スポーツ伝説

11月2日~6日の放送内容

【大相撲 翔猿正也関】

 今年9月の秋場所に、東前頭14枚目で新入幕を果たした翔猿関。東京・江戸川区出身の江戸っ子で、兄は元幕内で現在十両の英乃海関です。翔猿関は兄とは違う追手風部屋に入門。2017年7月の名古屋場所で十両に昇進しますが、身長175㎝という小柄な体格もあって、それからしばらく足踏みが続きます。このままでは上は目指せないと、体重を増やし、ジムへ通って体幹を鍛え、押しに負けない強靱な肉体を作り上げました。そんな地道な努力が実り、3年かけてようやく十両を突破。翔猿関は、史上11組目の「兄弟で幕内を経験した力士」となりました。
 新入幕の秋場所は初日から4連勝を飾ると、9日目からも5連勝。13日目を終えて11勝2敗で、関脇・正代関と並んで優勝争いのトップに立っていました。もし新入幕優勝となれば、大正時代以来、実に106年ぶりの快挙です。しかし14日目は大関・貴景勝関に敗れ、千秋楽は単独トップとなった2敗の正代関と対戦。正代関を土俵際まで追いつめながら最後は突き落としを食らい、11勝4敗で場所を終えました。優勝こそ逃しましたが、新入幕ながら土俵を盛り上げた功績から、敢闘賞を受賞しました。
  


【大相撲 正代直也関】

 今年の秋場所は、横綱白鵬関・鶴竜関の不在もあって、未曾有の大混戦となりました。そんな中、千秋楽2敗で単独トップに立っていたのは東関脇の正代関。最後の相手は、3敗で追う新入幕の翔猿関でした。もし正代関が敗れると、同じく3敗の大関・貴景勝関も交えた、3力士での優勝決定戦に縺れる大一番。正代関は序盤、翔猿関に攻め込まれましたが。何度も体勢を立て直し、最後は土俵際で突き落とし。悲願の初優勝を決め、場所後には大関昇進も決まりました。
 大関伝達式の口上は「至誠一貫の精神で相撲道にまい進してまいります」。中国の古典から取った「至誠一貫」とは、「最後まで誠意を貫き通す」という意味。至誠一貫、まっすぐ目指す次の目標はもちろん、最高峰の「横綱」です。



【ゴルフ 笹生優花選手】

 今年8月に行われた、国内女子ツアーの今シーズン第2戦・NEC軽井沢72トーナメント最終日。首位に1打差の3位でスタートした注目のルーキー、笹生選手は、1イーグル・7バーディー・ノーボギーという猛チャージを見せ、スコアを9打縮めて逆転。2位に4打差をつける、見事なツアー初優勝を飾りました。笹生選手は2001年生まれ。21世紀に生まれた選手の優勝は初めてで、しかも笹生選手はこの大会が、プロ2戦目でした。続くツアー3戦目のニトリ・レディスでも、笹生選手は“黄金世代”のひとり、小祝さくら選手との接戦を制し、2大会連続優勝。10代では、宮里藍選手らに次ぐ史上3人目の快挙でした。
 昨年、日本のプロテストに合格した笹生選手は、“ジャンボ”こと尾崎将司選手のもとで腕を磨き、今年プロデビュー。早くも大器の片鱗を見せ付けました。笹生選手の強さの要因のひとつは、師匠・尾崎選手も驚く飛距離です。ドライバーショットの平均飛距離は、国内女子ツアーでもトップクラスの260ヤード。時には、男子プロ顔負けのロングショットを放つことも。そんな笹生選手の目標は、世界最高峰のアメリカツアーでトップになること。これからの活躍が期待されます。



【ゴルフ コリン・モリカワ選手】
 
 今年8月、無観客で開催された今シーズン最初のメジャー大会・全米プロゴルフ選手権。一時は首位に7人が並ぶ大混戦を制したのは、23歳の新鋭・モリカワ選手でした。世界アマチュアランキング1位に立つなど、アマで輝かしい実績を残し、昨年プロに転向したモリカワ選手。わずか6試合目でアメリカツアー初優勝。今年7月に2勝目を挙げると、メジャー挑戦わずか2度目にして全米プロ優勝を勝ち取ったのです。
 モリカワ選手は身長175㎝・73kgとアメリカツアーに参加している選手の中では、小柄な体格です。大柄な選手との飛距離の差は歴然としていますが、それでも勝てる要因は正確で安定感のあるショットとパットにあります。フェアウエーキープ率・パーオン率が高く、プロ転向後に記録した「22試合連続・予選通過」は、タイガーウッズの25戦に次ぐ2番目に長い記録でした。全米プロを制したことで、モリカワ選手の世界ランキングは5位にまで上昇。来年の東京オリンピックに、アメリカ代表として出場する可能性も十分あります。



【ゴルフ 金谷拓実選手】 
 
 金谷選手は畑岡奈紗選手・渋野日向子選手ら、“女子ゴルフ黄金世代”の選手たちと同じ1998年度生まれ。2015年、高校2年生の時に、17歳51日という史上最年少で日本アマチュア選手権に優勝すると、この年の日本オープンでも11位に入り、将来を期待されるようになりました。高校卒業後、17年春にゴルフの名門・東北福祉大学に進学すると、その年の日本オープンで2位に。18年にはアジア・パシフィックアマチュア選手権で優勝するなど実績を重ね、大学の先輩・松山英樹選手以来、日本人2人目となる世界アマチュアランキング1位へと昇りつめたのです。
 昨年、金谷選手はアマチュアながら、プロツアーでも結果を残します。11月の三井住友VISA太平洋マスターズに出場し、7mのイーグルパットを沈め、劇的なツアー初優勝を飾ったのです。アマチュア選手による優勝は、先輩の松山選手以来、史上4人目の快挙でした。金谷選手は今年9月、アマチュア世界一の称号マーク・マコーマックメダルも日本人として初受賞。その翌月に満を持してプロ転向を宣言しました。世界で戦う先輩・松山選手に負けじと、ゴルフ界を盛り上げます。



来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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