【プロ野球 菅野智之投手】
菅野投手は巨人の絶対的エース。今シーズンは15勝8敗、防御率2.14で、最多勝と最優秀防御率などのタイトルを獲得。しかもシーズン中に8つの完封勝利を記録するという、近鉄バファローズの鈴木啓示投手以来、40年ぶりの快挙を達成しました。エースとしての活躍を十分果たしている成績ですが、本人は、決して納得の行くシーズンではありませんでした。開幕から2試合連続で打ち込まれ、2連敗。2試合で10失点と本来とはほど遠い出来で、チームを上昇気流に乗せられなかったからです。その後、菅野投手は立ち直りましたが、チームは広島に独走を許し3位で終了。高橋由伸監督が、シーズン中に辞任を表明することになりました。
その悔しさをぶつけたのが、2位ヤクルトとのクライマックスシリーズ・ファーストステージ第2戦です。初戦に勝って、ファイナルステージ進出に王手をかけた巨人は、菅野投手が先発。すると、7回ツーアウトまで1人のランナーも許さない、完璧なピッチングを披露します。21人目のバッター・山田哲人選手にフォアボールを与えて完全試合はなくなりましたが、史上初となるクライマックスシリーズでのノーヒットノーランを達成しました。
【メジャーリーグ 大谷翔平選手】
北海道日本ハムファイターズに在籍していた2016年、投げては10勝を挙げ、打ってはホームラン22本と大活躍。二刀流を成功させ、チームを日本一へと導いた大谷選手。いよいよ今年からエンゼルスでプレーすることになり、かねてからの夢だったメジャー行きをついに実現させました。
大谷選手はメジャーでももちろん、ピッチャー・バッター両方でのプレーを選択。開幕直後にいきなり3試合連続ホームランを放ち、アメリカの野球ファンの度肝を抜きました。ピッチャーとしても、開幕からローテーションに入り、4月1日にはメジャー初登板・初勝利を記録。5月までに4勝を挙げ、「ベーブ・ルース以来の快挙」と全米に衝撃を与えました。ベーブ・ルース選手が投打に活躍したのは、まだ分業制が確立していなかった100年近く前のこと。つまり現代野球ではあり得なかったことを、大谷選手は1年目から、世界最高レベルのメジャーリーグでやってのけたのです。メジャー1年目の打撃成績は、ホームラン22本、打率2割8分5厘、打点61、さらに10個の盗塁をマーク。投手としては10試合に登板し、4勝2敗、防御率3.31でシーズンを終了。記者たちの投票で決まる、アメリカン・リーグの新人王を受賞しました。
【男子マラソン 大迫傑選手】
2020年の東京オリンピックに向け、日本人選手のレベルがどんどん上がっている男子マラソン。過去16年間、日本記録がずっと更新されない冬の時代が続きましたが、今年2月の東京マラソンで、設楽悠太選手がそれまでの記録を5秒更新する2時間6分11秒の日本新記録をマーク。すると10月、アメリカのシカゴマラソンで、その記録を21秒更新する2時間5分50秒という新記録が樹立されたのです。
その日本勢初の2時間5分台を叩きだしたランナーが、大迫選手。3000m、5000mで日本新記録を樹立し、トラック種目で着実に成長を遂げ、昨年4月にボストンマラソンでフルマラソンデビュー。この時のタイムは、2時間10分28秒でした。8カ月後の福岡国際マラソンでは、タイムを3分以上縮める2時間7分19秒をマーク。今年10月のシカゴでさらに記録を縮め、2時間5分台を叩きだしてみせたのです。
【スピードスケート 小平奈緒選手】
今年2月に開催された平昌冬季オリンピック。大会前から「最も金メダルに近い選手」と言われていたのが、女子スピードスケートの小平選手です。小平選手は2010年のバンクーバー大会でオリンピックに初出場。この時は500mで12位。14年のソチ大会では500mで5位でした。その後、スケート大国・オランダへ留学した小平選手は、フォーム変更に着手。前傾姿勢だった上半身を起こし、下半身は股関節を下げてより重心を低くしたのです。
その成果はすぐに結果となって現れます。それまで勝てなかったワールドカップで初優勝を遂げると、シーズン総合優勝も果たします。小平選手の500mの強さはその後さらに凄みを増し、16年10月からはワールドカップなど国内外のレースで24連勝と、無敵の絶対女王として平昌のリンクに乗り込みました。平昌では、日本選手団の主将として臨んだ小平選手。最初の種目である1500mで6位入賞を果たすと、次の種目1000mはトップとわずか0秒26差で銀メダルを獲得。少しずつ調子をあげ、ついに迎えた大本命の女子500m。小平選手は最初の100mを10秒26の素晴らしいタイムで通過すると、36秒94のオリンピックレコードを叩き出したのです。
【男子フィギュア 羽生結弦選手】
平昌冬季オリンピックで、男子フィギュアスケートの羽生選手が歴史的な快挙を達成しました。4年前のソチ大会に続き、2大会連続で金メダルを獲得したのです。しかもこの種目でのオリンピック連覇は、実に66年ぶりという大偉業でした。しかしその快挙の陰では、金メダルが獲れるかどうか以前に、「無事に滑り終えることができるか?」という厳しい戦いがありました。昨年11月、羽生選手はグランプリシリーズNHK杯の公式練習中に転倒し、右足首じん帯損傷という大ケガを負ってしまいます。オリンピックを見据え、グランプリファイナルも全日本選手権も欠場して、リハビリに専念。ようやく氷上練習を再開すると発表したのは、ケガから2ヵ月後の今年1月のことでした。
迎えたオリンピック本番。実戦で滑るのは4ヵ月ぶりというぶっつけ本番のショートプログラムでは、自身の世界最高記録に迫る高得点を叩き出し首位で発進。そして、連覇達成がかかった翌日のフリーでは、2015年に世界最高得点を連発したプログラム『SEIMEI』で、伝説となる4分半を演じました。この快挙達成から5ヵ月後の今年7月。オリンピック連覇の偉業をたたえるため、国民栄誉賞の受賞が決まった羽生選手。個人としては、歴代最年少となる23歳での受賞でした。
来週のスポーツ伝説は……
12月10日(月) プロ野球 新井貴浩選手
12月11日(火) プロ野球 浅尾拓也投手
12月12日(水) プロ野球 岡田幸文選手
12月13日(木) プロ野球 本多雄一選手
12月14日(金) プロ野球 大隣憲司投手
お楽しみに!!