【プロ野球 高橋奎二投手】
東京ヤクルトスワローズ・高橋投手の名が最初に全国に知れ渡ったのは、2014年春のセンバツでのことでした。高橋投手は、京都の名門・龍谷大平安高校の2年生エースとして出場。注目を浴びたのは、その独特な投球フォームです。右足を高く上げてから投げ込むスタイルは、メジャーリーグの300勝ピッチャー、ノーラン・ライアン投手に似ていることから、“左のライアン”と呼ばれました。この大会では、4試合23イニング以上を投げて、失点はわずかに4。大会を通して安定した投球をみせ、チームをセンバツ初優勝へと導きました。
15年のドラフト3位でヤクルトに入団。一軍にはなかなか定着できませんでしたが、プロ6年目の昨シーズンついにその才能が開花。登板間隔を空けながらも、防御率2点台と安定した投球で、4勝1敗と初めて勝ち越し。特にリーグ優勝のかかった試合では、中継ぎで好投して勝利投手になるなど、6年ぶりのリーグ制覇にも貢献しました。オリックス・バファローズとの日本シリーズでは、第2戦でプロ初完投・初完封勝利。高橋投手がオリックスの勢いを止めたことで、ヤクルトに勢いが生まれ、第3戦・第4戦も制し3連勝、一気に王手をかけ、20年ぶりの日本一に繋がったのです。高橋投手は日本シリーズ優秀選手賞を受賞。今シーズンは、スワローズの左のエースを目指します。
【プロ野球 坂倉将吾選手】
広島カープ・坂倉選手は、高校野球の名門、東京の日大三高出身。左打ちのキャッチャーで、バッティングだけでなく、リード面や試合の流れを読む観察眼でも高い評価を得ていました。カープのベテランスカウトが40 年スカウトをやってきて、こんな高校生キャッチャーは初めてと絶賛したほどです。実際、プロ1年目の2017年から大器の片鱗を見せた坂倉選手。シーズン終盤に1軍デビューを果たし、プロ初ヒット・初打点を記録。高卒の新人キャッチャーが1年目にヒットを放ったのは、鉄人・衣笠祥雄選手以来、球団2人目のことでした。この年、ファーム日本選手権で決勝スリーランを放ちMVPを獲得。広島の2軍を初の日本一へと導きました。その後は1軍での出場機会を得るため、さまざまなポジションを経験しましたが、チームが期待するのはあくまで“打てるキャッチャー”。20年のオフに引退した名捕手・石原慶幸選手の背番号「31」を受け継ぎます。
21年シーズン、坂倉選手はキャッチャーだけでなくファーストも務めると、出場機会が大幅にアップします。8月末にはプロ入り初の1試合2ホーマーを放つなど打撃も好調。打順も、4番・鈴木誠也選手に続く5番に固定されました。9月7日、坂倉選手は本拠地・マツダスタジアムでの中日戦で逆転サヨナラスリーランを放ちます。人生初というこの逆転サヨナラアーチで、坂倉選手は規定打席に到達。しかもセ・リーグの首位打者に躍り出たのです。最終的に、首位打者の座は鈴木誠也選手に譲ったものの、打率3割1分5厘は堂々のリーグ2位。リーグを代表する左バッターの仲間入りを果たしました。
【プロ野球 砂川リチャード オブライエン選手】
沖縄尚学高校から、2017年の育成ドラフト3位で福岡ソフトバンクホークスに入団したリチャード選手。プロ3年目の2020年に支配下登録を勝ち取り、昨年ついに一軍デビュー。着実に歩みを進めてきた背景には、3人のホームラン王の指導がありました。1人は、埼玉西武ライオンズの主砲、山川穂高選手です。同じ沖縄出身という縁で、プロ2年目の自主トレから山川道場に入門しました。ホームラン王を2度獲得したスラッガーの技術の高さ、そしてプロ意識の高さに間近で触れたことで、リチャード選手はスラッガーとしての能力を発揮していきます。20年、二軍でホームラン12本、47打点の好成績を収め、ウエスタンリーグでホームラン・打点の2冠王に輝きました。さらにこの年のオフ、ホークスOBの元ホームラン王・小久保裕紀氏がヘッドコーチに就任。注目の選手としてリチャード選手の名を挙げます。早速21年の春季キャンプでは1日1000スイングのノルマを課し、リチャード選手を鍛え上げました。
リチャード選手を導いたもう1人のホームラン王は、“世界の王”こと王貞治ホークス球団会長です。まだ育成選手だった頃から、王会長はキャンプでリチャード選手に直接指導。昨年9月、リチャード選手は念願の1軍デビューを果たすと、9月5日のオリックス戦最初の打席でプロ初打点をマーク。1点ビハインドで迎えた第2打席、1アウト満塁の場面で放った打球は、左中間スタンド中段まで届く逆転のグランドスラムに。満塁アーチのプロ初ホームランは、パ・リーグ40人目の快挙です。さらに7回にはソロホームランを放ち、1試合2発・6打点の大爆発。昨シーズンは一軍出場34試合で、7本のホームランを記録したリチャード選手。今シーズンは王会長とホームラン40本の約束を交わし期待の大砲が覚醒を目指すシーズンが、いよいよ始まります。
【プロ野球 吉田凌投手】
オリックス・バファローズ・吉田投手は、2015年、東海大相模高校3年生の時に、夏の甲子園で優勝を経験。その年のドラフト5位でオリックスに入団します。しかしプロ入り後は一軍の壁が破れず、4年目まで一軍登板はわずか5試合だけ。そんな吉田投手は、二軍のコーチからシュートの習得を提案されます。元々右打者相手に右腕から繰り出される、外に逃げるスライダーは一級品でしたが内角を攻める武器がなかった吉田投手。シュート習得で左右の投球幅が広がったことで、5年目の2020年8月、福岡ソフトバンク戦で待望のプロ初勝利を挙げました。この年、中継ぎで35試合に登板し、2勝2敗7ホールド、防御率2.17をマーク。一軍定着への足掛かりをつかみます。
続く21年は肩の不調で出遅れましたが、後半戦から中継ぎで18試合に登板し、防御率2.12と安定したピッチングを披露。オリックスの25年ぶりのリーグ優勝に貢献しました。吉田投手は大事な場面ほど燃えるタイプ。その勝負度胸を買われ、千葉ロッテマリーンズとのクライマックスシリーズファイナルステージでは、第2戦・第3戦の勝負所7回を無失点に抑えます。さらに東京ヤクルトスワローズとの日本シリーズでは、6試合中5試合に登板。今年は勝利の方程式の中継ぎエースを目指します。
【プロ野球 山﨑颯一郎投手】
福井県の敦賀気比高校から、2016年のドラフト6位でオリックス・バファローズに入団した山崎投手。与えられた背番号63番は、かつてのエース・西勇輝投手が若手時代に背負っていた出世番号とあって、チームの期待が伺えます。ところが3年目の19年に右ヒジを痛め、トミー・ジョン手術を受けることに。いったん育成選手となりましたが、20年のオフに支配下選手に復帰します。そして5年目の昨年は、5月の福岡ソフトバンク戦で待望の一軍デビュー。大量リードされた場面での登板でしたが、1イニングを無失点に抑えました。中嶋聡監督はここから、山崎投手を大抜擢していきます。
昨年7月、2度目の一軍登板となった楽天戦から、山崎投手は先発投手に抜擢。好投しながら、なかなか白星が付きませんでしたが、9月29日の千葉ロッテ戦で5回3分の2を2失点に抑え、6度目の先発でみごとプロ初勝利。優勝を争っていた相手だけに、価値ある1勝でした。その後もロッテとのデッドヒートは続き、10月15日の北海道日本ハム戦。この時オリックスは首位でしたが、チームは3連敗中で、2位のロッテに優勝マジックが点灯した状態でした。この絶対に負けられない試合を託された山崎投手は、6回をわずか2安打無失点に抑える好投で、チームの連敗を止める2勝目を挙げたのです。昨年は、東京ヤクルトとの日本シリーズ第4戦にも先発。白星こそ付きませんでしたが、5回を4安打1失点の好投を見せました。今シーズンは更なる飛躍を目指します。
来週のスポーツ伝説は……
3/28(月) カーリング女子 ロコ・ソラーレ
3/29(火) スキージャンプ 小林陵侑選手
3/30(水) スピードスケート 高木美帆選手
3/31(木) ノルディック複合 渡部暁斗選手
4/1(金) スピードスケート 森重航選手
お楽しみに!!