スポーツ伝説

3月8日~12日の放送内容

【大相撲 大栄翔勇人関】

 今年の初場所は、西前頭筆頭で迎えた大栄翔関。得意の突き押しを武器に、初日から朝乃山関・貴景勝関・正代関と3大関を撃破します。さらに4日目から御嶽海関・高安関と両小結、6日目から照ノ富士関・隆の勝関と両関脇も破り、三役力士を総なめにする7連勝という快挙を成し遂げます。8日目も勝って、無敗のまま勝ち越し。この時点で、2敗勢とは星2つリードします。しかも残り7番はすべて平幕力士との対戦です。
 しかし初優勝へのプレッシャーか、大栄翔関は9日目に初黒星を喫すると11日目も敗れ、2敗の正代関に並ばれてしまいます。ここでようやく開き直ったという大栄翔関は、12日目から3連勝しみごと初の幕内優勝。追手風部屋にとっても初めての優勝でした。



【大相撲 明瀬山光彦関】

 明瀬山関は、相撲の名門・埼玉栄高校から日本大学を経て木瀬部屋に入門。2008年の初場所で初土俵を踏み、10年の九州場所で十両に昇進と、順調にステップアップしていきました。しかしその後はヘルニアにも悩まされ、十両と幕下を往復するなど低迷。16年春場所、入門から苦節8年でようやく新入幕を果たしました。学生相撲出身の力士が、新入幕まで所要48場所を要したのは、史上4位のスロー記録です。
 ところが明瀬山関はわずか1場所で、再び十両に陥落。そこからまた5年かけて今年初場所、28場所ぶりに幕内へ返り咲きました。35歳で迎えた初場所で、明瀬山関は初日からいきなり6連勝。初の幕内勝ち越しを決めたのです。今年は幕内に定着し、さらに上位を目指します。


  
【プロ野球 嶋基宏選手】

 地震が発生した2011年3月11日、東北楽天の1軍は遠征先の兵庫県でオープン戦を戦っている真っ最中でした。仙台のホームグラウンドが被災したため、1ヵ月ほど地元で試合ができず、ビジター球場での試合を続けることになります。その後開幕延期が決まり、4月2日、12球団がチャリティーマッチを開催。6球場で選手代表によるスピーチが行われ、特にファンの胸を打ったのが楽天・嶋選手の言葉でした。
 「見せましょう、野球の底力を。 見せましょう、野球選手の底力を。見せましょう、野球ファンの底力を」
 この年、嶋選手は守備の要・キャッチャーとしても、素晴らしい働きを見せました。エース田中将大投手は、19勝5敗、防御率1・27で投手タイトルを総なめにしましたが、特に嶋選手とのバッテリーでは18勝2敗、防御率0・998の好成績を残します。他のキャッチャーでは、1勝3敗、防御率2・57。嶋選手が、田中投手の長所を存分に引き出していた証拠です。二人はこの年、最優秀バッテリー賞を初受賞。2年後の13年、田中投手はレギュラーシーズン24勝無敗という圧倒的な成績を残し、嶋選手は正捕手として、楽天を球団創立初の日本一に導きました。



【サッカー ベガルタ仙台】
 
 2011年3月11日の東日本大震災で、宮城県仙台市をホームタウンとするベガルタ仙台も大きな打撃を受けました。クラブハウスもスタジアムも損傷が激しく、しばらく使用できなくなったのです。震災から18日後、再開する練習前のミーティングで手倉森誠監督は、選手たちにこんな言葉をかけました。「被災地の希望の光になろう」
 1カ月後の4月23日、Jリーグ再開の日にアウェーで川崎フロンターレと激突、いきなり死闘を演じます。1点を先制された仙台は、選手が何人も足を痙攣させるほど全力でピッチを駆けまわると、後半28分に同点ゴール。さらに試合終了間際に逆転ゴールを決め、遠く離れた被災地のサポーターに勝利を届けたのです。その後もベガルタ仙台は快進撃を続け、6月末に敗れるまで、開幕から12試合負けなしという偉大な記録を樹立。その立役者の一人が、フォワードの赤嶺真吾選手でした。9月には、クラブ新記録となる5試合連続ゴールを達成。このシーズン、赤嶺選手は自己最高の14ゴールを決め、仙台は4位と急成長。文字通り「被災地の希望の光」となったのです。



【サッカー 内田篤人・長友佑都選手】 

 東日本大震災が起こった翌日の2011年3月12日、ドイツではブンデスリーガ・シャルケ所属の内田選手が、日本語とドイツ語で書き込んだメッセージ入りのシャツを用意していました。「日本の皆へ 少しでも多くの命が救われますように 共に生きよう!」。内田選手は試合に勝った時だけ、このメッセージを見せようと考えていました。そんな思いを知ったゴールキーパーのマヌエル・ノイアー選手は、「俺が守って勝たせる。だから問題ない」と内田選手に告げ、試合に臨みます。ノイアー選手は1点を許したものの、その後はゴールを死守。そして試合終了間際、ノイアー選手からのロングキックからゴールが決まり、シャルケが勝利を収めます。試合後、メッセージ入りのシャツを着た内田選手を、サポーター前へエスコートするノイアー選手。その様子とメッセージ映像が発信され、被災地にも届けられたのです。
 震災直後、イタリアからメッセージを送ったのが、セリエAの名門インテル・ミラノに所属していた長友選手です。震災後、初めての試合となった、ヨーロッパチャンピオンズリーグの一戦。インテルが1点を追う厳しい状況のなか、試合終了間際に長友選手が出場。すると流れが変わって決勝ゴールが生まれ、インテルは劇的な勝利を挙げました。試合後、長友選手は「どんなに離れていても心は一つ。一人じゃない。みんながいる。みんなで乗り越えよう」と書かれた日の丸を掲げ、被災地へ想いを届けました。

  

来週のスポーツ伝説は……

3/15(月) 大相撲 栃ノ海晃嘉関
3/16(火) MLB トミー・ラソーダ監督
3/17(水) MLB ハンク・アーロン選手
3/18(木) MLB フィル・ニークロ投手
3/19(金) MLB ドン・サットン投手
                       
お楽しみに!!
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