【サッカー 古橋亨梧選手】
昨年夏、Jリーグ・ヴィッセル神戸から、スコットランドリーグの名門・セルティックへ完全移籍した古橋選手。セルティックといえば、かつて中村俊輔選手が大成功を収めたクラブで、移籍が決まると知り合いを通じて中村選手に連絡を取りました。そこで受けたアドバイスは、「スコットランドのメディアがオレと比較しても気にするな。とにかくスコットランドでプレーすることを楽しむんだ」。古橋選手はそのアドバイス通り、移籍1年目から自分らしいプレーを披露します。初先発の試合でさっそくゴールを決めた古橋選手は、ホームデビュー戦でも大活躍を見せました。前半20分、右からのパスに反応して、まずは先制ゴール。その5分後、今度は左からのパスに合わせて2点目。さらに後半、スルーパスに抜け出した古橋選手は、ゴールキーパーとの1対1を制して右隅にゴール。ホームデビュー戦で、名刺代わりに1試合3得点の「ハットトリック」を達成しました。
その後も、コンスタントにゴールを決めた古橋選手。大事な場面でしっかり結果を出したことも高く評価されました。終わってみれば、リーグ戦で12ゴール、公式戦通算20得点をマークして、スコットランドでの1年目のシーズンを終えた古橋選手。チーム得点王の活躍で、カップ戦優勝だけでなくリーグ戦でもセルティックを優勝に導きました。
【サッカー 堂安律選手】
今年3月、堂安選手は自身のSNSにこんな書き込みをしました。『逆境大好き人間、頑張りまーす!』。その言葉通り、逆境をバネに力を発揮し、現在の地位を築きました。オランダの強豪、PSVと契約したのは2019年8月。ただこの時は結果を残せず、チーム構想から外れた翌年は、ドイツのチームにレンタル移籍することになります。この逆境に燃えた堂安選手は、チームを1部に残留させるゴールを決めるなど大活躍し、大きな自信をつかみました。21年東京オリンピック出場を経て、再びPSVのユニフォームに袖を通した堂安選手。当初は控え選手でしたが、途中出場の短い時間でも高いパフォーマンスを披露し、前半戦、チームを首位に引き上げる原動力になります。
堂安選手の次なる逆境は今年3月、日本がワールドカップ出場を決めた際の代表メンバーから漏れたことです。日本代表に入りたいという気持ちでサッカーを始めた堂安選手にとって、これ以上ない悔しい経験でした。だからこそ、代表を外れたあとの奮闘ぶりは目を見張るものがありました。オランダのリーグ戦ではつねに先発出場を果たし、3ゴールを積み重ねて移籍後自己最多となる公式戦11得点に到達。リーグ戦では、オランダ屈指の名門アヤックスにわずかに及ばず2位となりましたが、4月のカップ戦決勝では、そのアヤックスに勝ってみごと雪辱。堂安選手は途中出場ながら何度もチャンスを演出し、優勝に大きく貢献しました。シーズン終了後、日本代表にも返り咲き、11月のワールドカップ本番を目指します。
【サッカー 鎌田大地選手】
ドイツ1部・ブンデスリーガのフランクフルトで、昨シーズンはリーグ戦32試合に出場。4ゴールを決めた鎌田選手。元日本代表キャプテンの長谷部誠選手と共に主力として活躍し、チームを支えました。鎌田選手がリーグ戦より輝きを見せたのは、ヨーロッパを転戦して戦うヨーロッパリーグの試合です。グループリーグでなんと3試合連続ゴールを決め、ヨーロッパリーグ通算9ゴールに到達。歴史あるこの大会で、日本人選手の歴代最多ゴールを記録したのです。
決勝トーナメントでも、鎌田選手が何度もチームを救います。ベスト8をかけたスペインの強豪・ベディス戦、アウェーでの第一戦で同点に追いつかれた直後に、鎌田選手が決勝ゴール。準々決勝では、優勝候補・バルセロナと対戦。鎌田選手は献身的な守備でチームに貢献するだけでなく、決勝ゴールをアシストして番狂わせを演出しました。続く準決勝、イングランドのウェストハム・ユナイテッドとの試合では、アウェーでの第1戦で、鎌田選手がゴールを決めてまず1勝。続く第2戦も、鎌田選手のロングパスが相手のレッドカードを誘い、流れがフランクフルトに移って2連勝。決勝進出を果たしたのです。迎えたスコットランドの強豪・レンジャーズとの決勝戦は、PK戦の末、フランクフルトがみごと優勝。この激闘で、鎌田選手は120分間フル出場を果たし、最後はPK戦でゴールも決めました。
【サッカー 遠藤航選手】
2019年からドイツ・ブンデスリーガのシュツットガルトでプレーする遠藤選手。移籍1年目に、チームを2年ぶりの1部昇格へ導くと、翌年も1部リーグ9位躍進に貢献します。そして1年前、シュツットガルト3年目のシーズンを迎えるにあたって、遠藤選手はキャプテンに就任。チームのレジェンドであり、浦和でも活躍したギド・ブッフヴァルトからも絶賛されるリーダーシップを見せ、チームの舵取り役として期待されました。ただ、時を同じくして遠藤選手は、東京オリンピック日本代表として全6試合にスタメン出場。3位決定戦を戦い終え、わずか8日後がブンデスリーガの開幕戦という強行日程でした。コンディショニングや連携面で不安視される中、開幕戦に先発出場した遠藤選手。前半30分、前線でパスを受けると、飛び出してきたキーパーの鼻先でふわりと浮かす技ありのシュートで、チームにとって大事なシーズン初得点を決めました。キャプテンの先制弾で勢いに乗ったチームは、開幕戦を5対1と圧勝したのです。
幸先のいいスタートを切ったシュツットガルトと遠藤選手でしたが、その後はケガ人が相次ぎ、チームの1部残留が危うくなってきました。シーズン最終戦は勝利が絶対条件のゲームで、キャプテン・遠藤選手が大仕事をやってのけます。1対1の同点で迎えた後半アディショナルタイム。残り3分を切ったコーナーキックのチャンスで、伊藤洋輝選手が頭でつないだボールを遠藤選手がヘディングシュート。これが決まって決勝点となり、劇的な1部残留に導いたのです。シーズンを通して見ても、遠藤選手は1対1での勝利数を意味するデュエル・ランキングで、なんと2年連続リーグ1位に輝きました。
【サッカー 伊藤洋輝選手】
伊藤選手は恵まれた体格と良質な左足のキックを武器に、世代別代表にも常に名を連ねてきた23歳の若きディフェンダーです。その才能に目をつけたのが、ドイツ・ブンデスリーガのシュツットガルトでした。21年6月、期限付き移籍でドイツに渡ると、当初はBチームに入る予定が、監督の評価を瞬く間に勝ち取りリーグ開幕戦からベンチ入り。第3節で早くもリーグ戦デビューを飾ります。しかも任されたのは3バックの中央。守備陣をまとめる統率力も必要なこのポジションで、伊藤選手はテンポの良いパスさばきや得意のロングフィードを繰り出すなど、順風な船出を飾ったのです。
開幕から2ヵ月が経つ頃にはレギュラーに定着し、安定したパフォーマンスを発揮し続けた伊藤選手。11月26日の試合では、ブンデスリーガ初ゴール。11月は好プレーを続け、伊藤選手は月間最優秀新人に選ばれました。そしてリーグ最終戦では、同点で迎えた後半アディショナルタイムにコーナーキックのボールを頭で繋ぎ、遠藤航選手の劇的な決勝ゴールを演出。チームの1部残留に大きく貢献したのです。リーグ戦終了後には、日本代表にも初めて選ばれ、シュツットガルトへの完全移籍も決定。これ以上ないドイツ1年目を終えたのでした。
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!