スポーツ伝説

5月9日~13日の放送内容

【サッカー 伊東純也選手】

 サッカー日本代表がワールドカップ・カタール大会出場を懸けて戦ったアジア最終予選。代表の一人で、ベルギーのヘンクに所属する伊東選手にとっても、日本にとっても最終予選の序盤は厳しい戦いになりました。昨年9月、オマーンとの初戦に敗れた後の中国戦。伊東選手は決勝点をアシストして勝利に貢献しますが、この試合で警告を受けて次戦は出場停止に。伊東選手がスタンドで見守ったサウジアラビア戦に日本は敗れ、第4戦は強敵オーストラリアに辛くも勝利したものの、この時点で4位。ワールドカップ出場に黄色信号が灯ります。
 もう負けられないベトナムとの第5戦は、ヨーロッパ組が移動トラブルで到着が遅れ、全体練習は試合前日の1回のみでした。この緊急事態を救ったのが、電光石火の攻撃で“イナズマ純也”と呼ばれる伊東選手です。前半17分、左サイドを攻め上がった南野拓実選手と並行してトップスピードで逆サイドを駆け上がると、ゴール前で相手のディフェンダー2人を一瞬のスピードでかわし、南野選手からのパスに左足を合わせてゴール。まさに“イナズマ純也”らしい決勝点で、日本は勝利をつかみました。続く第6戦のオマーン戦、第7戦の中国戦、第8戦の首位・サウジアラビア代表との決戦でも、伊東選手はゴールを決めます。そして3月24日、難敵オーストラリア戦を下し、日本は7大会連続のワールドカップ出場を決めたのです。今回の戦いで窮地に立たされた日本を救ったのは、稲妻のように光る伊東選手の4試合連続ゴールがあったからでした。

  
 
【サッカー 吉田麻也選手】

 かつてないほど苦しい戦いが続いたワールドカップ・アジア最終予選で存在感を発揮したのが、代表キャプテンでイタリア・サンプドリア所属の吉田選手です。象徴的だったのが、ホームとアウェー、2つのオーストラリア戦でした。まずは昨年10月。1勝2敗とスタートダッシュに失敗して迎えた、ホームでのオーストラリア戦。自動突破できるグループ上位2枠に入るためには、勝利だけが求められた一戦を前に吉田選手は、結果が出なければ責任を取ると代表引退も覚悟して試合に臨んだのです。そんなキャプテンの決意も後押しに、日本はこの試合、前半8分に先制ゴール。その後、同点に追いつかれ、引き分けも頭をよぎり始めた後半41分、吉田選手からのロングパスを起点に浅野拓磨選手がシュート。これが相手のオウンゴールを誘い、劇的な勝利をおさめました。
 日本はホームでのオーストラリア戦勝利を境に息を吹き返し、怒涛の5連勝。一時はグループ4位にまで下がった順位も、予選突破圏内の2位に浮上します。第9戦、今度は敵地に乗り込んで3位・オーストラリアとの直接対決。この試合、勝てばワールドカップ出場が決まる大一番になりました。過去、ワールドカップ最終予選で、オーストラリアに敵地では2分け1敗と一度も勝ったことがなかった日本。厳しい戦いが予想されましたが、吉田選手を中心に鉄壁の守備を見せ、日本のゴールを死守。一方攻撃では、三笘薫選手が劇的な2ゴーを挙げ、日本が2対0で勝利、7大会連続でのワールドカップ出場を決めたのです。

    
   
【サッカー 守田英正選手】

 日本代表の中盤で相手の攻撃の芽をつむ頼もしい存在、守田選手。高校時代までは攻撃的な選手で、守備も苦手で嫌いだったといいます。しかし流通経済大学時代、守備に開眼。4年生の時に出場した全日本大学選手権では、時にボランチ、時にセンターバックとして全試合にフル出場。大学日本一に貢献し、大会MVPに選ばれたほどの実力者です。卒業後は2018年、川崎フロンターレに入団。豊富な運動量と高い技術で守備的ミッドフィルダーとしてJ1連覇に貢献し“川崎の心臓”と呼ばれました。21年1月にはポルトガルリーグのサンタクララへ移籍。ここでもデビュー戦でゴールを決めるなど、チームに欠かせない存在となり、その力は日本代表でも発揮されることになります。
 ワールドカップ・アジア最終予選で、日本は3試合を終えた段階で1勝2敗と負けが先行。第4戦の相手はここまで無敗のオーストラリアとあって、出場権獲得のためには是が非でも勝利が欲しい状況でした。そんな一戦で、日本は3人で中盤を構成する新システムを採用し、守田選手と田中碧選手がこの最終予選で初めてスタメンに抜擢されました。攻めては田中選手が先制ゴール。守備では守田選手、そしてもうひとりの中盤・遠藤航選手との連携でオーストラリアを1点に抑え、2対1で勝利。崖っぷちで踏みとどまります。この試合をきっかけに“黄金のトライアングル”と呼ばれるほどチームに安定感をもたらした、守田選手・田中選手・遠藤選手のトリオ。守田選手は守備の強さを発揮したほか、勝てばカタール行きが決まるオーストラリアとの第9戦では冷静なプレーで勝利に貢献し、最終予選突破の“影のMVP”と評価されました。


 
【サッカー 前田大然選手】

 ベスト4に進出した昨年の東京オリンピックでゴールを決めた前田選手。ただし、A代表ではまだ無得点です。それでも前田選手をワールドカップ本番のフォワードとして待ち望む声が多いのは、圧倒的なスピードという武器を持っていることに加え、J1リーグでは確かな実績を残しているからです。前田選手が評価を高めたのは、横浜F・マリノスに所属していた昨シーズンです。シーズン前半だけで目標にしていた10ゴールに到達し、東京オリンピック後に再開された後半戦では、2度のハットトリックを達成。通算22ゴールでトップに並ぶ川崎のレアンドロ・ダミアン選手と得点王をかけた最終節の直接対決は、後半22分にレアンドロ・ダミアン選手が先制ゴールを決めますが、7分後に前田選手が同点ゴールを決めて追い付き、両者同点で得点王となったのです。
 プロ6年目・史上2番目に若い24歳で、J1得点王となった前田選手。得点を生み出す原動力は50m・5秒8を誇る俊足ですが、ただ速いだけではありません。Jリーグが発表している公式データの中に「試合別スプリント回数」というデータがあります。これは「時速24キロ以上で1秒以上走った回数」をカウントしたもので、1試合に何回ダッシュしたかを表します。2021年、前田選手は8月の大分戦で、J1年間トップとなる「1試合64回」のスプリントを披露。昨年、1試合50回以上のスプリントを記録した試合が、実に5試合もありました。その実力は海外からも注目され、前田選手は今年1月からスコットランドの名門セルティックでプレー。デビュー戦の開始4分で移籍初ゴールを決め、得意のスプリント力で攻守に渡ってチームに貢献しました。



【サッカー 谷口彰悟選手】

 過去5年でJ1を制すること4度。圧倒的な強さを見せる川崎フロンターレのセンターバック・谷口選手。川崎といえば圧倒的な攻撃力ですが、谷口選手が最終ラインで守備面を支えることによってチームの屋台骨が保たれています。谷口選手は入団2年目の2015年、レギュラーとしてチーム唯一のフルタイム出場を果たし、この年初めて日本代表に選ばれます。またリーグ連覇を果たした17・18年も、2年連続でチーム唯一のフル出場。20年からチームのキャプテンに就任し、J1連覇に貢献しました。ミスの少ないプレーは高く評価され、J1ベストイレブンも3度受賞。プロ1年目から8年連続で30試合以上出場という鉄人ぶりも併せて、名実ともに日本トップクラスのセンターバックとなったのです。
 川崎では不動の地位を築き上げた谷口選手ですが、日本代表では同じセンターバックに代表キャプテンの吉田麻也選手と、海外でも評価が高い冨安健洋選手がいたためなかなか出番は巡ってきませんでした。しかし今年1月と2月に行われたアジア最終予選、中国・サウジアラビアとのホーム2連戦を前に、守備の要である吉田選手・冨安選手がともにケガ。代わって2試合ともセンターバックを務めたのが、谷口選手でした。谷口選手はリーグ戦同様、相手との駆け引きや細かいポジショニングで2試合連続完封勝利に貢献。首位サウジを撃破し、ワールドカップ出場に大きく前進したのです。
  
  

来週のスポーツ伝説は……

5/16(月) プロ野球 大勢投手
5/17(火) プロ野球 岡林勇希投手  
5/18(水) プロ野球 末包昇大選手
5/19(木) プロ野球 長岡秀樹選手
5/20(金) プロ野球 堀田賢慎投手

お楽しみに!!
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