【プロ野球 山中浩史投手】
昨シーズンから先発投手不足が指摘されているヤクルト・スワローズに救世主が登場しました。1人は、右ひじの故障から復帰した館山昌平投手。そしてもう一人が、山中投手です。サラリーマンから27歳でプロに転身。遅咲きのルーキーが、トレードを経て新天地で開花しました。
8月11日の広島戦は黒田博樹投手の登板試合とあって、マツダスタジアムは満員の大盛況。そんな完全アウェイの中、山中投手は96球でプロ初完投、初完封で6勝目をあげました。球団として、開幕から6連勝は1958年の金田正一投手以来の快挙。今季初登板は6月12日の山中投手。ローテーションの谷間を埋める程度の役割から、いつの間にかチームの主力へ。エースに匹敵する大仕事をしています。
【プロ野球 ダリル・スペンサー選手】
1960年代のパ・リーグは、豪快さを売りにファンを獲得してきました。そこに64年、阪急に加入した現役メジャーリーガーのスペンサー選手が、考え、研究する野球を持ち込みました。
当時のニューヨーク・ジャイアンツ、ロサンゼルス・ドジャースなど、メジャー4球団を渡り歩き、すでにメジャーでは1098試合出場していた大ベテラン。阪急では主砲として、また怪物としてアグレッシブなプレーを随所に披露しました。1年目に36本塁打、94打点をマーク。ダブルプレーを阻止する目的で行われたスライディングは“殺人スライディング”と呼ばれ、恐れられました。“ドクター・ベースボール”と呼ばれ始めたのは、65年7月16日の近鉄戦から。「今日みたいにシングル、ツーベース、スリーベース、ホームランを全部打つことをアメリカではサイクルヒットというのさ」と、試合後に記者たちに説明。これを機に日本でもサイクルヒットの集計が行われ、スペンサー選手の前にも23人記録していることが判明したのです。
【プロ野球 ウィリー・カークランド選手】
阪神タイガースの31番といえば、“ミスター・タイガース”掛布選手を連想する人も多いでしょう。実はその掛布選手の前、第8代目の背番号31がカークランド選手。入団1年目から4番に座り、ホームランを連発。くわえた爪楊枝がトレードマークでした。折しもテレビでは、時代劇の『木枯らし紋次郎』がヒット中。タイガースファンからは、モンジローの愛称で親しまれました。
当時のニューヨーク・ジャイアンツ在籍中は、破壊力が売り。1958年にメジャー昇格を果たすと、59年から62年まで4年連続で20本塁打以上をマーク。ところがアベレージが低く、66年にはレンジャーズの前身ワシントン・セネタースに在籍するも、故障を理由に契約を見送られます。その後、1年のブランクを経て、引退同然という中での来日だったこともあり、68年2月の来日時はそれほど注目された選手ではありませんでした。しかし来日直後、東京都のオープン戦でピンチヒッターとして起用されると、初打席でいきなり3ランホームラン。公式戦でも初安打がホームランと、1年目で37ホームランを放ちました。特に伝統の巨人戦に強く、69年3月14日には、史上6人目の1イニング2本塁打。これは、外国人では初の記録となりました。
【競泳 瀬戸大也選手】
ロシアのカザンで開催された競泳の世界選手権、男子400メートル個人メドレーで、瀬戸選手は2013年に続いての連覇を達成。16年のリオデジャネイロオリンピックの出場が内定しました。
開幕前の狙いは、個人3冠。しかし200メートルバタフライでは6位に敗れ、続く200メートル個人メドレーは14位と惨敗。「何が起こっているのか、自分にも分からない」と肩を落としました。そこで400メートル個人メドレーを前に、梅原孝之コーチが一言。「メダルにはこだわるな。今持っている力だけを出せ」。この言葉の効果は絶大でした。「隣のレーンの選手に勝つことが目標」とリラックスした瀬戸選手。得意のバタフライでトップに立つと、2種目目の背泳ぎこそ首位を譲ったものの、3種目目の平泳ぎで抜き返し、最後の自由形でもその勢いを保って圧勝。世界選手権で同種目を連覇したのは、日本人として初めてでした。
【競泳 星奈津美選手】
競泳の世界選手権、女子200メートルバタフライでは、星選手が金メダル獲得。バタフライで日本選手が世界一になったのは、1972年のミュンヘンオリンピック女子100メートルの青木まゆみ選手以来です。
「金メダルを獲れたことは奇跡」と話した星選手。しかし、準決勝からトップ通過。決勝では前半こそ4位で折り返すも、ラスト50メートルで一気に抜け出しました。ロンドンオリンピックでは銅メダルを獲得していますが、4年前の世界選手権では、0.01秒差で銅メダルを逃し、2年前もまたもや4位。実は世界選手権で日本女子に優勝はなく、今大会は200メートル平泳ぎの渡部香生子選手も金メダルを獲得していますが、それよりも早く獲得した星選手が、世界線背府県で日本女子初の金メダリストとなりました。
来週のスポーツ伝説は……
9月21日(月) 大リーグ 岩隈久志投手
9月22日(火) プロ野球 中村武志捕手
9月23日(水) プロ野球 中利夫選手
9月24日(木) 高校野球 清宮幸太郎選手
9月25日(金) サッカー 岡崎慎司選手
以上の5選手をご紹介します。