スポーツ伝説

5月11日~15日の放送内容

【プロ野球 福田永将選手】

 プロ9年目、中日ドラゴンズの福田選手は、今シーズンの年俸が推定650万円。2軍選手の最低年俸が440万円であることを考えると、かなり崖っぷちの状態です。しかしその福田選手に、昨年の秋季キャンプで転機が訪れました。清原選手やおかわりクンこと中村選手など、西武のスラッガーを育てた土井正博さんが、特別コーチととしてやってきたのです。土井コーチは福田選手の飛距離に着目。大砲不在のチームにこれを活かそうと、取り組みを始めました。
 昨シーズンの1軍出場はわずか10試合だった福田選手。しかし秋と春のキャンプが、さっそく絶大な効果を表しました。オープン戦の打率が4割8分3厘と、12球団でナンバーワンに。本塁打4本、13打点と激変します。ただし、開幕1軍に入ることはできても、レギュラーを確保するのは至難の業。ところが1塁の森野選手が、3月29日の阪神戦で右手親指を骨折するというアクシデントに見舞われました。その時、首脳陣は「若くて調子がいい福田を使う」と即断。期待に応え、その日の阪神戦で、さっそく名刺代わりの一発を放ちました。
 


【プロ野球 矢野燿大選手】
 
 キャッチャーの人材難は、プロ野球各球団が抱える問題。司令塔として、経験に加え強いハートが要求されるポジションだけに、その重圧と苦労は計り知れません。中日・阪神で活躍した矢野選手は、その過酷なポジションを、阪神のキャッチャーとして球団記録となる1281試合つとめました。
 2003年、星野監督に率いられた阪神は、18年ぶりにリーグ優勝を果たしました。MVPこそ井川慶投手に譲ったものの、矢野選手は攻守にわたる大活躍。打率3割2分8厘でベストテンの3位になったほか、正捕手として、セ・リーグのチーム防御率トップの原動力となりました。この年、初のベストナインに選出。キャッチャーとして史上最年長のゴールデングラブ賞にも輝きました。それでもご本人は、「優勝とかを考える前に、目の前の試合に出場することだけを考えていた。毎日、必死です。同じユニフォームを着ていても、周囲はすべてライバルですから」とストイックな発言。大魔神と呼ばれた大学時代のチームメイト、佐々木主浩投手にめっぽう強かったことでも知られ、97年には、佐々木投手の連続セーブ記録を22でストップさせる逆転サヨナラ打を放っています。ちなみに阪神のキャッチャーとしては、サヨナラ打通算10本は球団記録でした。 



【プロ野球 飯田哲也選手】

 ヤクルト・楽天で活躍した飯田選手は、野村ID野球の申し子と呼ばれ、ヤクルトの黄金時代を1番バッターとして牽引。走攻守を兼ね備えた選手として、伝説に残るスーパープレーを数多く披露しました。中でも野球ファンを驚かせたビッグプレーは、1993年日本シリーズ第4戦で見せた強肩。飯田選手は西武・鈴木健選手の打球をワンバウンドで捕球すると、約70mの距離をダイレクトでホームに送球。2塁ランナーの笘篠誠治選手をアウトにしたのです。ご本人も「生涯の守備のベストプレー」と話したように、ヤクルトの日本一獲得に貢献した見事なプレーでした。
 


【柔道 中村兼三選手】

 柔道男子71キロ級の中村選手は、日本オリンピック史上初の3兄弟同時出場。アトランタオリンピックで金メダルを獲得しました。体型で勝った長兄の佳央選手、天才といわれた次兄の行成選手は、共に1993年の世界選手権で優勝。兼三選手のオリンピック金メダルで、見事『3兄弟世界一』を達成したのです。
 「3人でオリンピックへ」と誓い合ったのは、84年のロサンゼルスオリンピックでの、山下泰裕選手の金メダルに感動したから。ところが、才能は平凡。「どうしたら強くなれるだろう?」と自問自答を繰り返し、出た答えは寝技を磨くことでした。立ち技は才能に左右されますが、寝技は練習量とスタミナの勝負。大学生になるとその努力が開花し、オリンピックまで公式戦37連勝。体格では劣っても、努力が世界一の礎となりました。 
 


【競歩 鈴木雄介選手】

 8月に中国・北京で開催される世界選手権を目指して、競歩の鈴木選手が注目を浴びています。世界大会で表彰台へ上がれば、男女を通じて日本初の快挙。来年に迫ったリオデジャネイロオリンピックでも、金メダルが期待されます。
 今年3月、故郷で行われた陸上全日本競歩・能見大会、男子20キロで、鈴木選手は1時間16分36秒の世界新記録をマーク。オリンピック、陸上の実施種目で日本人選手が世界新を塗り替えるのは、2001年女子マラソンの高橋尚子さん以来。男子では、65年のマラソン、重松森雄さんから50年ぶりの偉業でした。しかも鈴木選手のペースは、マラソンに換算すると2時間42分を切る速さ。にもかかわらず、鈴木選手には、本格的な競歩を始めてから13年間、一度も失格がありません。それでも、どうしたらもっと美しいフォームをつくれるかと日々考えているという鈴木選手。「おもしろいスポーツです。だからもっと注目して下さい。クネクネしているとか、笑われてもいい」と話していました。



来週のスポーツ伝説は……

 5月18日(月) プロ野球 堀幸一選手
 5月19日(火) プロ野球 高木勇人投手
 5月20日(水) プロ野球 川端慎吾選手
 5月21日(木) 競  泳 渡部香生子選手
 5月22日(金) 棒高跳び 西田修平・大江季雄選手

                       以上の5選手をご紹介します。
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