スポーツ伝説

8月24日~28日の放送内容

【大相撲 白鵬翔関】

 大相撲の夏巡業は8月3日、岐阜県でスタートし、北陸・東北・北海道などを周っています。力士たちの中で、圧倒的な存在感を放っているのは、やはり横綱の白鵬関。9月の秋場所では、自身の持つ36度目の最多優勝記録更新へ挑戦します。
 7月場所後の7月29日、母国モンゴルで労働英雄賞の受賞祝賀会がありました。出席者は約1000人。日本からも宮城野親方らが出席しました。この称号は過去に朝青龍関も受賞していますが、父のムンフバトさんと親子2代での受賞は建国以来初めてのこと。祝典をより盛り上げるためにも、直前の7月場所での優勝が必要でした。しかし場所の後半戦では、館内から白鵬コールがあまり聞かれないアウェイの雰囲気。相撲解説者の舞の海さんが初日の中継で「力が落ちた」と発言する一幕もありましたが、それすらも発奮材料に、淡々と勝ち星を重ねて行きました。
 大鵬関の記録を塗り替えた時点で、次はどんな目標に向かって進んでいくのかが気になる白鵬関。ある関係者は「横綱は、あと5年やる」と断言。その心は、2020年の東京オリンピック開会式で、土俵入りを披露したいという狙いがあるのだとか。アスリートとしてオリンピックに出場できなくても、日本の国技を背負うひとりとして、何らかの形で参加したいと切望しているようです。



【プロ野球 吉原正喜捕手】

 戦火に散った炎のキャッチャー、吉原選手。戦局が悪化した1941年、野球界にも外国語排除の動きが出始めました。シーズン開幕前の激励会で、吉原選手は「去年までキャッチャーをやっていた吉原ですが、今年から捕手に転向します」と、伝説に残るあいさつを。巨人はこの年まで4連覇を達成中。シーズン直後に開催された東西対抗では、吉原選手は優勝した東軍の最高殊勲選手に輝きました。しかしその直後の12月8日、真珠湾攻撃の日。この日が、吉原選手の最後の勇姿となったのです。
 小さい時からアスリートとしての資質を存分に発揮。特に走るのが早かったといいます。甲子園でバッテリーを組んだ川上哲治さんと共に、38年、東京巨人軍に入団。ルーキー時代からスタメンでマスクをかぶりました。40年には30盗塁も記録。プロ通算4年の実績にもかかわらず、巨人史上最強のキャッチャーという伝説を残しました。
 

 
【プロ野球 藤本定義監督】

 巨人の監督として第1期黄金時代を築き、阪神では2度のリーグ優勝。永遠のライバルと言われる両チームで監督を務めたのは、藤本さんが唯一の存在。投手出身ということもあり、日本球界で初の先発ローテーションを導入。選手の待遇改善にも尽力し、現在の選手会を発足させたことでも知られています。
 監督としての実働期間29年は、歴代最長。5球団を率いた経験も最多タイ記録。そして何よりもすごいのは、本人にプロ選手としての経験がなかったことでしょう。



【プロ野球 杉山光平選手】

 時代劇のヒーロー・眠狂四郎の円月殺法をイメージさせることで名づけられた円月打法。南海・阪急などで活躍した杉山選手は、この打法で強烈なインパクトを残しました。個性派が揃っていた時代でも、杉山選手の打撃フォームは異彩を放っていました。1959年、大毎・山内和弘選手とのデッドヒートを制して初の首位打者となり、リーグ優勝に貢献。巨人との日本シリーズでも4番として活躍し、日本一に。優秀選手賞を受賞して臨んだ歓喜の御堂筋パレードでは、大歓声が送られました。
 首位打者を獲得した後も、杉山選手は打撃フォームに工夫を重ね続けました。しかし翌60年はスランプが続き、打率2割4分6厘という不振のシーズン。オフにフォームをスタンスから再構築し、新フォームで打率3割2分1厘をマーク。しかし待っていたのは阪急へのトレード通告でした。非情とも取れるこの通告ですが、実は南海・鶴岡監督の温情でした。ベテランの功労者に年俸が上がるように配慮する、一つの方法だったのです。
 


【プロ野球 ジョー・スタンカ投手】

 メジャーで登板したのは2試合。それも1勝をあげたのみ。それでも当時日本の球団がメジャー実績のある外国人選手を獲得するのは、異例の出来事でした。しかも、8ミリカメラで撮影したデモンストレーションだけで獲得を決めてしまったというから驚きです。いざスタンカ投手が来日すると、イメージとのギャップに関係者はガックリ。しかしドロップと呼ばれるタテに大きく変化するカーブ、そしてストレートの軌道から沈むシンカーはとても珍しく、捕球しようとするとキャッチャーが後逸するほどの魔球でした。来日1年目でいきなり17勝。闘争心をむき出しにしてバッターに向かうファイターで、時に激昂しやすく、たった一つの判定が命取りになることもありました。
 そんなスタンカ投手のベストシーズンは、1964年。シーズンで26勝をあげリーグ制覇の原動力となり、シーズンMVPに輝きました。10月1日からの日本シリーズでは、セ・リーグを制した阪神は前日に優勝を決めたばかり。東京オリンピック開催で、このシーズンは異例の強行スケジュールだったのです。とはいえ、シリーズは大熱戦。3勝3敗で迎えた第7戦は、第1戦・第6戦で完封勝利を飾っているスタンカ投手に命運が託されました。まさかの連投にもかかわらず、3完封勝利でチームに5年ぶりの日本一をもたらし、シリーズMVPにも選出されています。65年オフに長男を事故で亡くして南海を退団。帰国しますが、「もう一度、野球を」という夫人の言葉で日本復帰を決意。66年に大洋で6勝をあげ、日本通算100勝を記録しました。
 


来週のスポーツ伝説は……

 8月31日(月) プロ野球 館山昌平投手
 9月 1日(火) プロ野球 山田哲人選手
 9月 2日(水) テ ニ ス ジミー・コナーズ選手 
 9月 3日(木) 大リーグ カール・ヤストレムスキー選手
 9月 4日(金) 大 相 撲 旭天鵬関・若の里関

                       以上の5選手をご紹介します。
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