【サッカー 岡崎慎司選手】
イングランドのサッカー1部リーグ・プレミアリーグで、日本代表のフォワード岡崎選手が所属するレスター・シティFCが初優勝しました。実に、クラブ創設133年目にして初の頂点。2シーズン前までは2部リーグにいて、昨シーズンまでは20チーム中14位だったチームが世界最高峰といわれるリーグを制したことへの世間の驚きは大きく、『英国史上最大の番狂わせ』といわれました。なにしろレスターは、今シーズンの選手年俸の総額が約75億円で、マンチェスター・ユナイテッドの1/4ほど。低年俸からスター選手はなかなか集まらないため、個人技に頼らず、全員で走り、全員で守るサッカーに徹してきました。
そんなスーパースター不在のチームで、大いに存在感を示したのが岡崎選手。昨シーズンまでいたドイツのマインツでは、当時の日本人最多となるシーズン15得点をマークするなどしましたが、プレミアリーグ移籍後は壁にぶつかり、ベンチを温める日々に。しかし一度出場機会を得ると、誰よりも多くピッチを駆け回り、その泥臭いプレースタイルは堅守速攻を目指すラニエリ監督の戦術にピタリとはまりました。今やチームに欠かせない存在となった岡崎選手ですが、優勝決定まで5得点という結果には本人が納得していません。欧州チャンピオンズリーグでは、更なる飛躍が期待されます。
【プロ野球 三原脩監督】
日本のプロ野球でもかつて、6年連続最下位だったチームがリーグ初優勝、さらには日本一になるという奇跡が起きたことがありました。
1950年代、現在の横浜DeNAベイスターズの前身・大洋ホエールズはとにかく弱く、54年から59年まで、6年連続でセ・リーグ最下位でした。60年、そんな弱小チームの指揮を引き受けたのが、前年まで西武ライオンズを率いていた知将・三原監督です。負けるのが当たり前の雰囲気を変えるために、三原監督はチーム改革に着手。近藤正利投手をリリーフに転向させ、麻生実男選手を代打の切り札とするなど、選手の性格を見極め、適材適所で力を発揮させることに成功しました。すると大洋は8月半ばから首位を走りはじめ、8月28日からの巨人3連戦を連続完封。9月26日からの巨人との3連戦も2勝1敗とし、10月2日には初優勝が決まりました。6年連続最下位だったチームが5連覇中の巨人に競り勝って優勝したことは大きな話題となり、“三原マジック”と呼ばれました。その後の日本シリーズでも、大洋は大毎オリオンズを撃破。チームは奇跡の日本一に輝いたのです。
【プロ野球 ジョー・ルーツ監督】
1975年、広島カープは球団創立から26年目にして初優勝を飾りました。それまでの25年間では、Aクラスになったことすら1回のみ。そんなチームを変えたのは、カープでは初の外国人指揮官となったルーツ監督でした。
74年に打撃コーチとして来日すると、チーム再建を託されて翌年に監督就任。早速トレードによる大幅な選手の入れ替えを断行し、チームの帽子とヘルメットの色も、それまでの紺から、闘争心を表す赤に変更しました。更には、消極的プレーには容赦なく高額の罰金を科すなど、ぬるま湯体質だったチームを戦闘集団に変えていったのです。しかしこのルーツ体制は、試合中の揉め事から早々に終焉。代わって監督に昇格した古葉竹識コーチは、ルーツ監督の掲げた『闘争心』と『機動力野球』を継承し、赤ヘル旋風を巻き起こしました。そしてついに、10月15日に球団初のリーグ優勝を果たします。「闘争心を忘れなければ、このチームは必ず勝てるようになる」と言い残したルーツ監督のファイティングスピリットは、今のカープにも脈々と継承されているのです。
【プロ野球 交流戦男:打者編】
いよいよ今年も、31日から恒例のセ・パ交流戦が開幕します。2005年にスタートした交流戦も、今年で12年目。毎年、この期間に目覚ましい成績を残す選手が現れるのも楽しみのひとつです。
交流戦でひと際勝負強さを発揮したバッターといえば、一昨年に引退した千葉ロッテマリーンズの里崎智也選手。06年・07年と2年連続で、雨の神宮で交流戦・逆転満塁ホームランを放ち、チームを勝利に導きました。
去年、交流戦でファンの度胆を抜くホームランを2本も放ち、交流戦MVPに輝いたのは、トリプルスリーを達成した福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手です。5月28日のナゴヤドームでは、ドームの天井の梁を直撃。6月3日の横浜スタジアムでは、スコアボードを直撃してビジョンの液晶を破壊しました。今年の交流戦ではどんな伝説のホームランを見せてくれるのか、期待が高まります。
【プロ野球 交流戦男:投手編】
2012年5月30日に東京ドームで行われた巨人対楽天の交流戦は、巨人先発の杉内俊哉投手と楽天先発の田中将大投手による、18番エース対決になりました。白熱した投手戦の中、杉内投手は8回までヒットもランナーも許さないパーフェクトなピッチングを続け、94年の槇原寛己投手以来の完全試合達成への期待が高まりました。ところが、いよいよ大記録まであと1球というところでフォアボール。惜しくもパーフェクトはなりませんでしたが、史上75人目のノーヒットノーランを達成しました。
メジャー移籍をした田中投手の後を受け、楽天のエースとして活躍している則本昂大投手も交流戦男。14年の交流戦では、すべて中5日で登板。1チーム24試合の内6試合に登板し、5試合で完投、4完封をマークしました。交流戦で4完封は、プロ野球史上初。記録達成は高校時代に立てなかった甲子園球場のマウンドで、則本投手は「縁はないと思っていた聖地で勝利を収められてうれしいです」と、喜びを語りました。今シーズンは交流戦でどんな活躍を見せてくれるのか、注目です。
来週のスポーツ伝説は……
5月30日(月) フェンシング 太田雄貴選手
5月31日(火) 卓 球 平野美羽選手・伊藤美誠選手
6月 1日(水) レスリング 渡利璃隠選手
6月 2日(木) プ ロ 野 球 新井貴浩選手
6月 3日(金) プ ロ 野 球 2000本安打伝説
お楽しみに!!