スポーツ伝説

8月5日~9日の放送内容

【高校野球 石本秀一監督】

 大会黎明期に実績を残した広島商業の石本監督は、学生時代には広島商業のエースとして活躍。卒業後、実業団野球を経て新聞記者をしていましたが、母校の不甲斐ない戦いぶりに憤慨し、1923年、26歳の時に自ら志願して野球部監督に就任しました。
 当時の石本監督の指導スタイルは「鬼より怖い」と称されたスパルタ式。その猛特訓で鍛え上げられた選手たちは、わずか1年で結果を出します。24年、広島商業は完成したばかりの甲子園球場で夏の全国大会を制し、甲子園初代王者として深紅の優勝旗を掴み取りました。優勝旗が神戸よりも西に渡ったのは、これが初めてのことでした。
 

   
【高校野球 佐々木信也選手親子】

 甲子園という夢舞台では、時に創部間もない新顔の高校が大躍進してファンを驚かせることがあります。1949年夏に行われた第31回・全国高校野球での、神奈川・湘南高校がまさにそうでした。彼らが注目を浴びた理由は、創部からわずか4年目での初出場だったこと。そして、丸刈りが当たり前だった高校野球の世界にあって長髪の選手が多かったこと。まさに“湘南ボーイ”を地でいく球児たちだったのです。そんなフレッシュなチームを率いていたのは、慶応大学野球部出身の佐々木監督。そして主力として活躍したのが、1年生ながらレフトのレギュラーだった、息子の信也選手です。
 2回戦から登場した湘南は、初戦で選抜の優勝経験もある名門・徳島の城東と対戦。9対3と打ち勝ってベスト8に駒を進めると、そのまま勝ち進み、まさかの決勝進出を果たしました。そしてここでも岐阜高校相手に5対3で勝った湘南。創部4年目での初出場初優勝という快挙を達成したのです。
   


【高校野球 吉岡雄二投手・大越基投手】

 1989年、平成になって最初の夏の甲子園・決勝戦は、稀に見る名勝負として語り継がれています。勝ち上がってきたのは、東京の強豪・帝京高校と、宮城代表の仙台育英高校。どちらが勝っても初優勝です。帝京高校は4番でエースの吉岡投手がチームの中心。吉岡投手はこの大会、打ってはホームラン2本、投げては決勝までの4試合でわずか1失点と絶好調でした。一方の仙台育英は、大越投手がエース。1回戦から5試合を一人で投げ抜き、前日の準決勝は、延長10回を完投したばかりでした。
 こうして迎えた決勝戦。大越・吉岡両投手が好投を続け、試合は息詰まる投手戦に。試合は0対0のまま延長戦に突入します。しかし、ここまでヒジの痛みにも耐えながらどうにか奮闘してきた大越投手に、延長戦を投げる力はもう残っていませんでした。10回表、帝京は2点を奪ってついに均衡を破り、その裏を吉岡投手がゼロに封じゲームセット。この大会3度目の完封勝利で、帝京に悲願の初優勝をもたらしたのです。


    
【高校野球 正田樹投手】
 
 1998年夏、群馬県代表として甲子園に出場した桐生第一高校。開会式直後の第1試合で延長10回の末、明徳義塾高校にサヨナラ負けを喫し、全代表の中で一番先に甲子園を去ることになりました。この時、試合に出場しないままベンチで悔しい思いをしたのが、当時2年生のサウスポー・正田投手。その時の思いを胸に翌99年の夏、エースとして再び甲子園へ戻ってきました。
 桐生第一の初戦は、またしても開会式の日。しかしここで滋賀県代表・比叡山高校を完封すると、正田投手の好投で、桐生第一は決勝戦に進出します。ここまで正田投手は準決勝までの5試合中、3試合で完封勝ちという圧巻のピッチング。絶対的エースの正田投手は、3回戦から決勝戦まで4日連続でマウンドに立つことになりました。決勝の相手は、岡山理科大学附属高校。疲れを感じながらもチームメイトの援護に勇気づけられ、相手打線を1点に抑えた正田投手。最終回、最後のバッターをサードゴロに仕留めると、みごと群馬県勢初の全国制覇を果たしました。
 
 
 
【高校野球 今宮健太選手】
 
 現在、福岡ソフトバンクホークスで不動のショートとして活躍する今宮選手。高校時代は、大分県・明豊高校の内野手 兼 投手として活躍しました。今宮選手は、手強いライバルがいればいるほど燃えるタイプ。2009年に出場した夏の甲子園では、後にプロ入りする強敵との対決が続きました。
 1回戦は、現在ソフトバンクに所属し、10年に甲子園で春夏連覇を達成する沖縄・興南高校2年の島袋洋奨投手。2回戦は、現在阪神タイガースに所属する愛媛・西条高校のエースで4番、秋山拓巳投手。明豊はいずれも勝って、3回戦に進みます。ここでは静岡・常葉大学附属橘高校のエースで、現在広島カープでプレーする庄司隼人投手と対戦。お互い「ぜひ戦ってみたい」と意識していた対決が、ついに実現しました。この対決は明豊に軍配。勝った今宮選手は準々決勝で、花巻東高校の 菊池雄星投手と対決し敗れましたが、こうしたライバルとの激闘が今宮選手を鍛え、現在の活躍に繋がっているのです。

        
 
来週のスポーツ伝説は……

  8月12日(月) プロ野球 柳裕也投手
  8月13日(火) プロ野球 村上宗隆選手
  8月14日(水) プロ野球 若林晃弘選手
  8月15日(木) プロ野球 高橋優貴投手
  8月16日(金) プロ野球 石橋康太選手
                       
                        お楽しみに!!
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