スポーツ伝説

3月6日~10日の放送内容

【野球 キューバ代表】
 
 野球の国際大会において、長らく王者として君臨し続けたのがキューバ代表です。1992年、バルセロナオリンピックで金メダルに輝くと、次のアトランタ大会では見事に連覇を達成。オリンピックで野球が正式種目となったバルセロナから北京までの5大会で、金3個・銀2個と、すべての大会でメダルを獲得したのはキューバだけです。オマール・リナレス、オレステス・キンデラン、アントニオ・パチェコなどのスラッガーを擁し、強力打線を誇ったキューバ代表は、ユニフォームの色から名付けられた“赤い稲妻”の異名で、今なお世界から恐れられています。
 日本代表も長らく、キューバ代表に苦しめられてきました。過去の対戦成績は20勝55敗4引き分けと大きく負け越し。そんな強敵と、開幕戦でぶつかることになった第4回WBC。世界一奪還のためにも、幸先のいいスタートが期待されます。

   

【野球 オーストラリア代表】

 ナショナルチームの強さを示す世界野球ランキングにおいて、日本代表は昨年末の時点で世界1位。一方、7日に対戦するオーストラリアは11位。それにもかかわらず、苦手意識を感じてしまう理由は、2004年のアテネオリンピックでの苦い敗戦です。日本は、00年のシドニーオリンピックにプロ・アマ混成チームで出場しましたが、オリンピックで初めてメダルを逃すという屈辱を味わいました。メダル奪還はもちろんのこと、金メダル獲得を目指し、初めてオールプロで挑んだのがアテネ大会でした。アテネ本番、日本は予選リーグを6勝1敗の好成績で首位通過。その時、唯一敗れた相手がオーストラリアだったのです。国際大会への出場経験が少ないオーストラリアに対するデータが不足していたことが最大の敗因と言われました。予選1位通過で準決勝に進出した日本代表ですが、相手はここでも、予選4位のオーストラリア代表。決勝進出をかけた大一番、日本の先発マウンドを任された松坂大輔投手は、5回までにスタメン全員から三振を奪う圧巻の投球を見せますが、打線がオーストラリアの先発・オクスプリング投手を攻めあぐねます。その理由は、またしてもデータ不足。結局“天敵”オーストラリアの前に、金メダルの夢はあえなくついえたのでした。
 そんなオーストラリア代表を率いるのは、ジョン・ディーブル監督。00年のシドニーオリンピックから代表監督を務め、日本に2連勝した04年のアテネ大会でもチームを指揮。WBCでも、06年の第1回大会から3大会連続で代表監督を務めています。また、ボストン・レッドソックスの環太平洋地区担当スカウトとしての経歴も持ち、松坂投手や田澤純一投手のレッドソックス入団にも尽力した、日本球界を熟知する人物です。今回のオーストラリアとの対戦は、選手たちの力量はもちろん、ベンチワークや情報収集能力など、日本野球の総合力が問われています。


          
【大相撲 玉鷲一朗関】

 もうすぐ初日を迎える、大相撲春場所。17年ぶりの4横綱でどんな場所になるのか、楽しみは尽きません。そんな中、次の大関候補として注目されているのが、関脇の玉鷲関です。玉鷲関はモンゴルの首都・ウランバートル出身で、ホテルマンを夢見て母国の食料技術大学に入学したという、異色の経歴の持ち主です。
 そんな玉鷲関は、様々なスロー記録の持ち主でもあります。はじめて三役の小結に昇進したのは、2015年の春場所。初土俵から所要66場所での新三役は、外国出身力士の中で歴代1位のスロー記録でした。同じ年の夏場所9日目には、横綱・日馬富士関を突き落としで破り、入門以来初めてとなる金星を獲得。30歳6カ月での初金星は、これも外国出身力士として最も遅い記録です。小結に返り咲いた昨年の九州場所では、1横綱3大関を破る快進撃で10勝をマークし、初の三賞となる技能賞を獲得。初土俵から所要77場所での三賞初受賞は、やはり外国出身力士歴代トップのスロー記録。そして新入幕から所要49場所での関脇昇進は、史上5位タイのスロー記録でした。新関脇として臨んだ今年1月の初場所では、9勝6敗と安定した成績を残した玉鷲関。32歳と遅咲きではありますが、大関候補に名乗りをあげています。
   
  
   
【大相撲 豪風晃関】
 
 今年の初場所で6場所ぶりに10勝を挙げ、さらに番付を上げるべく春場所に臨む37歳のベテラン・豪風関。2002年の夏場所に幕下15枚目格付出で初土俵を踏み、デビューわずか6場所目で新入幕。その後、十両に落ちたこともありましたが、05年の夏場所から12年近くにわたって幕内の座を維持しています。14年の秋場所では、35歳2ヵ月で初めて関脇に昇進し、新関脇の戦後最年長記録を作りました。
 力士の中では小柄なタイプの豪風関ですが、初場所8日目には、巨漢力士・魁聖関を相手に一本背負いを繰り出しました。柔道ではよく聞く技ですが、相撲の決まり手としては非常に珍しく、幕内では14年初場所に里山関が決めて以来3年ぶりのこと。実は豪風関、中学まで柔道をやっており、04年の夏場所にも金開山関に一本背負いで勝っています。それ以来13年ぶりの“一本勝ち”でしたが、幕内で2度も決めたのは史上初の快挙でした。
    

  
【大相撲 稀勢の里寛関】

 今年の初場所で、14勝1敗の成績を挙げ初優勝。悲願の横綱昇進を果たした稀勢の里関。本来、横綱昇進は大関で2場所連続優勝が大前提ですが、2場所前の九州場所、稀勢の里関は3横綱を全員撃破しながら12勝止まり。優勝を逃しています。それにもかかわらず横綱昇進が認められた理由は、抜群の安定感にあります。稽古で鍛え抜いた強靱な体を武器に、入門以来15年間で、休場したのはわずか1日だけ。しかも大崩れすることはほとんどなく、去年は6場所合計で69勝を挙げ、1度も優勝せずに年間最多勝に輝くという史上初の記録を作りました。満場一致で横綱推挙を受けたのは、この安定感と、誰もが認める相撲に対する真摯な姿勢を買われたからなのです。
 しかし、依然指摘されるのは精神面のもろさ。過去、優勝すれば横綱昇進という場所で下位に取りこぼすシーンが何度もありましたが、先月両国国技館で行われた大相撲トーナメントでは、みごと初優勝。綱を張っての初Vは、本人にとっても大きな自信となったに違いありません。
   
   
   
来週のスポーツ伝説は……

  3月13日(月) 高校野球 王貞治選手
  3月14日(火) 高校野球 江川卓投手・松井秀喜選手
  3月15日(水) 高校野球 松本稔投手・中野真博投手
  3月16日(木) 高校野球 小川泰弘投手
  3月17日(金) 高校野球 清宮幸太郎選手
            
                       お楽しみに!!
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