スポーツ伝説

12月7日~11日の放送内容

【陸上中・長距離 田中希実選手】

 陸上界のニューヒロイン・田中選手は、今年7月8日のホクレン・ディスタンスチャレンジ 3000mで、福士加代子選手が持っていた日本記録を18年ぶりに更新して優勝。さらに翌月、新しくなった国立競技場で初めて行われたトップ選手による陸上大会・セイコー ゴールデングランプリの1500mに出場すると、スタートから先頭に立ち、これまでの記録を2秒以上更新する4分5秒27で14年ぶりに日本新記録を樹立しました。
 父親の田中健智さんは、3000m障害で日本選手権に出場経験もある元陸上選手。その健智さんの指導の元、田中選手は800m、1500m、3000m、5000m、10000m、クロスカントリーの計6種目に挑戦にし、陸上界では異色のマルチランナーとなりました。種目によって求められる能力は異なりますが、メインとする5000mで世界を相手に戦うには、800mや1500mで必要なスプリント力が鍵になると田中親子は考えているのです。そんな親子の二人三脚で、田中選手は2021年も日本陸上界の先頭を走り続けます。



【陸上やり投げ 新井涼平選手】

 新井選手は2016年のリオ オリンピック代表選手であり、自己ベスト86m83は日本歴代2位。日本選手権では、14年から連覇を続けるやり投げ界の第一人者です。ただし、17年の冬に首を痛めてからは記録も伸び悩みました。昨年のアジア選手権では銅メダルを獲得するまで復調。その上り調子で東京オリンピックの代表争いに挑むはずでしたが、新型コロナウイルスの影響で選考大会は延期に。さらに緊急事態宣言でグラウンドは封鎖され、やりを使った練習も一切できなくなってしまいます。しかしそんな逆境に動じず、新井選手は実家がある埼玉県の長瀞に戻り、近くを流れる荒川の河原で、大小さまざまな石を色々な投げ方で投げて手の感覚を養いました。
 そして迎えた、7連覇のかかった今年の日本選手権。男子やり投げ決勝は、近年稀に見る激闘となりました。5投目を終えてトップにつけていたのは、ロンドンオリンピック代表で、大会記録保持者のディーン元気選手。この時点でディーン選手は、80m7センチと、この日唯一の80m超えのビッグスローを記録していました。追い詰められた新井選手に、残されたチャンスは最後の1投のみ。理想の投てきをイメージし直して放たれた6投目は高い軌道を描き、ディーン選手の記録をはるかに超える81m57センチ。新井選手が土壇場でディーン選手を逆転し、大会7連覇を果たしたのです。



【陸上競歩 池田向希選手】

 東洋大学の池田選手にとって、2020年はアスリート人生における大きな節目となった一年でした。3月15日、東京オリンピック代表最終選考会を兼ねた全日本競歩・能美大会で優勝。東京オリンピックの競歩20キロ代表に内定しました。その1ヵ月前、2月に行われた日本選手権は2位で代表内定を逃していただけに、喜びもひとしおでした。
 結果的に東京オリンピックは延期となりましたが、池田選手は歩みを止めませんでした。10月に行われた記録会の5000m競歩で、日本新記録を樹立したのです。メインはあくまでも20㎞ですが、5000mでも結果を出した池田選手。長距離レースでは、最後のスパート勝負でいかにトップスピードを保てるかがポイントになります。その意味でも大きな収穫となる日本新記録でした。



【競泳 大橋悠依選手】
 
 競泳の名門・東洋大学に入学後、2年生まで貧血などが原因で成績が低迷していた大橋選手。鉄分を多く摂ることで体質を改善、競泳日本代表のヘッドコーチを務める平井伯昌監督の厳しいメニューをこなして、その才能を開花させます。2017年の世界選手権で、200m個人メドレーで銀メダルを獲得。無名だった大学生が、一躍世界のトップスイマーの仲間入りを果たしました。
 しかし2年後の19年世界選手権では、優勝候補として200m個人メドレーの決勝に臨むも、泳法違反によりまさかの失格。落ち込んで泣いていた大橋選手でしたが、スタッフの言葉で気持ちを吹っ切ると、400m個人メドレーで銅メダルを獲得しました。今年10月18日に行われた日本短水路選手権の200m個人メドレーでは、自身の持つ日本記録を2年ぶりに更新する2分5秒09をマークし優勝。さらに11月5日、ハンガリーのブダペストで行われた競泳国際リーグで、その日本記録を0秒05更新する、2分5秒04をマーク。9日後の同じ大会で2分3秒93と、またも1秒以上もタイムを縮め、大橋選手はひと月足らずの間に3度も日本記録を塗り替えてみせたのです。



【競泳 松元克央選手】 
 
 昨年の世界選手権200m自由形で銀メダルを獲得し、世界のトップスイマーの仲間入りをした松元選手。自由形は日本人選手に分が悪い種目ですが、松元選手は身長186㎝の大柄で体格も外国勢に決して引けをとりません。ソウルオリンピック金メダリスト・鈴木大地選手を育てた名伯楽・鈴木陽二コーチの指導を受け腕を磨いています。次に目指すは当然、東京オリンピックでの金メダル。そこで今年2月に行ったメキシコ合宿では、目標タイムを1分44秒台に設定。これは、「リオオリンピックの優勝タイム1分44秒65を上回らないと金はありえない」という松元選手の意思の表れでした。
 しかし、3月に東京オリンピックの1年延期が決定。すべての大会が白紙になり落ち込んだ時期もありましたが、徐々に気持ちを切り替え、10月17日に行われた日本短水路選手権では、昨年自身が作った記録を0秒31更新する、1分42秒10の日本新記録で優勝。さらに10月31日、ブダペストで行われた競泳の国際リーグでは、1分41秒77のタイムを叩き出し、リオの銀メダリストを破って1位となり、わずか2週間でまたもや日本新記録を更新してみせました。



来週のスポーツ伝説は……

12/14(月) プロ野球 坂本勇人選手
12/15(火) プロ野球 大野雄大投手
12/16(水) プロ野球 周東佑京選手
12/17(木) 女子テニス 大坂なおみ選手
12/18(金) M L B ダルビッシュ有
                       
お楽しみに!!
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