【プロ野球 黒木知宏投手】
2001年3月24日、西武ドームで行われたプロ野球開幕戦西武ライオンズ 対 千葉ロッテマリーンズ。西武は2年連続で松坂大輔投手、ロッテは3年連続で“ジョニー黒木”こと黒木投手を開幕投手に立てました。この開幕戦が注目された理由は、二人が初対決した2年前、1999年4月21日のゲームに遡ります。この時は投手戦の末、2対0で黒木投手が投げ勝ち、先輩の貫禄を見せました。好投むなしく敗れたルーキーの松坂投手は「リベンジします」と宣言。翌週に2人は再び投げ合い、今度は松坂投手が宣言通りロッテ打線をシャットアウト。1対0でプロ初完封勝利を挙げ、みごとリベンジを果たしたのです。
注目の01年、西武対ロッテの開幕戦、松坂投手は初回から150キロ台の剛速球を連発し 三者凡退の好スタートを切ります。一方、過去2回の開幕投手でいずれも負け投手となっている黒木投手は、プレッシャーで初回から乱れます。2つの暴投に加え、高木大成選手のツーベースでいきなりの3失点。しかし、この日の黒木投手は冷静でした。一方、力で押していった松坂投手は、2回に3つのフォアボールと2本のタイムリーで2点を失うと、その後逆転を許し、6回を6失点で降板。黒木投手はカーブが冴え、8回3失点でみごと開幕戦初勝利を挙げたのです。
【プロ野球 黒田博樹投手】
2003年2月、宮崎県日南市で行われた広島カープの春季キャンプ。山本浩二監督は、黒田投手に開幕投手の座を託しました。初の大役を任された黒田投手は、当時プロ7年目。そこまでの道のりは、決して順風満帆ではありませんでした。即戦力の先発投手として期待されながら伸び悩み、初めてふたケタ勝利を挙げたのは5年目。12勝を挙げた01年のことでした。また02年には、開幕直後に持病の腰痛を再発し、一時戦線を離脱。成績も10勝10敗と負けが多く、先発の柱にはなりきれずにいました。
「今年こそ!」と決意して臨んだ03年。3年連続で開幕投手を務めた、佐々岡真司投手に代わる大役に、黒田投手は奮起して神宮球場のマウンドに立ちました。結果は102球の無四球完投。黒田投手は開幕戦初勝利を飾ったのです。この勝利をきっかけに、この年の黒田投手は13勝9敗の成績で3年連続ふたケタ勝利を挙げ、自身初の投球回200イニングを達成します。そしてこの後、メジャーに移籍する前の07年まで、5年連続で開幕投手を務めることになるのです。
【プロ野球 岩隈久志投手】
2004年に起こった近鉄とオリックスの球団合併をきっかけに、この年のオフ、仙台に誕生した新球団・東北楽天ゴールデンイーグルス。新規参入に当たって、合併球団のオリックス・バファローズとの間で選手の分配ドラフトが行われました。その分配ドラフトはオリックスに優先権があったため、近鉄の主力選手の多くがオリックスに入ります。楽天は残りのメンバーと他球団を自由契約になった選手が中心になったため、新球団の戦力の薄さは歴然としていました。
当時、近鉄のエースに成長していた岩隈投手は、オリックスに分配されていましたが、消滅した近鉄への愛着もあって楽天入りを志願。最終的に、金銭トレードの形で楽天入りすることになりました。新球団の顔となったプロ6年目の岩隈投手に、田尾安志監督は開幕投手を託します。そして迎えた05年3月26日、敵地・千葉マリンスタジアムで行われた、千葉ロッテマリーンズとの開幕戦。移動疲れで体調が万全でない中、岩隈投手は初回から全力投球。5安打1失点の完投で、みごと楽天の初陣を飾りました。日米で挙げた通算170勝の中でもこの開幕戦勝利は、本人にとっても忘れられない1勝になりました。
【プロ野球 川上憲伸投手】
2007年、落合博満監督のもとで日本シリーズを制し、53年ぶりの日本一を達成した中日ドラゴンズ。明けて08年は、日本一連覇を懸けたシーズンになりました。3月28日、本拠地・ナゴヤドームで行われた広島との開幕戦。中日の先発は、前年に12勝を挙げたエース・川上投手が務めます。それは自身にとって4年連続、そして当時の球団記録を更新する通算6度目の開幕投手でした。
しかし、何度経験しても開幕戦は特別です。気負った川上投手は立ち上がりからコントロールが定まらず、2回を終えた時点で球数は59球と悪戦苦闘。それでも何とか無失点で切り抜けましたが、3回、広島に先制の1点を与えてしまいます。エースとして、先に点を許したことを悔やんだ川上投手。その直後の3回ウラ、自分に打席が回って来ました。08年、広島の開幕投手は、大竹寛投手でした。もともとバッティングは得意で、07年までの10年間で通算7本のホームランを打っていた川上投手。大竹投手が投げた127キロのスライダーを思い切り振り抜くと、エース自らホームランを放ち、同点に追いついてみせました。開幕戦でピッチャーが打ったホームランはこれが13本目で、川上投手が史上11人目。中日では初めての快挙でした。
【プロ野球 2020年開幕戦】
当初予定されていた日程から、3ヵ月遅れの6月19日にようやく開催。しかも異例の無観客試合となった、2020年のプロ野球開幕戦。その内の1試合、東京ドームで行われた伝統の一戦・巨人対阪神戦は、試合内容も異例づくめでした。阪神の先発は、オリックス時代の2018年以来、2度目の開幕投手となる西勇輝投手。西投手はバッティングでも活躍します。3回、2アウト・ランナーなしの場面で打席に立つと、初球をフルスイング。東京ドームのレフトポールを直撃する先制アーチとなったのです。西投手にとって、これが12年目での嬉しいプロ初ホームラン。しかもピッチャーが開幕戦でホームランを打ったのは、08年の中日・川上憲伸選手以来12年ぶり。阪神のピッチャーとしては、実に82年ぶりの快挙でした。
一方、巨人の開幕投手は、3年連続6度目のエース・菅野智之投手でした。西投手に2打点を許したものの、他のバッターには150キロ台のストレートと変化球のコンビネーションで得点を許さず、5回に回って来た打席では、西投手に負けじと自らヒットを放ちました。菅野投手は7回に代打を出され、6安打2失点で降板。その直後に吉川尚輝選手が無人のライトスタンドへ逆転ツーランを放ち、菅野選手は勝ち投手の権利を手にしました。この勝利で巨人は、通算6000勝を達成。また菅野投手は開幕投手として球団最多タイとなる通算4勝目を挙げ、エースの意地を示してみせたのです。
来週のスポーツ伝説は……
3/29(月) サッカー アレッサンドロ・ネスタ選手
3/30(火) サッカー クロード・マケレレ選手
3/31(水) サッカー イケル・カシージャス選手
4/1(木) サッカー アルフレッド・ディ・ステファノ選手
4/2(金) サッカー パベル・ネドベド選手
お楽しみに!!