【プロ野球 藤川球児投手】
今年6月、独立リーグの高知ファイティングドッグスに入団した藤川投手。2012年オフ、阪神から海外FA権を行使してカブスに移籍。しかし2013年6月、右腕のじん帯を移植する手術を行い、メジャーでは3シーズンでわずか29試合の登板。1勝1敗2セーブという不本意な成績に終わりました。レンジャーズを退団してから、メジャーの他球団や古巣の阪神が獲得に名乗りをあげましたが、「必要とされる場所で投げたい」と一大決心。億単位の報酬を捨て、自ら高知に連絡を入れました。常々、「ファンに夢を与える」ことをプロフェッショナルの役割としてきた藤川投手。故郷で実績をあげ、結果次第ではNPBへの復帰も視野に入れています。
【メジャーリーグ 青木宣親選手】
過去5シーズンで3度のワールドシリーズ制覇を成し遂げている、メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツ。その名門チームで、「今年一番の掘り出し物」と高い評価を受けている青木選手。メジャーリーグの公式サイトは、その特徴をこう伝えています。『2ストライクを取られた後、えげつないボールが来てもファウルで何度も切り抜ける。最後は相手投手を逆上させ、隙のあるボールを投げさせる』。驚異のリードオフマンとしてチームを引っ張る最大の役割は、投手に1球でも多くボールを投げさせること。分担が明確なメジャーリーグでは、そうしたことも評価の対象となります。
自身最多の85打席連続で三振無し。打撃はもちろんですが、守備も素晴らしいのが青木選手。チームではレフトのレギュラーですが、センターやライトも守れます。今シーズンがメジャー4シーズン目。世界一のチームでプレッシャーの中プレーすることを楽しみながら、来シーズンのチーム残留へ向けて、必死のプレーが続きます。
【プロ野球 木俣達彦捕手】
プロ19年で通算1876安打は、キャッチャーとして野村克也・谷繁元信・古田敦也に続く歴代4位の記録。キャッチャーとして1998試合出場は、谷繁選手が更新するまで、セ・リーグの最多記録でした。元中日の木俣選手の憧れは、巨人の王貞治さん。1969年にセ・リーグのキャッチャーとして初めて本塁打30本を突破する、33本をマーク。70年にも30本を記録した長距離砲でしたが、粗さが目立ち、打率が低いのが難点でした。それを補うために、王選手のような一本足へ。加えて、一度グリップを極端に下げてからトップへ持っていく独特の打撃フォームを考案。マサカリ打法と呼ばれました。そのマサカリ打法が相手から研究されると、更に打撃を改良。剣豪・宮本武蔵の剣術まで参考に、独自に研究を重ねます。その甲斐あって、74年には憧れの王選手との首位打者争い。結局打率2位に終わりましたが、正捕手としてチームを20年ぶりのリーグ優勝に導き、巨人の10連覇を阻止しました。
【プロ野球 清田育宏選手】
パ・リーグの首位打者争いは、開幕から例年になくハイレベルな激戦が展開されています。5月28日の広島戦で、ロッテの清田選手が規定打席に到達。一気にそのトップに立ちました。5月から6月にかけて、23試合連続試合安打を続けるなど、プロ入り後もっと少ない24試合出場にとどまった昨年とは激変。今シーズンは1番に固定されていることが、その原動力です。5月下旬に首位打者になると、打線を頻繁に組み替えることで知られる伊東監督も、「あそこだけは替えられない」と、嬉しい誤算。しかし清田選手は7回以降の打率がガタッと落ちるという弱点があり、“8時半までの男”とも呼ばれています。
2009年のドラフト4位でロッテが指名。地元・千葉出身ということもあり、入団はトントン拍子に進むかと思いましたが、清田選手は「4位では行きたくない」と、低い評価に態度を硬化。これには球団側が誠意を見せ、背番号1と、ドラフト1位の荻野貴司選手と同じ年俸を提示。ようやく契約に漕ぎ着けました。それだけに、今年こそは存在感をアピールしなければなりません。
【メジャーリーグ パット・ベンディット投手】
アメリカ時間の6月5日、レッドソックスの本拠地フェンウェイパークで、アスレチックスの両投げ、パット・ベンディット投手が登板。1900年以降の近代メジャー史で、エクスポズのハリス投手が記録して以来20年ぶり、2人目のスイッチピッチャーの誕生でした。しかも右投げのハリス投手は、1試合限定。打者2人に左投げで対戦しただけで、引退前の思い出登板の意味合いが強いもの。常に左右で投げ分ける本格的な両投げの投手は、MLB史上初です。
ベンディット投手の前例のないスタイルは、メジャーリーグに新しいルールを生み出しました。それは、スイッチヒッターと対した時、『事前にどちらで投げるか告げる』というもの。6月5日のレッドソックス戦では、スイッチヒッターのスワイハート選手に対し、右投げを宣言。見事に三振を奪っています。
来週のスポーツ伝説は……
7月11日(月) プロ野球 水野雄仁選手
7月12日(火) プロ野球 松井裕樹投手
7月13日(水) 大リーグ サチェル・ペイジ投手
7月14日(木) 女子柔道 上野雅恵選手
7月15日(金) 女子柔道 塚田真希選手
以上の5選手をご紹介します。