スポーツ伝説

1月4日~8日の放送内容

【プロ野球 吉見一起投手】

 トヨタ自動車を経て、2005年のドラフト希望枠で中日に入団した吉見投手。武器は“精密機械”と呼ばれたコントロールです。09年は16勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得。名実ともにエースとなり、10年も12勝を挙げ、4年ぶりのリーグ優勝に貢献しました。続く11年は、18勝3敗、防御率1・65という堂々たる成績で、中日を球団史上初のリーグ連覇へと導きました。
 しかし13年、右ヒジの故障でシーズン中にじん帯の再建手術を受け、この年はわずか1勝に終わります。翌14年は0勝。15年も3勝止まりで、一度は引退を決意したといいます。それでも踏みとどまったのは、15年に心不全で急逝した父親のお陰でした。「好きなことをやれ」という父親からの教えを思い出し、再起を決意した吉見投手。翌16年の勝ち星は6勝にとどまりましたが、21試合に登板し、1年間ローテーションを守り続けました。先発にこだわり、まっさらなマウンドに立ち続けた吉見投手。昨年11月6日、引退試合となった東京ヤクルト戦もバッター1人限定ながら、先発登板することになりました。最後も、アウトコース低めのストレートで空振り三振に仕留め、“精密機械”らしいピッチングで15年間のプロ野球人生を締めくくりました。



【プロ野球 細川亨選手】

 青森大学から、2001年にドラフト自由獲得枠で西武ライオンズに入団。以後、福岡ソフトバンク・東北楽天・千葉ロッテと、パ・リーグ4球団を渡り歩いた細川選手。西武とソフトバンクではチームを合計5度日本一に導いたことから、“優勝請負人”と呼ばれたこともありました。長く正捕手を務められたのは、球界随一とも言われたキャッチングなど、安定感のある守備力があったからです。
 もちろん、最初から安定した守備力を持っていたわけではありません。プロ1年目の春季キャンプでは、主力投手のキレのある変化球をうまくキャッチできず、わずか3球受けただけで交代させられてしまっています。この日以降、時間さえあればブルペンで一流ピッチャーの球を受け、全体練習が終わると一人だけ居残りしてピッチングマシンが投げるボールを受け続けた細川選手。そんな地道な努力を積み重ねて、球界随一といわれるキャッチング技術を身につけ、正捕手の座をつかんだのです。試合以外でもピッチャーを支え、チームに貢献し続けた19年間でした。



【プロ野球 久保裕也投手】

 久保投手は1980年生まれの40歳。埼玉西武ライオンズの松坂大輔投手と同学年の、いわゆる“松坂世代”です。2002年のドラフト自由獲得枠で巨人に入団しますが、プロ入り当初は練習嫌いで、先発投手として期待されながら目立った成績は残せませんでした。3年目からは中継ぎに転向しますが、自分を活かせる役割をなかなか見付けられません。
 転機となったのは、どこでも守れるユーティリティプレーヤーとして活躍した先輩・木村拓也選手との出逢いでした。木村選手から便利屋の生き方、何でもできることの強みを教えられたという久保投手。しかしその木村選手は、引退してコーチに転身した10年の開幕直後、試合前の練習中に突然倒れ、そのまま帰らぬ人になりました。これで気持ちが大きく変わった久保投手はこの年、自己最多の79試合に登板して32ホールドを記録。翌11年は、主に抑えとして20試合連続無失点を記録し、20セーブをマーク。中継ぎでも抑えでも活躍できる“投手版・ユーティリティプレーヤー”としてチームになくてはならない存在となったのです。



【大相撲 志摩ノ海航洋関】
 
 志摩ノ海関は幕下時代、十両昇進を目前にしていた2013年の7月場所で左ヒザに大ケガを負い、一時は序ノ口まで転落。しかしそこから再びはい上がり、19年5月場所で新入幕を果たした苦労人です。その新入幕の場所で10勝を挙げ、初の敢闘賞を受賞。それ以後は幕内の座を守り続けてきましたが、昨年の7月場所は5勝、9月場所は6勝と低迷。11月場所の番付は幕尻の東17枚目まで下がり、もう後がなくなっていました。
 開き直った志摩ノ海関は、11月場所の初日から5連勝。6日目に初黒星を喫しますが、7日目からまた6連勝。幕尻ながら、12日目を終えて11勝1敗と優勝争いのトップを走り、周囲をアッと言わせました。13日目には、1敗で並ぶ大関・貴景勝関と直接対決。勝てば初優勝が見えてくるところでしたが、さすがに大関は強く、押し出されて敗れました。14日目も、2敗で追っていた小結・照ノ富士関に連敗。優勝は夢と消えましたが、幕尻で11勝4敗と、最後まで場所を盛り上げた志摩ノ海関。この活躍が評価され、自身2度目の敢闘賞に輝きました。



【大相撲 千代の国憲輝関】 
 
 体重140キロ台の決して大きくない体で果敢な突き押しを武器に戦う千代の国関は、常に自分から攻めていくのがモットー。しかし土俵に上がったら必死に攻めるキップのいい相撲は、常にケガと隣り合わせでした。故障で休場しては番付を下げ、復帰してまた番付を戻すということを過去に何度も繰り返してきた千代の国関。最近では、幕内だった2019年の1月場所で勝ち越しを決めた翌日に、左ヒザのじん帯を痛めて途中休場。その後3場所連続で全休して、幕下まで番付を下げました。しかしケガが癒えると、昨年の7月場所で幕下優勝。続く9月場所も十両優勝を飾り、5度目の幕内復帰を果たしたのです。
 9場所ぶりに幕内へ復帰した昨年の11月場所。千代の国関は幕下に落ちていたときと同様、早朝から稽古場に出て若手とともに稽古を積みました。そんな地道な努力が実り、千代の国関は初日から快調に白星を重ね6連勝。その後足踏みしますが、みごと10勝を挙げて自身2度目の敢闘賞に輝きました。2021年の目標は、まだ経験していない三役昇進です。



来週のスポーツ伝説は……

1/11(月) 競   泳 佐藤翔馬選手
1/12(火) テコンドー 鈴木セルヒオ・リカルド選手
1/13(水) 体   操 寺本明日香選手
1/14(木) ゴ ル フ 古江彩佳選手
1/15(金) スピードスケート 郷亜里砂選手
                       
お楽しみに!!
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