スポーツ伝説

4月6日~10日の放送内容

【プロ野球 真中満監督】

 ヤクルトの真中監督は、12球団の監督の中で最も若い44歳。昨年はチームが最下位だったこともあり、今季はかつてない補強を。「優勝を狙える」ときっぱり断言しました。今シーズンのスローガンは『つばめ改革』。夜間練習を撤廃した一方で門限を緩和するなど、「自分で考えて努力するのがプロでしょう」と、自主性を尊重しています。それと同時に、「故障かなと感じたら、早目に話して欲しい」とも。早期のリタイヤは、結果的に長期離脱を回避できるからです。
 現役時代は“神宮室内練習場3羽ガラス”伝説の一人として、常に集合時間前にひと練習終えていたという努力家。引退前年の2007年は、98回代打に起用され、代打のみで31安打を放つという日本記録を作りました。そんな真中監督が率いるヤクルト球団は、本社が今年創立80周年のメモリアルイヤー。FA獲得選手や、急成長している若手の台頭で、台風の目となるに違いありません。



【プロ野球 坪内道則選手】

 ロッテの前身・金星スターズなどで活躍した坪内選手は、戦前・戦後の混乱期にあって、走攻守の3拍子を兼ね備えた安打製造機として伝説を残しました。1948年9月28日、急映フライヤーズとのダブルヘッダー第2試合。初回、トップバッターの坪内選手がセンター前ヒットを放ちます。実はこれが、プロ野球史上初の1000本安打達成の瞬間でした。しかし当時の野球ファンは、個人記録には無頓着。セレモニーなども一切なく、シーズンが終わる頃にようやく判明しました。さらには、9月12日の南海戦で、通算1000試合出場を日本で初めて達成していたことも判明。これらが関係者の間で話題に上り、現在の連盟表彰などの礎となりました。
 1937年、試合中に左の鎖骨を骨折したのが元で、徴兵検査で予備要員となり、戦地には赴かずに済みました。戦後の1946年、ゴールドスターに選手兼任監督として球界復帰。このシーズンは103試合に出場し、442打席で三振がわずかに6個。プロ15年では、1417試合に出場。6303打席で、通算の三振数は299という少なさ。通算1472安打は、翌年に巨人の川上哲治選手が記録を更新するまで、日本最多安打記録でした。



【サッカー・Jリーグ 三浦知良選手】

 “キング・カズ”ことJ2横浜FCの三浦選手の昨シーズンの出場は、怪我の影響でわずか2試合。しかも、出場時間が約4分間という不振のシーズンとなりました。今シーズンはプロ30年目の節目となる年だけに、巻き返しを期しています。
 横浜FCが三浦選手との契約延長を発表したのは、2015年1月1日、午後1時11分。在籍11年目、背番号11にちなみ、あえて1が並ぶ日時を選択しました。今シーズンからのミロシュ・ルス体制では、若返りが進行中。高卒ルーキーとは親子ほどの年齢差ですが、「ピッチに立てば関係ない」と三浦選手。以前から生涯現役を宣言しており、日本サッカー協会の川淵三郎最高顧問も「日本のマシューズになれ」とエールを送っています。マシューズとは、サッカーの母国イングランドで17歳でプロデビュー。50歳まで第一線で活躍したドリブルの魔術師、スタンリー・マシューズさんのこと。サッカー界の伝説として語り継がれています。



【男子柔道 中谷雄英選手】

 オリンピック競技として、1964年の東京大会から正式種目に採用された男子柔道。4人の代表選手は、全階級制覇の期待を背負って戦いに挑みました。その金メダル第一号に輝いたのが、軽量級の中谷選手。スイスのヘンニ選手との決勝戦は、開始30秒であっさりと勝負がついたかに見えました。しかし主審の手はあがらず、副審が抗議。長い協議の末に、ようやく技ありが認められました。その間、じっと正座で平静を保っていた中谷選手。「仮に技が認められなくても、次に一本を取る自信はあった。その一方で、金メダルが取れるなら、勝ち方はどうでもいいとも思った。勝った瞬間は、役目を果たした、やっと終わったという心境でした」と話しています。
 兄の影響で12歳から柔道を始め、高校時代には“広島の姿三四郎”というニックネームがつくほど無敵の存在に。しかし明大進学後は、体重が無差別だった団体戦では補欠という位置づけでした。それが、オリンピックをきっかけに体重別のクラス分けが導入されたことで、一気に活躍の場が広がります。そのオリンピックでは、決勝までの5試合をすべて一本勝ち。試合時間を合計すると、わずか9分間でした。



【大相撲 安美錦竜児関】

 力士の大型化が目立つ大相撲界。技巧派が少なくなったと言われるだけに、存在感を際立たせているのが、ベテランの安美錦関です。3月場所は初日から9日目まで、いずれも違う決まり手で勝ち越しを決めました。これぞ8手8勝。「こうなったら、千秋楽まで全部違う決まり手で勝とう」と張り切った矢先、10日目の徳勝龍戦でひざを痛め、無念の途中休場となってしまいました。
 研究熱心で知られる安美錦関。青森県・鰺ヶ沢高校時代、監督から「体が小さいから、脳をフル回転させろ」と言われたのがきっかけでした。相撲は一瞬が勝負を分ける。監督は色々なパターンを体で覚えさせようと、立ち合いからストップモーションのようにして、途中で何度も中断を入れながら稽古を行う独特の指導法を生み出しました。幕内在位86場所と息が長いのは、当時の教えをきっちりと思っているからに他なりません。





来週のスポーツ伝説は……

 4月13日(月) プロ野球 下柳剛投手
 4月14日(火) プロ野球 伊藤敦規投手
 4月15日(水) プロ野球 小宮山悟投手
 4月16日(木) 大相撲  照ノ富士春雄関
 4月17日(金) 柔 道  猪熊功選手
                       以上の5選手をご紹介します。
BACK
NEXT