スポーツ伝説

7月10日~14日の放送内容

【メジャーリーグ イチロー選手】

 野手で初めてメジャーリーグ・オールスターに出場した日本人選手は、シアトル・マリナーズに所属していたイチロー選手です。2001年、メジャー1年目だったイチロー選手は、開幕からヒットを量産。たまたまこの年、オールスターの開催球場がマリナーズの本拠地・セーフコフィールドだったこともあって、ファン投票では337万票以上を獲得。新人選手がアメリカン・ナショナル両リーグを通じて、ファン投票でトップになったのは、史上初の快挙でした。
 イチロー選手はその後、10年連続でオールスターゲームに出場。その中でもハイライトは、7回目の出場となった07年のオールスターゲームです。この時、イチロー選手は自身のキャリアにおいても、メジャールーグ・オールスターの歴史においても、初めてのランニングホームランを記録。3打数3安打2打点の大活躍で、見事にMVPを獲得しました。日本人選手のメジャーリーグ・オールスターMVPは、今なお、イチロー選手しか成し遂げていない勲章です。
  
 
   
【メジャーリーグ 野茂英雄投手】

 長い歴史を誇るメジャーリーグ・オールスターゲームに史上初めて出場した日本人選手といえば、当時ロサンゼルス・ドジャースに所属していた野茂投手です。1995年7月11日、テキサス・レンジャーズの本拠地で行われた試合で、先発投手という大役と共にオールスターデビューを果たしました。野茂投手は、この年がメジャー1年目。6月2日にメジャー初勝利を挙げると、6月だけで6戦6勝の好成績。個性的な選手が多いメジャーリーグの中でもさらに個性的な“トルネード投法”でアメリカの野球ファンの心もつかみ、ルーキーながら監督推薦でオールスター出場が決まったのです。
 そして迎えたオールスターデビュー戦。初回は見事3人で片付け、2回を投げて1安打3奪三振。この勢いのまま後半戦でも好成績をおさめ、メジャー1年目は13勝6敗。防御率はリーグ2位の2.54。236個の三振を奪い、最多奪三振のタイトルを獲得。新人王も受賞しました。
   

   
【プロ野球 山内一弘選手】
 
 日本のプロ野球でオールスターゲームが始まったのは、セ・パ2リーグに分かれた翌年の1951年から。そしてこの1950年代にMVPに3度輝き、最高殊勲選手を2度受賞、“元祖お祭り男”と呼ばれたのが、毎日オリオンズ・阪神タイガース・広島カープと在籍した球団すべてで主砲として活躍した山内選手です。
 山内選手は“シュート打ちの名人”と呼ばれ、プロ野球初の300号ホームラン、史上2人目の2000本安打を達成するなど、球史にその名を残す大打者。その山内選手がひときわ輝いた舞台こそ、オールスターゲームでした。現役生活19年で16回もオールスターに出場し、球宴での通算打率は3割1分4厘を記録。これは、“安打製造機”張本勲選手、大舞台に滅法強かった長嶋茂雄選手、“世界のホームラン王”王貞治選手をも上回る数字でした。

   
    
【プロ野球 掛布雅之選手】

 1978年に後楽園球場で行われた、オールスターゲーム第3戦。先発に各球団のスター選手がずらりと並ぶ中、セ・リーグの三番打者に抜擢されたのが、阪神タイガースの掛布選手です。掛布選手はこのとき、プロ5年目の23歳。3年目に27本、4年目に23本のホームランを放ち、当時の主砲・田淵幸一選手に続く“期待の若虎”と呼ばれていました。
 プロに入った時から、オールスターゲームでホームランを打つのが夢だった掛布選手。プロ3年目の76年に初めて出場しましたが、3打数ノーヒット。2回目の77年は、初戦の第1打席にヒットを打っただけで、12打数1安打という不本意な成績に終わりました。そこで、3回目となったこの年は「今度こそホームランを!」と意気込んでの出場だったのです。広島市民球場で行われた、第1戦。掛布選手は六番打者として出場し、2安打を放って優秀選手賞を獲得。続く第2戦はセ・リーグ打線がわずか4安打に抑えられ、0対9と完封負けする中、掛布選手は一人気を吐き、2安打を打って敢闘賞を獲得します。そして迎えた後楽園での第3戦、三番に打順も上がり、気合満々で臨んだ掛布選手は、4回の第2打席で遂に念願のソロホームラン。これで勢いに乗ると、5回の第3打席と8回の第4打席でも打球をスタンドに叩き込み、オールスター史上初の3打席連続ホームランを記録しました。

   

【プロ野球 オールスターゲーム】

 今年はセ・リーグ連覇を目指す広島カープ。初めてのリーグ優勝は今から42年前、1975年のことでした。球団創設から26年目のこの年、それまで優勝と無縁だったカープは、二人の頼れるスラッガー・山本浩二選手と衣笠祥雄選手を擁し、例年になく充実した戦いを進めていました。
 そんな中、7月19日に甲子園球場で行われたオールスターゲーム第1戦。山本選手はセ・リーグの三番、衣笠選手は六番でスタメン出場。初回、1点を先制し、ノーアウト三塁のチャンスで山本選手に打順が回ります。山本選手は、パ・リーグ先発の近鉄バファローズ・太田幸司投手のストレートをレフトスタンドへ叩き込み、さらに2点を追加。2者凡退のあと、今度は衣笠選手がレフトスタンドにソロホームラン。カープの主軸二人によるアーチ競演は、野球ファンに鮮烈な印象を残しました。続く2回、山本選手は第2打席で、パ・リーグを代表するエース・阪急ブレーブスの山田久志投手から2打席連続のホームラン。すると3回、先頭で打席に立った衣笠選手は、同じく山田投手からソロホームランを打ち、同じチームの二人が2打席連続でアベックホームランを放つという快挙を達成したのです。こんなことは、長いオールスターの歴史でも初めてのことでした。二人のこの活躍で勢いに乗ったカープは、後半戦さらに絶好調に。8月に首位に立つと、悲願のリーグ優勝を果たしました。

   
   
来週のスポーツ伝説はもお楽しみに!!
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