【プロ野球 1992年 ドラフト会議】
1992年のドラフト会議で注目されたのが、石川県 星稜高校の松井秀喜選手です。甲子園で「5打席連続敬遠」という伝説を作った超高校級スラッガーを1位指名したのは、ダイエー・中日・阪神・巨人の4球団。当たりのクジを引いたのは、この年のオフに久々に巨人へ復帰したばかりの長嶋茂雄監督でした。実は松井選手本人は、子どもの頃から熱心な阪神ファン。過去、巨人の1位指名を受けた選手の会見は、ほとんどが喜びに包まれていましたが、異例の笑顔のない会見となりました。
【プロ野球 ドラフト会議“外れ1位”のスターたち】
ドラフトで1位指名が重複し、クジを外した球団が代わりに指名した選手、いわゆる“外れ1位”。面白いもので、1位指名された選手よりも“外れ1位”の方が活躍するケースが多々あります。去年のドラフトで指名された選手で言えば、横浜DeNAベイスターズの濱口遥大投手。DeNAは最初、明治大学の柳裕也投手を1位指名しましたが、中日との抽選に敗れ、代わりに桜美林大学の佐々木千隼投手を1位指名。ところがここでも5球団が競合し、この抽選も外して、3度目に指名した“外れ外れ1位”が神奈川大学の濱口投手でした。しかし、結果は大当たり。濱口投手は開幕から一軍入りし、ローテーションに定着。ベイスターズの新人投手では20年ぶりの10勝を挙げ、2年連続Aクラス入りに貢献したのです。
このほか“外れ1位”で活躍した選手といえば、2006年の高校生ドラフトで巨人が指名した、光星学院高校の坂本勇人選手。“外れ外れ1位”では、10年のドラフトでヤクルトが指名した、履正社高校の山田哲人選手が挙げられます。昨シーズン、坂本選手は初めて首位打者のタイトルを獲得し、山田選手も、史上初の2年連続トリプルスリーを達成。二人とも「侍ジャパン」の一員として第4回WBCに出場、チームの中心選手に成長しました。そして今シーズン、プロ22年目にして通算2000本安打を達成した荒木雅博選手も、1995年のドラフト会議で中日ドラゴンズが“外れ外れ1位”指名した選手でした。今年指名される選手は将来どんな活躍を見せてくれるのか、楽しみです。
【メジャーリーグ ドン・ラーセン投手】
投手にとって夢の記録、ひとりの走者も許さない「完全試合」。その達成者は、メジャーの長い歴史の中でも20人ほどしかいません。そんな夢の記録をワールドシリーズの大舞台で成し遂げたのが、ニューヨーク・ヤンキースのラーセン投手です。ラーセン投手は1953年、セントルイス・ブラウンズでメジャーデビュー。入団2年目にリーグワーストのシーズン21敗を記録するなど、当初は思うような結果を残せませんでしたが、その年のオフ、ヤンキースへ移籍したことで運命が大きく変わりました。
ヤンキース移籍1年目の55年、いきなり9勝2敗2セーブと活躍し、リーグ優勝に貢献。56年には自身初の二桁勝利となる11勝をあげ、ヤンキースもリーグ連覇を達成。ワールドシリーズの相手は、昨年敗れた因縁のドジャースでした。ラーセン投手はこのシリーズの2戦目に先発したものの、2回途中でノックアウト。しかしシリーズ2勝2敗のタイで迎えた第5戦で、再び先発のチャンスが巡ってきます。するとこの試合、ラーセン投手は抜群の制球力でランナーを許さず、ワールドシリーズ史上初のパーフェクトゲームを達成。これは、後にも先にも、ドン・ラーセン投手たった一人だけの大偉業です。
【メジャーリーグ ニューヨーク・メッツ】
今年9月、青木宣親選手が加入した、ニューヨーク・メッツ。今では人気球団ですが、かつてはあまりの弱さから“お荷物球団”と呼ばれた時代がありました。メッツが誕生したのは1962年。ナショナル・リーグの球団拡張に伴って新規参入したものの、他の歴史ある球団と比べると当然選手層も薄く、発足1年目の成績は40勝120敗。勝率2割5分という船出で、その後も毎年、最下位が指定席でした。その弱さは、「メッツが優勝するよりも前に、人類は月の上を歩くだろう」と揶揄されるほど。
しかし球団創設6年目の67年、新人のトム・シーバー投手がチーム最多の16勝で新人王を獲得すると、翌年も新人のジェリー・クーズマン投手が19勝を挙げる好成績。少しずつ選手が揃いはじめ、運命の69年を迎えます。1969年7月、アポロ計画の宇宙飛行士 ニール・アームストロング船長が人類初の月面歩行に成功。全米が空を見上げて歓声を上げたその3ヵ月後、メッツが100勝62敗の堂々たる成績で、初の地区優勝を果たしたのです。メッツは勢いそのままに、アトランタ・ブレーブスとのナショナルリーグ・チャンピオンシップも3連勝で勝ち抜き、ワールドシリーズに進出。かつてのお荷物球団の快進撃は“ミラクル・メッツ”と呼ばれ、野球ファン以外からも注目と喝采を集めました。
【メジャーリーグ シカゴ・カブス】
毎年のように名勝負が生まれる、メジャーリーグのワールドシリーズ。昨年の戦いもまた、例年以上に注目を集めるシリーズとなりました。対戦カードは、アメリカンリーグ王者のクリーブランド・インディアンス 対 ナショナルリーグ王者のシカゴ・カブス。注目を集めた一つの要因は、カブスの「ヤギの呪い」です。「ヤギの呪い」とは、1945年のワールドシリーズに端を発する因縁。当時、シカゴで飲食店を営んでいたビリー・シアニスさんは大のカブスファンで、いつもペットのヤギと一緒にカブスを応援していました。ところが、ワールドシリーズに出場したカブスをヤギと一緒に応援しようと球場を訪れると、球団関係者がニオイを理由に入場を拒否。怒ったシアニスさんは「カブスは二度とワールドシリーズで優勝できないだろう」と言い放ったのです。するとカブスは、この年のシリーズに敗れ、以降、世界一はおろかリーグ優勝とも無縁の球団に。これを野球ファンは「ヤギの呪い」と呼ぶようになりました。
迎えた去年のワールドシリーズ。かたや、世界一から遠ざかること108年のシカゴ・カブス。かたや68年間、ワールドチャンピオンとは無縁のクリーブランド・インディアンス。当時、世界一から遠ざかっている年数は、メジャー30球団の中でカブスが1位。インディアンスが2位。どちらが勝っても歴史的な出来事でした。結果は、カブスが悲願のワールドシリーズ制覇。優勝から2日後、地元シカゴで行われた優勝パレードに訪れたファンは、シカゴ市の人口約270万人の倍近い、500万人にも上りました。
来週のスポーツ伝説は……
10月30日(月) プロ野球 1984年 日本シリーズ
10月31日(火) プロ野球 1993年 日本シリーズ
11月 1日(水) サッカー ルヴァンカップ2016決勝戦
11月 2日(木) 横浜国際総合競技場
11月 3日(金) 全日本大学駅伝2016
お楽しみに!!