スポーツ伝説

7月20日~24日の放送内容

【プロ野球 有原航平投手】

 続々とスター選手を輩出している、若手主体の日本ハム。今シーズンも昨年のドラフト1位・有原投手が活躍。交流戦では、巨人相手にベテラン顔負けの“巧みにかわす”投球術を披露しました。
 パ・リーグの新人投手では、一番乗りのプロ初勝利。しかもドラフト前に注目を集めた最速156キロのスピードではなく、制球で好結果を収めています。それでもまだ「実力の半分くらいの力だろう」と、日本ハムの関係者。ドラフト会議では当初、10球団近くが指名すると予想されていましたが、秋のリーグ戦の開幕戦を右ひじの炎症で登板回避したことから、最終的に指名をしたのは4球団でした。中でも日本ハムは、独自に医学的なデータを入手しており、問題となったひじ痛は「心配なし」との自信を持っての指名。評論家時代の栗山監督が2010年、夏の甲子園で見て一目惚れしたという有原投手。球団のスカウトも、そのクールさとタフなメンタルにすっかり惚れこんでの獲得でした。



【プロ野球 相川亮二捕手】

 巨人の相川捕手は、今年でプロ21年目。昨年オフ、ヤクルトからFA宣言して移籍。強打のキャッチャーとして、原監督の信頼も日に日に増しています。
 昨年オフ、巨人の正捕手・阿部慎之介選手のファーストコンバートにより、原監督が補強のポイントに挙げたのがキャッチャー。相川捕手は候補の4番目でしたが、獲得の決め手は、巨人OBで現ソフトバンク・ホークスの王会長の「投手に対する目配り、心配りができる」というひと言。王会長が監督を務めた第1回ワールドベースボールクラシックの日本代表に、相川選手も加わっていたのです。大きな期待を背負っての巨人入り。ところが開幕直後、4月2日の中日戦でいきなり右太ももを故障してしまいます。これが原因で、原監督は阿部選手のキャッチャー復帰を決断。このことに対する強い責任感が、今日の力の源となっているのです。
 

 
【プロ野球 豊田清投手】

 無名の存在から日本を代表する守護神に上り詰めたのは、西武・巨人などで活躍した豊田投手。1992年にドラフト3位で西武ライオンズに入団。3年目で1軍初登板を果たし、翌年から先発ローテーションの一角に加わりました。
 抑えに転向したのは、01年のシーズン途中でした。先発では精密機械の異名を取り、針の穴を通すような制球力が持ち味。ストレートのスピードを殺し、コントロールにかけるスタイルを確立しました。ところが抑えでは、このスタイルを一変。150キロを超えるストレートとフォークを決め球に、三振の山を築きます。しかしこの年の8月15日のダイエー戦で、サヨナラ負け。シーズン初黒星を喫すると、今度は8月25日のダイエー戦でもサヨナラ負け。3日後のオリックス戦でもサヨナラ負け。同じ月に同じ投手が3本のサヨナラホームランを浴びたのは、プロ野球史上初めての記録でした。この悪い流れがチーム全体に連鎖し、西武は翌日・翌々日も3戦連続でサヨナラ負け。月間6度のサヨナラ負けは、パ・リーグのワーストタイ記録となりました。しかし豊田投手はこの年、5勝3敗28セーブ。翌年には38セーブを挙げ、パ・リーグ記録を更新。自身初のタイトル、最優秀救援投手に輝いています。 



【柔道 園田勇選手】

 19歳の大学時代から、10回も全日本選手権に出場した実力派。一時は過去の人ともなりましたが、オリンピックイヤーに華麗な復活を遂げ、30歳を目の前にしたモントリオール大会、柔道中量級で金メダルを獲得しました。
 オリンピック代表中量級の大本命は、前の年まで3連覇中の藤猪省三選手。金メダル間違いなしと言われていました。そのライバルを倒すために、園田選手は正月から連日8キロのランニングを行い、その後はすぐさま猛稽古。豊富な練習と磨き上げた技で、4月の全日本、5月の代表決定戦で藤猪選手を連続で下します。しかし世界の柔道関係者は、みな藤猪選手の状態にばかり着目。存在が軽視されたことで、園田選手の闘志に火が付きました。中量級としては、東京・ミュンヘンに続いて日本が3連覇という最良の結果を残します。「ベテランと言われるのが、何より腹が立つ」が口癖だった園田選手。反骨心をバネに、圧巻の強さを世界へアピールしました。



【大相撲 柏戸剛関】

 戦後の相撲史が最も輝いたのは、柏戸と大鵬の黄金対決。柏鵬(はくほう)時代と呼ばれ、空前絶後の人気を誇りました。角界のサラブレッドと称された、第47代横綱・柏戸関は、立ち合いから一直線に突っ走る取り口が持ち味。小結2場所目を迎えた1960年1月場所12日目、19歳の新入幕、初日から11連勝中の大鵬を相手に迎えます。前日に自信を問われ、「わしは小結」と毅然と言い切った柏戸関ですが、立ち合いで出遅れ、大鵬関に先手を奪われてしまいます。しかし、2歳年上で角界の先輩を自負していたプライドが闘志に火をつけ、大接戦を見事に制しました。
 中学時代から180㎝を超える恵まれた体格で、スポーツが万能。相撲大会でも抜群の強さを示し、伊勢ノ海親方の必死の説得を受けて、54年9月場所に初土俵。蔵前の国技館落成の場所でデビューするという、明るい将来を思わせるスタートでした。61年には、大鵬関と共に横綱に同時昇進。しかし大関時代に初優勝を飾って以来、常にライバルの陰に甘んじていました。63年には、4場所連続休場。ようやく復帰したのは9月場所でした。初日から快進撃が続き、14日目まで白星を重ね、千秋楽は同じく全勝中の大鵬関との大一番。日本中が固唾を飲んで見守った土俵は、熱戦の末に柏戸関に軍配が。涙の全勝優勝を果たしました。 
 
 

来週のスポーツ伝説は……

 7月27日(月) プ ロ 野 球  畠山和洋選手
 7月28日(火) プ ロ 野 球  松永浩美選手
 7月29日(水) 女子サッカー 佐々木則夫監督
 7月30日(木) 女子サッカー 山根恵里菜選手
 7月31日(金) 女子サッカー 宮間あや選手

                       以上の5名をご紹介します。
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