
 秋場所の番付は、東前頭16枚目。東の番付のいちばん下の、いわゆる“幕尻”だった朝乃山関。99年ぶりに3横綱・2大関が休場し、盛り上がりに欠ける場所と言われる中、朝乃山関は13日目の時点で9勝4敗。トップにいた大関・豪栄道関と星1つの差で、新入幕の力士が優勝戦線に残ったのです。結局14日目に敗れ、103年ぶりの新入幕力士の優勝は実現しませんでした。しかし最後まで場所を盛り上げ、ふたケタ勝利を挙げたことを評価され、敢闘賞を受賞。デビュー以来、10場所連続勝ち越しも達成しました。
   
  
   
【大相撲 大翔丸翔伍関】

 先場所、幕内10場所目にして、自身初の2ケタ勝利を挙げた大翔丸関。高校時代の1年上の先輩は、同じ追手風部屋の兄弟子・遠藤関でした。先輩・後輩として共に戦った遠藤関と大翔丸関の縁は、その後も続きます。遠藤関が入学した日本大学に、1年遅れて大翔丸関も入学。遠藤関は在学中、全日本相撲選手権で優勝してアマ横綱になりますが、大翔丸関も同じく、在学中に優勝しアマ横綱に。先に幕下付け出しでデビューした遠藤関を追う形で2014年、大翔丸関も同じ追手風部屋に入門。大翔丸関は、高校・大学・プロと、すべて先輩の遠藤関と同じコースをたどってきたのです。
 先場所の3日目にも、二人の縁を感じるシーンがありました。遠藤関が勝って土俵下に残り、大翔丸関に力水をつけたのです。兄弟子からパワーをもらった大翔丸関も勝ち、今度は同門の大栄翔関に力水を。すると大栄翔関も勝って、追手風部屋の力士が3連勝したのです。この“同門の力士の力水リレー”のお陰か、、先場所は3力士とも勝ち越し。大翔丸関と遠藤関は、共に10勝5敗とふたケタ勝利を挙げました。遠藤関と共に番付が上がる今場所、追手風部屋の先輩・後輩の活躍に期待です。


         
来週のスポーツ伝説は……

  11月13日(月) サッカー 鈴木隆行選手
  11月14日(火) 野  球 稲葉篤紀監督
  11月15日(水) 野  球 宣銅烈監督
  11月16日(木) スキージャンプ 伊藤有希選手
  11月17日(金) スキージャンプ 伊東大貴選手
            
                       お楽しみに!!
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