スポーツ伝説

11月16日~20日の放送内容

【プロ野球 渡辺直人選手】

 渡辺選手は1980年度生まれ、いわゆる“松坂世代”の一人です。スターぞろいの黄金世代の中で、高校時代は無名の存在でしたが、大学・社会人野球で大きく飛躍。2006年の大学・社会人ドラフトで5位指名を受けて楽天に入団すると、野村克也監督に才能を見出され、1年目からすぐにショートのレギュラーになりました。するとガッツ溢れるプレーとリーダーシップで、チームの中心選手に。しかし10年のオフ、チーム編成の関係で横浜ベイスターズへ電撃トレードとなりました。
 その後に移籍した埼玉西武ライオンズでは、17年オフに戦力外通告を受けます。そこに再び声をかけてくれたのが楽天でした。37歳で古巣への復帰。必要とされたのは、渡辺選手のリーダーシップでした。球団史上初の選手兼任コーチに就任するなど、立場は変わっても、ムードメーカーとして、誰よりも声を出し続けた渡辺選手。今季での引退を決めましたが、常にファンの熱い声援と、選手たちからの厚い信頼を集めた野球人生でした。



【プロ野球 藤川球児投手】

 2005年、抑え投手につなぐセットアッパーとしてシーズン80試合に登板し、阪神のリーグ優勝に貢献した藤川投手。07年からはクローザー専任となり、長く阪神の守護神として活躍しました。その武器は何と言っても、150キロ台の“火の玉ストレート”です。今シーズンは、節目の日米通算250セーブ達成も期待されていましたがシーズン前半に2セーブを挙げてからは調子が上がらず、8月中旬に一軍登録を抹消されてからは、しばらく二軍での調整が続きました。そして9月1日、藤川投手は会見を開き、22年間の現役生活にピリオドを打つことになったのです。
 藤川投手といえば、07年に作ったセ・リーグ記録の「10連投」です。この間、チームも10連勝。最後の10連投目となったのが、東京ドームで行われた巨人戦でした。阪神の宿命のライバルには、常に対抗意識を燃やし続け、それが“火の玉ストレート”の威力をさらに増す原動力になりました。その打倒巨人の思いはしっかりと、後輩たちに受け継がれています。



【プロ野球 小川泰弘投手】

 夏真っ盛りの、8月15日。横浜スタジアムで行われたナイターの横浜DeNAベイスターズ戦で、東京ヤクルトスワローズの小川投手が、ノーヒット・ノーランを達成しました。プロ野球史上93回目、小川投手は82人目の達成者ですが、135球での達成は2リーグ制以降、史上3番目の球数の多さでした。この試合で、小川投手はある自己新記録も達成しています。最後のバッター・乙坂智選手を空振り三振に仕留めて快挙達成と共に、この試合10個目の奪三振を記録。実は小川投手にとって、2ケタ奪三振はプロ入りして初めてのことでした。このノーヒット・ノーランは、気温30度の厳しい環境を乗り越えた上に、過去の自分も乗り越えて成し遂げた、非常に価値のある大記録だったのです。
 小川投手は創価大学時代に、メジャーリーグで通算7度のノーヒット・ノーランを達成したノーラン・ライアン投手を参考に、左足を大きく上げるダイナミックな投球フォームを完成させます。プロ1年目の2013年には16勝をあげ、最多勝・最高勝率・新人王を獲得。“ライアン小川”の愛称で呼ばれ、エースとして活躍を続けてきました。ところが昨年は5勝12敗と大きく負け越し、一時はライアンフォームを封印するなど、試行錯誤の1年を過ごします。復活を目指し、生命線のストレートに磨きをかけ、新しくツーシーム習得にも取り組んだ今シーズン。開幕前の練習試合で打ち込まれる場面もありました。しかし開幕後は、自身初の開幕4連勝を記録。好調をキープし続けた先に、快挙達成が待っていたのです。



【プロ野球 菅野智之投手】
 
 10月6日、東京ドームで行われた巨人対DeNA戦。リーグ連覇に向けてマジックを減らしていた巨人の先発ピッチャーは、エースの菅野投手でした。今シーズン、開幕投手を務めた菅野投手は、この時点で開幕から負けなしの12連勝を記録。チームメイトの岩隈久志投手が2004年に近鉄時代に作った「開幕投手の連勝記録」に並んでいました。この日は、苦しみながらも7回3失点で降板。チームを勝利に導きました。これで菅野投手は、プロ球記録となる「開幕投手13連勝」と同時に、平成生まれでは初となる、通算100勝を達成。次の登板で今季初黒星を喫し、連勝記録は13でストップしましたが、偉大な金字塔を打ち立てました。  
 開幕投手に限定しない開幕からの連勝記録は、13年に東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手が作った24連勝です。この年、田中投手は「レギュラーシーズン24勝無敗」という空前絶後の成績を残し、チームを初の日本一に導きました。実はこの年の日本シリーズで、シーズン無敗の田中投手に、菅野投手はこの年唯一の黒星を付けています。結局、第7戦で巨人は敗れ日本一はなりませんでしたが、1年目に大舞台で日本球界を代表するエースに投げ勝ったことは、大きな自信となりました。



【プロ野球 石川雅規投手】 
 
 東京ヤクルトスワローズの石川投手が快挙を達成したのは、9月30日の横浜DeNAベイスターズ戦です。 今シーズン10試合目の先発を務めたベテラン左腕は、6回途中まで投げて4安打2失点。味方打線の援護に加えて、あとを受けたリリーフ陣がDeNA打線を1失点に抑え、石川投手に待望の今シーズン初勝利がつきました。この勝利で、現役最多の通算172勝目を挙げた、40歳の石川投手。ヤクルトの生え抜き投手が、40代で白星を挙げたのは初めてのことでした。さらに大卒投手では、史上2人目となる「19年連続勝利」も達成。ちなみに1人目は、巨人・西武で活躍した鹿取義隆投手です。ただし鹿取投手は、リリーフで挙げた白星がほとんどでした。大卒投手が19年連続で先発勝利を挙げたのは、石川投手が史上初とまさに記録ずくめの快挙でした。
 石川投手は今シーズン、40歳にして3年ぶり9度目の開幕投手を務めたことでも話題になりました。5回を投げ3失点と奮闘しましたが、後を受けたリリーフ陣が逆転を許し、40代での開幕戦勝利は幻に終わります。その後も、好投するものの白星には恵まれない日々が続きました。開幕から3ヵ月半。10試合目の登板で、ようやく手にした今シーズン初勝利。そんな石川投手の次の目標は、「通算200勝」です。



来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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