【プロ野球 谷繁元信監督兼選手】
足掛け27年の現役生活で、通算出場試合数3021試合。日本球界で誰よりも多く試合に出場した名キャッチャーが、今シーズン限りで監督業に専念することになりました。中日の谷繁監督兼選手のラストマッチは、異例ともいえるビジターでのビッグイベントに。9月26日、古巣の横浜スタジアムでの横浜DeNA戦で現役最後の打席を終えると、待っていたのはかつてのチームメイト、ハマの番長・三浦投手でした。両親と3人の息子さんの姿もあり、さすがの谷繁選手も感極まりました。試合後には両チームの選手に胴上げされ、鳴り止まない谷繁コールは新たなハマの伝説となったのです。
今シーズン、低迷した中日は谷繁選手を含む、名球会入りしている4人のビッグネームが現役を引退。かつてないほどの世代交代が進みます。
【プロ野球 和田一浩選手】
稀代の遅咲きバットマンとして西武時代から19年間、闘志を燃やしてきた和田選手。9月24日、ナゴヤドームでの阪神戦はホーム最終戦。谷繁兼任監督と共に、和田選手も引退試合に臨みました。5番レフトで先発出場して、3打数1安打。1打席が普通の引退試合で、3打席は異例です。勝利のために行った全力プレーは見事なヒットを生み、これがチームの最下位脱出をアシストする一打になりました。
1996年に、捕手としてドラフト4位で西武に入団。ところが伊藤勤・中嶋聡選手という2人の強力なキャッチャーがいたため、出場機会を得ることを目的に、98年から外野手にチャレンジしました。初めて規定打席に達したのは、30歳の02年。初のタイトルは33歳で、首位打者と最多安打でした。35歳で中日にFA移籍し、10年にはリーグMVPを獲得。今年6月11日には、史上最年長の通算2000本安打を達成しました。大学卒業と社会人経験を経てプロ入りし、通算2000本安打を達成したのは、ヤクルトの古田敦也・宮本慎也の両氏に続いて3人目。両選手との違いは、両リーグで1000本安打を達成していることです。
【プロ野球 小笠原道大選手】
9月21日、ナゴヤドームで行われた中日-巨人戦。小笠原選手は、5番ファーストで今シーズン2度目のスタメン出場。4回の2打席目、三遊間へのゴロで全力疾走して内野安打に。これが、2120本目の現役最後のヒットとなりました。プロ19年で通算打率3割1分。史上2人目の両リーグMVPに輝き、日本ハム・巨人・中日で活躍。ヘルメットを飛ばし、フルスイングを心がけ、最後までクールな侍でした。
2006年から10年まで、5年連続で打率3割、ホームラン30本をマーク。しかし通算2000本安打を達成した11年、打撃が一気に下降しました。このシーズンから導入された統一球最大の被害者、といわれる所以です。
【プロ野球 柳田悠岐選手】
トリプルスリーは、長打力に加え脚力も要求されるため、過去達成者は8人しかいない野手の勲章。今シーズンは、セ・パ両リーグでトリプルスリーが誕生しました。その1人が、ソフトバンク・ホークスの柳田選手。30盗塁した日に試合を観戦していた孫オーナーは、「生え抜きのスーパースターが誕生した」とご満悦の様子でした。
ちなみに1シーズンで2人のトリプルスリー達成は、1950年の松竹・岩本義行選手、毎日・別当薫選手以来65年ぶり。元々この記録を大々的に扱ったのはメジャーリーグで、『翼を持った長距離バッター』といわれてきました。それがやがて、野手の理想形とされるようになったのです。
【ラグビー エディ・ジョーンズ ヘッドコーチ】
今年のスポーツ界最大のサプライズは、現地時間9月19日のラグビーワールドカップ・イングランド大会で、日本代表が南アフリカを破ったこと。南アフリカはワールドカップで過去に2度の優勝経験があり、対する日本は過去にわずか1勝をあげたのみ。世界中が「信じられない」を連発した『史上最大の番狂わせ』を演出したのが、ジョーンズヘッドコーチです。
2012年にジョーンズヘッドコーチが就任してから、選手の意識改革が進められました。その上で、「ワールドカップのため、世界一の準備をした」とジョーンズヘッドコーチ。練習が始まるのは午前5時。これは『ヘッドスタート』と呼ばれ、「世界中が寝ている間に準備を始める。そうでなければ前には進めない」という考えの現れでした。1日の練習は、1回を2時間にした3部構成。このハードな練習が、一時的とはいえ世界ランクを9位まで押し上げ、ワールドカップでの快進撃を生み出したのです。
来週のスポーツ伝説は……
11月2日(月) プロ野球 真中満監督
11月3日(火) プロ野球 島田誠選手
11月4日(水) プロ野球 遠井吾郎選手
11月5日(木) ラグビー 五郎丸歩選手
11月6日(金) ラグビー リーチ・マイケル選手
以上の5名をご紹介します。