スポーツ伝説

2月1日~5日の放送内容

【箱根駅伝 創価大学】

 今年、大学創立50周年を迎える創価大学。その記念イヤーに4回目の出場となった
箱根駅伝で、榎木和貴監督が掲げた目標は「総合3位」でした。1月2日の往路、スタートの1区を走った福田悠一選手が3位でタスキを渡すと、2区のフィリップ・ムルワ選手が順位を1つ上げ2位に浮上。4区の嶋津雄大選手は目の難病を抱えながら、昨年、復路のアンカーで2人を抜いて総合9位でゴール、シード権をもたらした選手です。今年は往路のカギ、4区を任された嶋津選手。期待に見事に応えて5.6キロ過ぎで東海大学を捉え、ついに首位に躍り出ます。そのタスキを受けた5区・三上雄太選手も区間2位の走りでゴールテープを切り、創価大学初の往路優勝を成し遂げました。
 一夜明け、初の総合優勝へのプレッシャーもかかる中、3日の復路でも創価大学のランナーたちはトップを走り続けました。優勝を左右する8区を走ったのは、永井大育選手です。4区の嶋津選手と同じ目の難病を抱え、昨年は惜しくも出場メンバーから漏れましたが、今年ついにその夢を叶えました。2位の駒澤大学が猛烈な追い上げを見せる中、自分のペースで走り抜き、トップを守って9区の石津佳晃選手にタスキを渡した永井選手。創価大学は10区のゴール前、残り2.1キロで駒澤大学に逆転を許しましたが、全員一丸で目標の総合3位を上回る、準優勝の快挙を成し遂げたのです。

  

【陸上女子10000m 新谷仁美選手】

 2012年のロンドンオリンピックでは10000mで9位でしたが、翌13年の世界選手権では日本歴代3位のタイムで走り、5位に入賞した新谷選手。しかし日本では好タイムでもメダルに届かなかったことで気持ちが切れ、さらにかかとのケガも重なって、14年に25歳の若さで電撃引退しました。引退後は一般企業に勤め、陸上から離れた生活を送っていましたが、18年に4年ぶりに電撃復帰。同学年で、男子800mの日本記録保持者だった横田真人コーチと出逢い、意識が変わりました。それまでは走りに関する練習メニューは新谷選手がすべて自分で考えていましたが、やがて横田コーチにすべて委ね、大きな飛躍を遂げるのです。
 新谷選手が大記録を打ち立てたのは、東京オリンピック1万メートル代表に内定した昨年12月の日本選手権です。2000m近くで先頭に立った新谷選手は、その後も驚異的なペースで後ろにいた他の選手たちを次々と追い抜き、周回遅れにしていきます。21人が出場したこのレースで、新谷選手はなんと2位の選手以外19人を周回遅れにする異次元の走りでゴールイン。タイムは30分20秒44で、従来の記録を28秒45も塗り替えた日本新記録は、直近の世界選手権なら銀メダル相当の驚異的なタイムでした。


  
【柔道 阿部一二三選手】

 東京オリンピックの柔道代表選考で、唯一決まっていなかったのが男子66キロ級。この階級には2017年・18年の世界チャンピオン阿部選手と、19年の世界チャンピオン丸山城志郎選手という世界トップクラスの両雄がしのぎを削っていました。2人の成績もほぼ互角。甲乙つけがたいため、異例の直接対決で代表を決めることになったのです。どちらがオリンピックに出ても、金メダルを狙える両者の対決。本来は昨年の春に行われるはずでしたが、新型コロナの影響で2度も延期になり、昨年12月13日に東京・講道館でついに二人は相まみえることになりました。
 阿部選手は丸山選手の柔道を徹底的に研究し、得意とする内股や巴投げを警戒。引き手を持たせないようスタイルを変えて、いつもより前傾姿勢を取りました。また足技を積極的に繰り出すなど、工夫を重ねて大一番に臨んだ阿部選手。丸山選手も一歩も退かず、試合は延長戦に突入。その後も互いに譲らない白熱した勝負が続きましたが、20分を過ぎに阿部選手が大内刈りで押し込み、身を翻して返そうとした丸山選手の肩と脇腹が畳につくと、これが「技あり」となり、阿部選手の勝利が決まりました。柔道では異例のおよそ24分に及ぶ死闘を制し、オリンピック代表の座をつかみ取った阿部選手。既に代表に内定していた妹の阿部詩選手と共に、東京オリンピックに臨みます。



【クライミング 野中生萌選手】
 
 9歳でクライミングを始めた野中選手は、幼少期に習ったクラシックバレエと器械体操で培った柔軟性を活かし、2014年、16歳で参戦したワールドカップで6大会中4大会で決勝に進出。最終戦では初の表彰台となる2位につけると、翌15年には年間ワールドカップランキングで3位に入る急成長を見せます。オリンピックのスポーツクライミングは、スピード・ボルダリング・リードの3種目で、総合力を競うコンバインドの形式で行われます。野中選手の長所は、鍛え抜かれた筋肉が生み出すパワーと瞬発力。これを最も活かせる種目がボルダリングです。野中選手は16年、ボルダリングのワールドカップで初優勝を含めて2勝を挙げると、それから2年後の18年、今度はワールドカップの年間チャンピオンに輝きます。
 そんな野中選手がここ数年、重点的に取り組んでいるのがスピード種目の強化です。その成果が表れたのが、19年7月にスイスで行われたワールドカップのスピード種目です。野中選手はここで8秒432の日本新記録をたたき出し、この種目で男女通じて日本勢初の決勝進出を果たしました。そしてコンバインドジャパンカップでは、19・20年と連覇を果たしたのです。
 


【クライミング 原田海選手】 
 
 原田選手が初めて世界の頂点に昇りつめたのは19歳の時。2018年、オーストリアで開催された世界選手権・男子ボルダリングでした。この大会はで原田選手は、海外の強豪や日本のエース・楢崎智亜選手らが決勝前に次々と姿を消す波乱の展開の中、初出場にもかかわらず決勝進出を果たします。ボルダリングは、壁に取り付けられたホールドと呼ばれる突起物で構成される4つの課題をいくつ登り切れるかを競います。第3課題を終えた段階で首位に立った原田選手。プレッシャーがかかるところ、最終課題も一気にクリアし、みごと大舞台で初出場・初優勝を決めたのです。終わってみれば、4つの課題すべてを登りきったのは、原田選手ただひとりだけでした。
 原田選手の強みは、指先だけで全体重を支える驚異的なキープ力からのダイナミックな動きにあります。19年の世界選手権でも、このキープ力を武器に日本人2番手となり、東京オリンピック内定を勝ち取った原田選手。昨年のボルダリングジャパンカップでは日本のエース・楢崎選手を破り、国内初優勝を飾りました。



来週のスポーツ伝説は……

2/8(月) プロ野球 戸郷翔征投手
2/9(火) プロ野球 小深田大翔選手
2/10(水) プロ野球 清水昇投手
2/11(木) プロ野球 梶谷隆幸選手
2/12(金) プロ野球 チェン・ウェイン投手
                       
お楽しみに!!
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