スポーツ伝説

4月4日~8日の放送内容

【マラソン 野口みずき選手】

 2004年アテネオリンピック・女子マラソンで金メダルに輝いた野口選手は、150㎝・40㎏の小柄な体格ながら、誰にも負けない練習量で頭角を現し、世界の頂点に立ちました。アテネの起伏の多いコースは、野口選手独特の全身を弾ませながら大きな歩幅で走るストライド走法には不向きと言われていましたが、そのハンディを筋トレで克服。気温35度という過酷なレースを制し、日本の女子陸上界にシドニーオリンピックの高橋尚子選手に次ぐ、2大会連続金メダルの快挙をもたらしました。
 翌05年には、ベルリンマラソンに出場。2時間19分12秒で優勝し、女子の日本最高記録を更新。これは11年経った今でも破られていません。「走った距離は裏切らない」とは、そんな野口選手の言葉。自分の限界まで徹底的に走りぬくことで頂点に立った、野口選手ならではのひと言です。



【プロ野球 谷沢健一選手】

 1976年のセ・リーグ首位打者争いは、例年にない白熱した戦いになりました。シーズン終盤までトップを走っていた張本勲選手は、パ・リーグで7度の首位打者に輝き、この年に日本ハムから巨人に移籍。江藤慎一選手に続く、史上2人目の両リーグ首位打者を射程にとらえていました。そんな張本選手に待ったを掛けたのが、谷沢選手。69年にドラフト1位で中日に入団した谷沢選手は、ルーキーイヤーこそ新人王に輝きますが、その後はタイトルと縁のないまま7年目のシーズンを迎えていました。入団以来一度も3割を打ったことがありませんでしたが、この年、ついに一念発起。目標を3割5分とすると、背番号を14から41に変更。ヘルメットも、67年に中日で首位打者に輝いた中利夫選手の物を被りました。このゲン担ぎが聞いたのか、谷沢選手の最終戦での打率は3割5分4厘8毛3糸となり、張本選手の打率3割5分4厘7毛7糸をわずか6糸だけ上回って初のタイトルを手にしたのです。
 その後、アキレス腱を痛めた谷沢選手は選手生命の危機に陥りますが、この時に張本選手に競り勝った経験を支えに復活。80年には、打率3割6分9厘の高打率で、2度目の首位打者に輝いています。
 

 
【プロ野球 古田敦也捕手】

 1991年10月16日のヤクルト対広島戦。プロ2年目のキャッチャー古田選手は、初の首位打者のタイトルを懸けて打席に立ちました。タイトルを争っていたのは、三冠王を3度獲得した中日の落合博満選手。古田選手は落合選手を一歩リードしてシーズン終盤を迎えますが、落合選手は残り2試合で6打数5安打の見事な固め打ちを見せ、古田選手を一気に逆転しました。その翌日、広島との最終戦に出場した古田選手。前日はなかなか眠れなかったと言いますが、球場に来てから吹っ切れました。見事にヒットを放つと、落合選手の3割3分9厘5毛をわずか3毛だけ上回り、念願の初タイトルを獲得したのです。
 キャッチャーが首位打者になったのは、師匠の野村監督が南海ホークスで三冠王に輝いた1965年以来、実に26年ぶり。セ・リーグでは、初の快挙でした。

 

【プロ野球 開幕最多連勝記録チーム】

 現在、プロ野球の開幕最多連勝記録は11で、過去2チームが達成しています。最初に達成したのは、1954年の西鉄ライオンズ(現・西武ライオンズの前身)。知将・三原脩監督が率いたチームを支えたのは、強力打線。大下弘選手、中西太選手、関口清治選手のクリーンアップトリオは、全員が20本以上のホームランを記録。さらにその前を強打の二番・豊田泰光選手が打つという、他のチームがうらやむような超重量級打線でした。西鉄はシーズン終盤まで南海ホークスと熾烈な優勝争いを繰り広げますが、開幕時の貯金が最後にものを言い、わずか0.5ゲーム差で逃げ切って優勝。西鉄にとっては、これが初のパ・リーグ制覇となりました。
 西鉄が打ち立てた開幕11連勝はしばらく破られませんでしたが、45年後の1999年、ついに大記録に並ぶチームが現れます。くしくも、45年前に日本シリーズで西鉄と対戦した中日ドラゴンズです。指揮を執っていたのは星野仙一監督。快進撃を支えたのは、充実した投手陣でした。先発は、野口茂樹投手と川上憲伸投手。若き左右のエースに、ベテラン・山本昌投手と、ダイエーからFAで獲得した武田一浩投手。リリーフ陣も強力で、ルーキー・岩瀬仁紀投手が中継ぎで65試合に登板。セットアッパーは落合英二投手、クローザーは韓国球界の英雄・宣銅烈投手が務め、磐石のリレーを見せてくれれました。 



【プロ野球 永淵洋三選手】

 北海道日本ハムファイターズの大谷翔平投手といえば、投手と野手の二刀流。その大谷投手より45年も前に、同じシーズンで投手と野手を兼任した元祖・二刀流が永淵選手です。社会人野球・東芝から入団したオールドルーキーは、代打でプロ初打席の初球を打って、プロ初ホームランという、これ以上ない衝撃のデビューを飾ります。しかし、ファンを驚かせたのはそれだけではありませんでした。永淵選手はダイヤモンドを1周すると、今度はすぐにブルペンで投球練習を始めたのです。実は永淵選手はもともと投手として入団。登録もピッチャーでした。
 型破りなデビューを飾った永淵選手はこの年、投手として12試合に登板し、0勝1敗。打者としては、74安打・ホームラン5本・30打点で、打率は2割7分4厘という成績を残しました。2年目の69年は、バッターに専念。打率3割3分3厘で、東映の張本勲選手と同率で首位打者のタイトルを獲得しています。球界きっての酒豪としても知られ、水島新司さんのマンガ『あぶさん』のモデルにもなりました。 

 

 来週のスポーツ伝説は……

  4月11日 競  泳 鈴木大地選手
  4月12日 プロ野球 巨人の背番号2をつけた選手たち
  4月13日 大リーグ 上原浩治投手
  4月14日 プロ野球 山本昌投手
  4月15日 プロ野球 シーズン50本塁打記録の選手たち

                       お楽しみに!!
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