【プロ野球 新井貴浩選手】
地元・広島市出身の新井選手は当初、ドラフトの指名リストにも入っていませんでした。しかし大学の先輩で、広島の主力選手だった野村謙二郎選手が球団に獲得を進言し、1998年ドラフト6位で入団。広島ならではの厳しい練習で徐々に才能を開花させ、2005年に43ホーマーを放ち、ホームラン王のタイトルを獲得。カープの主砲として活躍しました。07年オフには阪神タイガースへFA移籍しますが、思うような活躍ができず、出場機会を求めて14年オフに自由契約を選択。そんな新井選手に救いの手を差し伸べたのは、右の長距離砲を探していた古巣・広島でした。
背中を押してくれたのは、当時メジャーリーグにいた元カープのエース・黒田博樹投手。新井選手が復帰したことが一つのきっかけとなり、黒田投手も広島への復帰を決意。古巣に戻った2人のベテランが、投打の両輪となってチームを引っ張り、復帰2年目の16年、 広島は25年ぶりのリーグ優勝を果たします。新井選手は、打率.300、ホームラン19本、101打点の活躍でセ・リーグMVPに輝きました。そして広島が球団史上初の3連覇に突き進んでいた今年9月、若手の台頭とファンを喜ばせるプレーができなくなったことを理由に、新井選手は現役引退を表明。福岡ソフトバンクホークスとの日本シリーズ・第6戦に代打で出場し、ショートゴロに倒れたのが現役最後の打席になりました。
【プロ野球 浅尾拓也投手】
9月下旬にナゴヤドームで会見を開き、今シーズン限りの現役引退を表明した中日ドラゴンズ・浅尾投手。守護神・岩瀬仁紀投手につなぐセットアッパーを務め、2010年は、日本新記録の 59ホールドポイントを挙げました。翌11年も52ホールドポイントをマーク、2年連続で最優秀中継ぎ投手に輝き、球団史上初となるセ・リーグ連覇にも貢献しました。
特に11年の優勝では胴上げ投手となり、中継ぎ投手では史上初のシーズンMVPに輝くなど、落合博満監督が掲げた「僅差で守り勝つ野球」には欠かせないピッチャーだった浅尾投手。しかし13年以降は右肩痛やヒジの不調に悩まされ、自慢の速球もだんだん投げられなくなっていきました。今シーズンも登板機会はわずかにとどまり、ついに現役引退を決意したのです。
【プロ野球 岡田幸文選手】
今シーズン限りで現役生活に別れを告げた千葉ロッテマリーンズの岡田選手は、2008年の育成ドラフト6位でロッテに入団。2年目の10年には、育成ドラフト出身で球団初の一軍昇格を果たしました。50m走5秒台の俊足を生かした華麗な守備でヒット性の当たりを次々とつかみ捕り、「残念! そこは岡田だ」という言葉も生まれたほど。その広すぎる守備範囲は、背番号66にちなんで“エリア66”と呼ばれました。11年・12年には2年連続でゴールデングラブ賞を獲得し、守備職人ぶりを発揮しました。
すごすぎる外野守備の一方で、2014年7月には「初打席から1771打席連続ホームランなし」というプロ野球新記録を樹立。その後もホームランが出ることはないまま、ついに今年10月8日に引退試合を迎えます。また昨シーズンは打撃不振から、野手として59打席ヒットゼロというプロ野球ワースト記録も更新。しかしここから、岡田選手は最後の意地を見せました。第3打席で60打席ぶりのヒットを放つと、そこから3打席連続ヒット。引退試合で猛打賞の活躍を見せ、有終の美を飾ったのです。
【プロ野球 本多雄一選手】
福岡ソフトバンクホークス一筋13年。“ポンちゃん”の愛称でファンからも親しまれた、タカの生え抜き戦士・本多選手が今シーズン限りで現役生活に別れを告げました。小柄な体ではありましたが、50m走5秒台の俊足と強肩、粘り強いバッティングを評価され、2005年、大卒・社会人ドラフト5巡目でソフトバンクに入団。最大の売りは、俊足を生かした走塁技術です。
セカンドでレギュラーの座をつかんだ2年目の07年には、リーグ2位の34盗塁をマーク。10年には初めて全試合出場を果たし、59盗塁で初の盗塁王に輝きます。翌11年も全試合に出場して、2年連続盗塁王となる60盗塁を記録。2000年以降、パ・リーグで60盗塁以上をマークしたのは本多選手だけです。自慢の足は最後まで衰えることなく、現役13年間で奪った盗塁の数は342個。来シーズンからはソフトバンクの1軍内野守備走塁コーチに就任します。
【プロ野球 大隣憲司投手】
WBC日本代表にも選ばれ、球界のエースになると期待された千葉ロッテマリーンズの大隣投手は、2006年に大学生・社会人ドラフトの希望枠で福岡ソフトバンクホークスに入団。2年目の08年には早くも11勝を挙げ、チームの勝ち頭となります。ところが、この年の終盤に左ヒジを故障。その後は、2ケタ勝利を挙げられないもどかしいシーズンが続きました。しかし11年に結婚した夫人のサポートが功を奏し、12年には自己最多の12勝をマーク。13年はシーズン前に日本代表に選ばれ、WBCでも好投を見せました。
ところが、黄色靭帯骨化症という国が指定する難病が大隣選手を襲います。復活を信じて手術を受け、懸命のリハビリに励んだ大隣選手は、14年7月に7回を3安打1失点と好投。422日ぶりの勝利を挙げ、同じ病気に悩む人たちに大きな勇気を与えました。ただ、いつまた病気が再発するかわからない状況は変わらず、昨年オフ自由契約に。入団テストを経て、今シーズンは千葉ロッテマリーンズでプレーしましたが、勝利を挙げることはできず、ついに現役引退を決断しました。今後は、ロッテの2軍投手コーチとして第二の野球人生を歩みます。
来週のスポーツ伝説は……
12月17日(月) プロ野球 矢野謙次選手
12月18日(火) プロ野球 小谷野栄一選手
12月19日(水) プロ野球 山口鉄也投手
12月20日(木) プロ野球 荒木雅博選手
12月21日(金) プロ野球 田中浩康選手
お楽しみに!!