スポーツ伝説

11月16日~20日の放送内容

【プロ野球 内海哲也投手】
 
 クライマックスシリーズ・ファイナルステージには挑戦者として臨んだ巨人の前監督・原さん。大事な第1戦の先発を内海投手に託しました。その理由は「原点を忘れていない。這い上がろうとする雑草魂を感じた」からだといいます。4年推定16億円の複数年契約3年目。今シーズンは通算2勝1敗に終わったことから、1勝2億円と揶揄されるなど、逆風が吹き荒れていました。内海投手は「決して調子は良くなかった。それでも、こんな大舞台を任せて頂いた監督、コーチに感謝したい」と、5回2アウトまで1点に抑える粘投でエースの意地を見せました。
 オープン戦で発症した左前腕部の痛みが長引き、開幕戦は2軍スタート。復帰した後もマウンドで突発的に足がつるなど、様々な不安に悩まされ、シーズン中は3度も2軍落ちを経験しています。しかし練習熱心は相変わらずで、ホームの東京ドームでは常に投手陣で一番乗り。また神宮や横浜などの試合前は、ジャイアンツ球場で走り込みを行っていることは、あまり知られていません。



【プロ野球 涌井秀章投手】

 2005年と2010年に日本一になっていることから、今年は5年周期のゴールデンイヤーになるのではないか、という噂がささやかれ、シーズン終盤からポストシーズンに掛けて、マリーンズファンが熱くなりました。同時に評価が再上昇したのは、ロッテのエース涌井投手。6年ぶり、3度目の最多勝タイトルを獲得しています。
 1勝の重みがより影響力を増すポストシーズンは、エースを中心に回すのがセオリー。しかしロッテの事情は少し違いました。涌井投手が「最多勝を」と、個人タイトル獲得にこだわったからです。消化試合となったレギュラーシーズンの最終戦に登板したことで、「クライマックスシリーズの初戦で」と描いた伊東監督のプランに狂いが生じてしまいました。ソフトバンクに3連敗を喫した後、悔しい思いを吐露した伊東監督。その気持ちは、涌井投手も同じだったに違いありません。 

 
 
【プロ野球 山本昌投手】

 同一チームに所属して、第一線で活躍する選手をフランチャイズ・プレーヤーといいます。その日本最長記録を持つのが、プロ32年、今シーズン限りで現役を引退した中日ドラゴンズの山本投手です。1983年、ドラフト5位で入団。後楽園球場の1軍公式戦出場経験を持つ、最後の選手でした。
 今シーズンは予期せぬアクシデントが続きました。ジェイミー・モイヤー投手の持つメジャー最年長勝利記録更新を狙って登板した8月9日のヤクルト戦では、わずか22球で降板。左手の指の損傷が原因でしたが、これがじん帯まで損傷する重傷だったことが判明。32年間の現役生活で、最も悔しい出来事となりました。「このままでは終われない。気持ちは切れていなかった」と、復帰に意欲を燃やしますが、一向にストレートのスピードが上がらず、球速110キロ台が精いっぱいでした。10月7日の引退試合では、広島の丸投手に渾身のスクリューボールを3球。「奇跡のような野球人生」についに幕を下ろしました。
 


【プロ野球 山下大輔選手】

 現在のDeNAベイスターズの前身・大洋ホエールズひと筋14年の山下選手は、シーズンオフではなく、ペナントレース開幕直前に電撃引退を発表したスタープレーヤー。“慶應のプリンス”と呼ばれ、鳴り物入りで1973年のドラフト1位で入団。古くから守備の花形とされるショートで、元ヤンキースの名3塁手クリート・ボイヤー選手の指導を受け、日本一のショートストップの階段を駆け上がりました。76年の守備率が9割8分8厘。この年の7月から翌年まで、年またぎで、ショートで322連続守備機会無失策という当時の日本記録を樹立。加えて76年から83年まで、8年連続でダイヤモンドグラブ賞に輝いています。このショートとしての連続8回の記録は、セ・パ両リーグでいまだに破られていません。
 


【プロ野球 高橋直樹選手】

 かつて日本ハム・ファイターズのエースだった高橋投手は、メガネ・口ひげ・サイドスローと3つの個性が売り物。このイメージチェンジは1979年からで、「相手に少しでも威圧感を与えたい」「もっと多くの人に覚えてもらいたい」というのが理由でした。すると不思議なことに、このシーズンはリーグ最多の21完投で、20勝をあげる大活躍。シーズン無四球試合が11というパ・リーグ記録を作りました。 
 80年11月10日には、広島へのトレードが成立。相手は江夏投手で、大物同士の電撃トレードとして話題を集めました。しかしこのトレードは、明暗をくっきり分ける結果に。江夏投手が日本ハムでリリーフエースとして、シーズン3勝6敗25セーブという好成績でチームをリーグ優勝させてシーズンMVPを獲得したのに対し、高橋投手は2勝5敗2セーブと、思うように勝ち星を稼げませんでした。でも翌シーズン途中で西武に移籍すると、パ・リーグの水が合うのか、新生ライオンズの初優勝を含む、4年で3度の優勝に貢献。通算169勝の内、セ・リーグではわずかに2勝。本人も認めるパ・リーグ体質でした。 



来週のスポーツ伝説は……

 11月23日(月) プロ野球 内川聖一選手
 11月24日(火) プロ野球 本西厚博選手
 11月25日(水) プロ野球 井上弘昭選手
 11月26日(木) プロ野球 アレックス・ラミレス監督
 11月27日(金) プロ野球 盛田幸妃投手

                       以上の5名をご紹介します。
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