スポーツ伝説

10月22日~26日の放送内容

【高校野球 吉田輝星投手】

 今年の夏の甲子園を象徴する一番星といえば、準優勝に飾いた秋田代表・金足農業のエース、吉田投手です。吉田投手の特徴は、強靭な下半身を発射台に投げ込む150キロ台のストレート。そして、過酷な夏の期間に、秋田大会から甲子園の決勝途中まで、ずっとひとりでマウンドを守り続けた無尽蔵のスタミナです。秋田大会では5試合で43イニングを投げて、投球回数を大きく上回る57個の三振を奪った点も含め、一躍、大会注目右腕として名乗りを挙げました。
 甲子園でも前評判通りの力投を見せ、1回戦の鹿児島実業戦では14奪三振。2回戦の大垣日大戦は13奪三振。3回戦では強豪・横浜高校を相手に14奪三振と、毎試合2ケタ奪三振の快投を演じた吉田投手。マウンド上で見せる“侍ポーズ”と相まって、投げるたびに注目度を高めていきました。準々決勝の近江高戦は、164球を投げた3回戦のすぐ翌日。しかし要所を抑えるピッチングで140球完投。10奪三振で、3対2の接戦をものにします。さらに準決勝、日大三高戦は134球完投で2対1の勝利。それまでの奪三振ショーから、打たせて取る投球に切り換えて見事、決勝戦まで勝ち上がったのです。


     
【高校野球 根尾昂選手】

 今年のドラフト候補の中で、指名が重複しそうな選手の筆頭格といえば、甲子園春夏連覇を果たした大阪桐蔭高校の攻守の要・根尾選手です。根尾選手は、優秀な選手が揃う名門・大阪桐蔭で、1年夏からベンチ入りを果たした逸材。その魅力は、投手、打者との二刀流だけでなく、内野守備も外野守備も、何をやらせても超一流、というオールマイティな点です。
 2連覇を目指した春のセンバツでは、準決勝でロングリリーフを務め、延長12回サヨナラ勝ちという劇的な展開の立役者に。さらに智弁和歌山との決勝戦では、前日の疲れもみせず、9回を2失点で完投勝ち。根尾選手は前年のセンバツでも優勝投手になっており、2年連続のセンバツ優勝投手は、大会史上初の快挙でした。春夏連覇を目指した今年の夏の甲子園では、打者としてホームラン3本、投手としても2勝をマーク。1大会でホームランを3本以上打った選手が、投手としても2勝を挙げたのは、史上2人目の快挙でした。


   
【高校野球 藤原恭大選手】

 高校生野手の当たり年、ともいわれている今年のプロ野球ドラフト会議。その中でもとりわけ高い評価を受けるひとりが、大阪桐蔭高校の主軸打者にして左投げ左打ちの藤原選手です。“最強世代”といわれる大阪桐蔭3年生の中でも、飛び抜けた身体能力を持つ藤原選手。50m走は5秒7、遠投は110mという俊足強肩ぶり。さらに握力は右が85キロ、左が90キロ。腕相撲では同世代に負けたことがない、という腕っぷしの強さを誇ります。
 今年の春のセンバツでは4番に座り、史上3校目となる大会連覇に貢献。そして春夏連覇を目指して乗り込んだ夏の甲子園でも、走攻守のすべてにおいてケタ違いの実力を見せ、2度目の春夏連覇の立役者となりました。
   

  
【プロ野球 1978年 日本シリーズ】
 
 1978年の日本シリーズは、広岡達朗監督のもと、初のリーグ優勝を果たしたセ・リーグ王者・ヤクルトスワローズと、日本シリーズ3連覇中だったパ・リーグの絶対王者・阪急ブレーブスの戦いとなりました。開幕前の下馬評では、阪急有利の声が多い中、ヤクルトが健闘を見せ、シリーズは3勝3敗で最終第7戦へともつれ込みます。勝った方が日本一というこの試合。ヤクルト1点リードで迎えた6回ウラ・ワンナウトの場面で、大杉勝男選手が打った大飛球はレフトのポール際を通過し、ファウルゾーンへと落ちました。線審はホームランを宣告しましたが、阪急・上田利治監督は猛抗議。1時間19分にわたる長い抗議が行われましたが、判定は覆らずヤクルトが勝利。球団創立29年目にして初の日本一に輝いたのです。
 78年の日本シリーズは、この猛抗議のエピソードばかり語られますが、勝負を分けた分岐点は実は第4戦にありました。上田監督は、この年に完全試合を達成した今井雄太郎投手を先発に起用。試合は5対4阪急リードで、9回表ツーアウト1塁と、勝利まであとアウト1つにこぎつけました。このまま勝てば日本一に王手がかかるこの場面。上田監督はスタミナの切れていた今井投手に代えて、エース・山田久志投手をリリーフに送ろうとベンチを出ます。しかしマウンドに行くと、集まっていた野手たちが口々に今井投手の続投を進言。実はこの年、上田監督がシーズン途中で体調を崩し、1か月以上も戦列を離れていた間、チームを引っ張っていたのが今井投手でした。普段は采配を迷うことがない上田監督も、この時ばかりは予定を変えて続投に同意。しかし今井投手がヒルトン選手に投げた2球目のカーブは高目に浮き、打球はレフトスタンドに飛び込む逆転ツーランホームランに。阪急は2勝2敗のタイに持ち込まれ、シリーズの流れを大きく変えることになったのです。

 
 
【プロ野球 1988年 日本シリーズ】
 
 1988年の日本シリーズは、セ・リーグ王者・中日ドラゴンズと、パ・リーグ4連覇を果たした西武ライオンズが6年ぶりに対戦しました。第1戦、中日は小野和幸投手、西武は渡辺久信投手が先発。この年の最多勝投手同士の対決でしたが、5対1で西武が先勝します。第2戦、中日はエース・小松辰雄投手を先発に起用。連敗を避けたい星野仙一監督は、3対3の7回から、守護神・郭源治投手を投入し勝負に出ると、8回に4点を挙げ勝ち越しに成功。7対3で中日が逃げ切って、対戦成績をタイに戻しました。
 ところが第3戦は、工藤公康投手が完投。第4戦は、森山良二投手が中日打線を2安打に抑え、シリーズ7人目の初先発・初完封を記録。そして迎えた第5戦は延長戦に突入しますが、11回ウラにツーアウト2塁のチャンスで西武・伊東勤選手が郭投手からライト前へタイムリーヒット。サヨナラで日本一が決まるという劇的な展開で、西武が3年連続・8度目の日本一を手にしました。名将・森祇晶監督のもと、最後まで投打がうまく噛み合った西武。まさに黄金期の強さを象徴するような日本シリーズとなりました。


   
来週のスポーツ伝説は……

  10月29日(月) プロ野球 1998年 日本シリーズ
  10月30日(火) プロ野球 2008年 日本シリーズ
  11月 1日(水) テ ニ ス  大坂なおみ選手
  11月 2日(木) サッカー 2008年アジアチャンピオンズリーグ
  11月 3日(金) サッカー 2017年アジアチャンピオンズリーグ


                       お楽しみに!!
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