スポーツ伝説

6月20日~24日の放送内容

【水球 日本代表ポセイドン・ジャパン】

 去年の12月に中国・佛山で行われた水球のアジア選手権は、リオオリンピックのアジア大陸予選を兼ねており、出場枠を獲得できるのは1位のみでした。日本は3戦全勝で最終戦を迎え、相手は同じく全勝の中国。完全アウェーの雰囲気の中、日本は得意の速攻で中国を突き放し、16対10で快勝。ロサンゼルス大会以来、32年ぶりのオリンピック出場を決めました。
 この快挙の背景にあったのが、厳しい合宿と、大本洋嗣監督の新戦術『パスライン・ディフェンス』です。これは一切ゴールを守らず、相手にマンツーマンで当たっていくという、これまでの常識を破ったシステム。日本人選手の武器であるスピードと泳力を活かし、失点恐れず前に出て敵のパスコースを潰し、素早くカウンター攻撃に転じるのが狙いです。そのためには相手を上回る体力が必要となりますが、そこで大本監督が手本にしたのが、ワールドカップで南アフリカを破ったラグビー日本代表。1年の半分は合宿にあて、筋トレとプール練習をこれまでの倍以上こなしました。オリンピックでラグビーのような風を吹かせられるか、まずは初戦に注目です。 



【7人制ラグビー 女子日本代表サクラセブンズ】
 
 今大会から新たに正式種目となった7人制ラグビー。去年11月に東京の秩父宮ラグビー場で行われたリオ・オリンピックアジア最終予選決勝で、サクラセブンズはライバルのカザフスタンに快勝。リオへの切符を手にしました。
 7人制ラグビーがリオオリンピックの正式種目になると決まったのは、2009年のこと。前後半7分ずつで行われる7人制ラグビーは、展開がスピーディーで点が入りやすく、15人制に比べて番狂わせが起きやすい競技です。そこでラグビー協会は、若い才能の発掘や他競技からのスカウトなど、総力を挙げて7人制のチーム強化に取り組んできました。桑井亜乃選手は円盤投げから転向、代表キャプテンを務める中村千春選手も6年前まではバスケットボールの選手。そこに一から始めた選手も加え、ラグビー漬けの生活を送ってきたサクラセブンズ。『自立・思いやり・感謝・礼儀・誇り・敬意・和』の7か条を胸に、フィールドの中でも外でも世界一を目指します。
 
 

【女子バスケットボール 渡嘉敷来夢選手】

 アテネ以来3大会ぶりにオリンピックを決めた、女子バスケットボール日本代表アカツキファイブ。その中心となって活躍したのが、身長190㎝を超える大黒柱・渡嘉敷選手です。
 去年4月にアメリカのプロチーム『シアトル・ストーム』と契約し、単身渡米。日本ではWリーグ8連覇中の強豪チーム・JX-ENEOSサンフラワーズに在籍していますが、オフシーズンを利用して初の海外挑戦を決めました。1年目は30試合に出場し、1試合平均8.2得点、3.3リバウンドをマーク。ルーキーとしては上々の活躍を見せ、WNBA新人ベスト5にも選出されました。大きな手ごたえと共に9月に帰国すると、JX-ENEOSに戻ってプレーし、チーム8連覇に貢献。2年連続でレギュラーシーズンMVPに輝いています。「オリンピックでは、アメリカとやりたい」と胸を躍らせている渡嘉敷選手。“世界のラム”の活躍に期待です。
 


【プロ野球 小笠原慎之介選手】

 高校球児たちの憧れである、夏の全国高校野球。優勝投手の栄冠を手にできるのは毎年たった一人ですが、かつては「夏の甲子園の優勝投手はプロで大成しない」というジンクスもありました。
 中日の小笠原投手は、まさに去年の夏の甲子園の優勝投手。5月31日のソフトバンクとの交流戦開幕戦で、高卒ルーキーとして史上初の先発登板を果たしました。しかも相手は、2年連続日本一のソフトバンク。「日本一強いチーム。打たれて当たり前だと思って、思い切り投げていきたい」との言葉通り、小笠原投手は強力ホークス打線を相手に、5回1失点の堂々のピッチングを披露しました。結局リリーフ投手が打たれ、残念ながらプロ初登板・初勝利はなりませんでしたが、王者相手に一歩も引かなかったところは、さすが夏の甲子園優勝投手。インパクト十分のデビュー戦でした。 



【プロ野球 尾崎行雄投手】
 
 1961年の全国高校野球で、大阪代表・浪商高校の2年生エース・尾崎投手は初の全国制覇を達成しました。その武器は、時速160キロを超えていたとも言われる剛速球。“怪童・尾崎”と呼ばれたゆえんです。しかし尾崎投手は、優勝投手となった年の11月に突然高校を中退。まだドラフト制がなかったため、プロのスカウトたちによる争奪戦が繰り広げられましたが、尾崎投手が選んだのはパ・リーグの東映フライヤーズ。「セ・リーグは人気先行だから」という反骨精神も、尾崎投手の魅力でした。
 入団後は1年目から20勝9敗の好成績を挙げ、リーグ優勝に貢献。史上最年少の18歳で新人王に輝くと、3年目の64年から3年連続で20勝をマーク。独特のロッキング・モーションが類まれなスピードを生んでいましたが、そのフォームが肩を痛める原因にもなりました。プロ入り後、6年間で104勝を挙げた尾崎投手ですが、その後の6年間ではわずか3勝しか挙げられず、73年に29歳の若さで現役を引退。2013年、癌のため惜しまれつつこの世を去りました。

 

来週のスポーツ伝説は……

  6月27日(月) プロ野球 山口高志投手
  6月28日(火) プロ野球 松岡弘投手
  6月29日(水) プロ野球 郭泰源投手
  6月30日(木) プロ野球 小松辰雄投手
  7月 1日(金) プロ野球 村田兆治投手
            
                       お楽しみに!!
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