【プロ野球 チアゴ・ビエイラ投手】
8月13日、東京ドームで行われた巨人 対 中日戦。巨人が2点リードした9回ワンナウトの場面で、スタンドからどよめきが起こりました。巨人の守護神ビエイラ投手が、中日のアリエル・マルティネス選手に投げた7球目が「166キロ」と表示されたからです。日本球界では、日本ハム時代の大谷翔平投手らが記録した「165キロ」を1キロ上回る、公式戦での最速記録でした。ビエイラ投手はブラジル出身者では5人目のメジャーリーガーで、マイナー時代に167キロを記録したこともあります。シカゴ・ホワイトソックスを経て昨年、巨人に入団。1年目は制球難で二軍落ちも経験しましたが、地道な努力でコントロールとスライダーの精度が上がり、今シーズン途中から抑えに抜擢されます。
日本最速記録をマークした15日後の8月28日。ビエイラ投手はもう一つ、素晴らしい記録を達成しました。名古屋で行われた中日戦。9回、マウンドに上がったビエイラ投手は、150キロ台中盤のストレートとスライダーを駆使し、中日打線をわずか5球で3者凡退に仕留めてみせました。5月3日の広島戦から無失点ピッチングを続けていたビエイラ投手は、この試合で「30試合連続無失点」に到達。巨人の球団記録を更新したのです。この連続試合無失点記録は、その後32試合で途切れてしまいましたが、
【プロ野球 藤原恭大選手】
2000年生まれで、大阪桐蔭高校時代は甲子園春夏連覇を達成した、千葉ロッテ・藤原選手。プロ3年目の今シーズンは、開幕一軍スタメンを勝ち取ります。しかし22試合に出場して、打率1割6分1厘、ホームラン0本と結果を出せず4月22日に二軍行きとなりました。二軍では、福浦和也コーチとともに打撃フォームを修正。股割などで足腰を鍛え、下半身重視のフォームに変えていきました。また、鳥越裕介二軍監督からも初球から積極的にストライクを打っていくようアドバイスを受け、本来のバッティングを取り戻すと7月3日の東北楽天戦から再び一軍に合流。この試合「2番・センター」でスタメン出場し、いきなり2安打2得点の活躍を見せると、翌日には待望の今シーズン第1号ホームランを放つなど3安打猛打賞の活躍で、チームの起爆剤となったのです。
7月・8月はトータルで、打率3割4分8厘、ホームラン5本、15打点、5盗塁をマーク。藤原選手が2番に定着したことで打線のつながりも良くなり、チームの上位躍進に大きく貢献。夏場の活躍が評価され、中日の根尾昂選手、広島の小園海斗選手ら、同学年のライバルたちに先んじて、7・8月度の月間MVPに初めて輝きました。
【プロ野球 平野佳寿投手】
今年2月、4年ぶりにメジャーからオリックスに戻ってきた平野投手。日本球界復帰初登板は3月27日、開幕2戦目の埼玉西武戦でした。先発した当時19歳・宮城大弥投手のあと、8回に2番手で平野投手が登板。打者3人で抑えてクローザーにつなぎ、チームの今季初勝利に貢献します。25年も優勝から遠ざかっているオリックスが、今シーズンは上位に浮上。優勝争いをするきっかけになったのは、セ・パ交流戦でした。交流戦首位に立ち、迎えた6月12日の広島戦。1点リードの場面で9回のマウンドに立った平野投手は、カープ打線を3人で仕留め、この瞬間オリックスの11年ぶり交流戦優勝が決定。平野投手は胴上げ投手となったのです。
序盤戦では中継ぎとして、その後は抑えとして、チームに必要とされる場所でしっかりと仕事をした平野投手。シーズン50試合以上の登板を、日米合わせて9回も記録した鉄腕ぶりは、37歳の今も健在です。そんな平野投手に、また新たな勲章が加わりました。9月3日の福岡ソフトバンク戦で、9回に登板してセーブを挙げた平野投手は、この試合の途中で、節目の通算1000投球回を達成。通算578試合目での到達は、歴代2位のスロー記録でした。
【プロ野球 牧秀悟選手】
昨年のドラフト2位でDeNAに入団した牧選手。開幕戦からいきなりスタメンの座を勝ち取ると、開幕2戦目でプロ初ヒット。3戦目でプロ初打点、さらに5戦目でプロ初ホームランを記録します。また4月6日の中日戦では、球団通算8000号のメモリアルアーチを放つなど、運の強さも発揮。交流戦でも打ちまくり、交流戦中の打率は3割5分7厘を記録、ホームラン3本と結果を残しました。
牧選手の特徴のひとつは、固め打ちが多いことです。1試合で3安打以上を打つ「猛打賞」の回数が多く、8月25日の阪神戦では最初の打席でツーベースを放つと、2打席目にスリーランホームラン。3打席目は満塁の場面で2点タイムリーヒットを放ち、今季8回目の猛打賞を達成。1959年に桑田武選手が記録した球団新人記録「7回」を62年ぶりに塗り替えました。さらに最終回には三塁打を放ち、プロ野球史上70人目、新人選手では公式戦初となる、サイクルヒットの偉業を達成したのです。その2日後、8月27日のヤクルト戦では、DeNAは宮﨑敏郎選手、ネフタリ・ソト選手、牧選手が豪快なホームランを放ち、3者連続アーチの離れ業をやってのけました。3者連続ホームランはチームにとって3年ぶりでしたが、新人が絡むのは球団史上初の快挙でした。
【プロ野球 森敬斗選手】
森選手は神奈川の強豪、桐蔭学園高校出身。「高校ナンバーワンショート」の評価を得て、2019年のドラフトで、DeNAから単独1位指名を受けます。DeNAが高校生野手を1位指名したのは、現在アメリカでプレーしている筒香嘉智選手以来、実に10年ぶりのことでした。
森選手は、さっそく1年目から才能の片鱗を見せます。昨年10月、シーズン終盤の巨人戦に代打で登場すると、あとひと伸びでホームランというレフトフェンス直撃のツーベースヒットを放ち、鮮烈な一軍デビューを果たしました。迎えた2年目の今シーズンは、開幕一軍を目指しながらバッティングに悩み、二軍スタートとなった森選手。ファームで森選手を鍛えたのが、現役時代、球界屈指の内野手と呼ばれた仁志敏久二軍監督です。二軍戦で、森選手をスタメンショートで起用し続けた結果、その才能が開花。一軍昇格を勝ち取った森選手は、前半戦の終盤にプロ初盗塁と初打点を記録し、8月17日の阪神戦では3安打を放ち、初の猛打賞でファンを沸かせました。
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!