スポーツ伝説

7月23日~27日の放送内容

【高校野球 2014年・全国高校野球石川大会】

 石川県の名門・星稜高校。1979年夏には和歌山県の箕島高校と延長18回を戦う名勝負を演じ、92年夏の明徳義塾戦では松井秀喜選手が5打席続けて敬遠されるなど、甲子園でたびたび伝説を作ってきました。
 その星稜高校が地方大会でも脚光を浴びたのが、2014年の夏のこと。石川大会を勝ち抜き、2年連続17度目の甲子園出場に王手をかけた星稜は、決勝で小松大谷高校と対戦。真夏の石川県立野球場で必勝を期して戦いに臨んだ星稜ナインでしたが、エース・岩下投手が29年ぶりの甲子園がかかる小松大谷の猛攻を浴び、0対8と大差をつけられたまま9回ウラ星稜、最後の攻撃を迎えました。絶体絶命のピンチ。しかしここから星稜は、8点差をハネ返して甲子園というとんでもないミラクルを起こしたのです。

  
   
【高校野球 2007年・全国高校野球神奈川大会】

 去年の春に行われた第4回ワールド・ベースボール・クラシックで、“侍ジャパン”のエースを務めた、巨人・菅野智之投手と、主砲を務めた、DeNA・筒香嘉智選手。二人は高校時代、夏の全国高校野球・神奈川大会で対戦しています。
 それは2007年、横浜スタジアムで行われた神奈川大会の準決勝。菅野投手は、東海大相模高校の3年生でエース。筒香選手は、横浜高校で1年生ながら四番を打つスラッガーでした。試合は3回まで両校無得点という、緊迫したゲームになりましたが、4回、思いがけないハプニングが起こります。横浜高校のキャッチャーの思い違い、で非常に珍しい「振り逃げスリーラン」が成立してしまったのです。この3点がモノを言って、6対4で東海大相模高校が決勝に進出。横浜高校は涙を飲みました。

      

【高校野球 1998年・全国高校野球青森大会】

 全国各地で盛り上がりを見せる、高校野球の地方大会。今年は夏の甲子園が記念すべき第100回大会を迎えるとあって、例年以上に注目を浴びています。“平成の怪物”こと松坂大輔投手を擁する横浜高校が春夏連覇を成し遂げた、ちょうど20年前の1998年。地方大会でも、例年にないドラマがいくつも生まれました。そのひとつが、青森大会の2回戦、東奥義塾高校 対 深浦高校の試合で起きた<122対0>という衝撃のスコアです。
 東奥義塾は、過去4度も甲子園を経験した、青森県内でも指折りの強豪校。一方の深浦高校は1年生ばかりで、部員はたった10人の公立高。先攻は東奥義塾高校で、1回表にいきなり打者42人、27安打の猛攻で39得点。攻撃時間は57分間にも及びました。その後も東奥義塾打線は容赦なく攻め続け、7回コールドで決着がつくまで、試合時間は3時間47分。スコアに記されたヒットの数は86安打。盗塁数は78と、異例の数字が並びました。東奥義塾高校は、毎回得点で122点を挙げ、それまでの地方大会記録 72点を62年ぶりに更新。今では「5回で10点差、7回で7点差以上がつけばコールドゲームが成立」という全国ルールができているため、この試合は今後おそらく破られないであろう伝説の大差ゲームとなりました。
   
  
    
【高校野球 大谷翔平選手】
 
 のちにプロ野球で活躍する選手たちの中にも、最後となる3年生の夏に甲子園の土を踏めなかった選手は大勢います。今年、投打の二刀流でメジャーに旋風を巻き起こしたロサンゼルス・エンゼルス、大谷投手もそのひとりです。大谷投手は高校時代、岩手の名門・花巻東高校でプレー。2011年に高校2年で出場した夏の甲子園では、田中将大投手以来となる2年生での球速150キロ超えをマークします。翌12年、大谷投手は3年春のセンバツで、この大会を制した大阪桐蔭高校と初戦で対戦。敗れたものの、相手のエース・藤浪晋太郎投手からホームランを放つなど、この頃から投打二刀流の潜在能力を発揮しつつありました。
 そして迎えた最後の夏。甲子園出場を目指した岩手大会準決勝で、大谷投手は高校生史上初の球速160キロを計測。一躍、マスコミ注目の存在となったのです。甲子園出場まで、あと1勝。しかし雨天順延と、この夏に岩手で開催されたプロ野球オールスターゲームのため、準決勝から決勝まで中6日も間が空く高校野球では異例の日程が、大谷投手のリズムを狂わせます。しかも大谷投手は、準決勝で記録した160キロのおかげで注目度が高まり、そのプレッシャーが心身のバランスを崩してしまったのです。3対5で敗れた決勝戦後、大谷投手は「際どい当たりだったけど、そこに投げてしまった自分のせいです」と、大粒の涙を流しました。
   
 
 
【高校野球 清宮幸太郎選手】
 
 2017年夏、甲子園出場を目指した戦いで大いに注目されていたのが、西東京大会の早稲田実業・現在は北海道日本ハムファイターズの清宮選手です。ファンの関心事は、高校通算ホームラン数の記録更新でした。清宮選手が高校に入学して以来、最後の夏の大会が始まるまでに放ったホームランの数は、公式戦・練習試合あわせて103本。それまでの高校通算最多は107本。あと5本で記録更新だったのです。西東京大会初戦、清宮選手は第1打席でいきなり先制となる高校通算104号ホームランを放ちます。試合もコールド勝ちすると、次の試合では公式戦自身初となる105号 満塁ホームランで圧勝。次の試合でもホームランを放ち、春の大会から数えると、公式戦8試合連続ホームランという怪物ぶりを発揮。この106号アーチで、ベスト8進出に大きく貢献します。準々決勝ではホームランこそ出ませんでしたが、試合には勝ってベスト4進出。そして準決勝で、ついに歴代1位に並ぶ107号ホームラン。試合にも勝ち、春夏連続の甲子園出場へあと1勝と、高校通算ホームラン記録更新へあと1本のダブル王手をかけたのです。
 迎えた運命の西東京大会・決勝は大注目の一戦でしたが、清宮選手は3打数1安打。新記録達成はならず、試合にも敗れて甲子園出場は夢と消えました。しかしその実績が評価され、清宮選手は地方大会敗退組では異例の全日本メンバー入り。国際大会で高校通算ホームラン記録を111号まで伸ばし、高校野球の歴史に大きな足跡を残したのでした。

  
   
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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