スポーツ伝説

4月24日~28日の放送内容

【サッカー 城彰二選手】

 高卒ルーキーにもかかわらず、開幕戦から4試合連続ゴール。1994年、ジェフユナイテッド市原の一員として華々しい活躍でJリーグデビューを果たし、“スーパールーキー”と呼ばれた城選手は、高校時代から高校サッカー界屈指のストライカーとして注目を浴びていました。
 1994年3月12日、Jリーグ2年目のファーストステージ開幕戦、市原はガンバ大阪との試合を迎えます。その開幕スタメンの中に、数日前に高校の卒業式を終えたばかりの城選手の名もありました。ベテラン選手でも緊張する開幕ゲームにもかかわらず、城選手は前半24分、先制点となるヘディングシュートで堂々のゴール。2試合目は、高校の先輩・前園真聖選手のいる横浜フリューゲルスと対戦。この試合でも見事なゴールを奪うと、3試合目の浦和レッズ戦では、試合終了間際に貴重な同点ゴールを決め、この試合のMVPに選ばれます。続くベルマーレ平塚戦でも2得点。城選手は、開幕から4試合連続ゴールを達成したのです。結局、この年は新人記録となる通算12ゴール。後にこの記録は更新されてしまいましたが、高卒新人記録としては、いまだに破られていない金字塔です。
  


【サッカー 中澤佑二選手】

 39歳になった今も、横浜F・マリノスの守備の要として活躍。今年、プロ生活19年目のシーズンに突入した中澤選手。日本代表で記録した17ゴールは、ディフェンダー登録の選手では史上最多。1対1での守備力やリーダーシップから、「日本歴代最高のディフェンダー」とも称される存在ですが、意外にもプロ入りするまでは全く無名の存在でした。それでもプロになる夢を諦めきれず、高校を卒業した1996年、中澤選手はアルバイトで貯めたお金でブラジルにサッカー留学。帰国後はJリーグ各クラブに手紙を書いて猛アピールを行い、なんとか練習生としてヴェルディ入団にこぎつけたのです。練習生としての生活は、肉体的にも金銭的にも厳しいものでしたが、手弁当で基礎体力づくりの地道な練習を繰り返した中澤選手。その努力が実って、どうにかプロ契約を結ぶことができました。
 そこからは、99年の開幕2試合目のセレッソ大阪戦でスタメンに抜擢されると、完封勝利の立役者として一気に注目を集める存在に。その後も順調に試合に出続け、日本代表の座もつかみました。練習生から代表入りしたシンデレラボーイとして大きな話題を集めた中澤選手。この年は新人王に加えて、Jリーグベストイレブンの栄誉も受賞。人気選手の仲間入りを果たしたのです。
 


【サッカー 武藤嘉紀選手】
 
 サッカー・ヨーロッパリーグは、いよいよシーズン終盤戦。その中にあって、ドイツ・ブンデスリーガでケガからの復活に賭けているのが、マインツの武藤選手です。JリーグのFC東京時代、無名の存在から一気に日本代表まで登りつめ、ドイツへ。しかし昨年1年間で3度も右ひざを負傷してしまいました。
 武藤選手の武器は、豊富な運動量とスピード感のある“縦への突破力”。加えて、自らの課題を的確にとらえることができる「頭の良さ」と、その課題をすぐに克服する「自己修正能力の高さ」です。ブンデスリーガではケガの影響もあって、まだまだ満足のいく結果は残せていない武藤選手。しかしケガさえ治れば、FC東京時代と同様にゴールを量産し、日本代表にも復帰してくれるに違いありません。
 


【シンクロ 武田美保選手】

 1996年のアトランタオリンピックでは、団体で銅メダルを獲得。続くシドニーとアテネでは、団体とデュエットの両方で銀メダルを獲得し、1人で5個のメダルを獲得した武田選手。しかし実は、アトランタオリンピックの代表候補に選ばれてからが大変でした。
 選考会は、14人の候補者が審査員たちの前で同じ演技を披露し、上位10人が代表に選ばれるというシステム。武田選手はその選考会の直前になって、自分の体が他の選手たちより固く、柔軟性がないことを審査員に指摘され、不安で練習が手につかなくなってしまいました。そんな中、自分の武器は、水の中でもまっすぐな倒立姿勢を保てる安定感だと気付いた武田選手。倒立の練習に集中し、長所を磨いて選考会で5位となり、夢だったオリンピック出場と銅メダル獲得を果たしたのです。
 


【陸上 織田幹雄選手】

 1905年に生まれた織田選手は、15歳で陸上競技に出逢い、天性のバネと負けず嫌いの性格で、たちまち才能を開花させていきました。特に跳躍系の競技に強く、17歳で走り高跳びと走り幅跳びで共に日本記録を更新。24年には19歳でパリオリンピックに出場し、三段跳びで6位に入賞。若くして日本陸上界の第一人者となりました。その後、早稲田大学に進むと、競争部の中心選手として早大の黄金時代を作り上げていった織田選手。28年のアムステルダム・オリンピックでは、三段跳びで日本人選手初となるオリンピック金メダルを手にしました。この快挙は日本の陸上界にとって大きな刺激となり、三段跳びは続く32年のロサンゼルス大会、36年のベルリン大会でも日本人選手が優勝。3大会連続で金メダルを獲得する“お家芸”となりました。
 『強い者は美しい』とは、晩年の織田選手が好んで色紙に書いた言葉。まだスポーツ科学が発達していなかった当時、自分の体の動きを研究し、強さと美しさを追求していった織田選手がいたからこそ、今の日本陸上界があるのです。


   
来週のスポーツ伝説は……

  5月1日(月) プロ野球 筒香嘉智選手
  5月2日(火) サッカー 小野伸二選手
  5月3日(水) テ ニ ス 杉山愛選手
  5月4日(木) 卓  球 福原愛選手
  5月5日(金) プロ野球 松井秀喜選手
            
                       お楽しみに!!
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