【プロ野球 山本和範選手】
1996年、福岡ドームで行われたオールスター第1戦6回裏、1アウト1・3塁の場面で、地元・福岡ダイエーの小久保裕紀選手に代わって代打が告げられたのは、近鉄バファローズの山本選手でした。
山本選手は生まれが福岡。前年まで福岡ダイエーホークスに所属していましたが、戦力外通告を受けてしまいました。それでもファンの後押しで、プロ20年目にして初のオールスター出場。思い出の地で何としてもファンの期待に応えたいと、阪神のエース・藪恵一投手の初球をフルスイング。打球は満員の外野スタンドに飛び込み、パ・リーグの勝利に貢献するスリーランで、見事MVPに選ばれました。まさに男の意地。涙の代打ホームランでした。
【プロ野球 オールスター名勝負】
スター選手同士の名勝負が繰り広げられる、プロ野球のオールスターゲーム。その中でも伝説の名勝負として語り継がれているのが、1990年に実現した野茂英雄投手と落合博満選手の対決です。
前年のドラフト会議で史上最多の8球団が1位指名、鳴り物入りで近鉄バファローズに入団した野茂投手は、プロ初勝利を飾った試合で当時の日本タイ記録となる17奪三振を記録。トルネード投法のユニークさも手伝って人気を集め、ルーキーながら堂々のファン投票1位でオールスター出場を果たします。迎え撃つセ・リーグの4番は、ロッテ時代にプロ野球史上唯一、3度も三冠王に輝いた中日・落合選手。初対決は7月24日、横浜スタジアムで行われた第1戦の最終回に実現します。落合選手はこの日、すでに3打数3安打をマークし、オールスター史上初となる両リーグでの猛打賞を記録。そかし最初の対戦は、新人・野茂投手に軍配が上がりました。第2ラウンドは、翌25日に平和台球場で行われた第2戦。この対戦の前、野茂投手はパ・リーグを指揮していた西武・森祇晶監督から落合攻略法を伝授されていました。しかしあくまでもストレート勝負にこだわった野茂投手。渾身のストレートを落合選手のバットが捕え、レフトスタンドに突き刺さる2ランホームランとなりました。後に力と力の勝負を求めてメジャーリーグに移籍した野茂投手。その戦う姿勢の片鱗は、オールスター初出場のこの時からすでに発揮されていたのです。
【プロ野球 SHINJO選手】
球団の合併や消滅が起こるなど、プロ野球再編問題で揺れた2004年。沈みがちだった野球界を盛り上げたのが、日本ハムのSHINJO選手でした。
SHINJO選手は阪神時代の2000年オフにFA宣言。阪神が提示した高額の複数年契約を蹴って、格安の年俸でメジャーリーグに挑戦しました。サンフランシスコ・ジャイアンツでは、日本人選手初のワールドシリーズ出場を果たすなど、アメリカでも記憶に残るプレーでファンを魅了。03年に再び日本球界に復帰すると、そのお祭り男ぶりはオールスターでも存分に発揮されました。
【メジャーリーグ イチロー選手】
1996年のオールスターで、オリックス時代のイチロー選手は投打両方でファンを沸かせました。
7月20日、福岡ドームで行われたオールスター第1戦、パ・リーグの一番打者として先発出場したイチロー選手は、いきなりの先頭打者・初球ホームラン。4打数2安打の活躍を見せました。ところが翌日の第2戦では、3打数ノーヒットといいところなし。しかし7対3でパ・リーグが4点リードして迎えた9回表、2アウトランナーなし、あと1人で試合終了という場面で、パ・リーグを指揮していた仰木彬監督は、それまでライトを守っていたイチロー選手をマウンドに送りました。結果は相手バッターをショートゴロに打ち取り、無事にゲームセット。全球ストレートで、最速は141キロを記録しました。
【プロ野球 古田敦也選手】
1試合でシングルヒット、ツーベース、スリーベース、ホームランをすべて打つサイクルヒットは、公式戦で滅多にお目に掛かれない記録。しかしその難しい記録を、オールスターの大舞台で唯一達成したのが古田選手です。
古田選手といえば、90年代のヤクルト黄金期を支えた名捕手。サイクル安打の前年のオールスターでは、3回も盗塁を刺して自慢の肩でもオールスターを沸かせました。また古田選手は、プロ入りした90年から引退する06年まで17年連続でオールスターに出場。この記録はまさに、古田選手が球界を代表する捕手だった証です。
来週のスポーツ伝説は……
7月18日(月) サッカー 興梠慎三選手
7月19日(火) サッカー 久保裕也選手
7月20日(水) プロ野球 原口文仁選手
7月21日(木) プロ野球 鈴木誠也選手
7月22日(金) プロ野球 石川歩投手
お楽しみに!!