昨日の「飯田浩司のOk! Cozy up!」でも話題になりましたが、私の認識不足と言葉足らずな部分があったので改めてここに書きたいと思います。

8月7日の「日刊スポーツ」に「東京パラの顔 谷真海 東京パラに出られない」という記事が掲載されました。
国際トライアスロン連合(ITU)が東京大会の実施種目を発表し、谷選手が出場するはずだった「PTS4」クラスの実施が見送られたという報道です。

「どうして出られないのか?」

谷真海選手は東京大会誘致に大きく尽力されました。
自身の障害、東日本大震災について、そしてスポーツがもつ希望・可能性を語った最終プレゼンでのスピーチには本当に感動しました。


「PTS4」クラスが東京大会で実施されないとはどういうことのなのか・・「パラトライアスロン」におけるクラス分けについて触れながら書きたいと思います。

まず「パラトライアスロン」ですが、前回大会のリオ大会からパラリンピックの正式種目になりました。

「クラス分け」はパラスポーツ特有のことですが、同じ程度の障害をもつ選手が競い合うために「クラシファイヤー」という資格を持っている人が「あなたの障害の程度はこのクラスです」という風に判断して分けます。

では、パラトライアスロンのクラス分けはどうなっているんでしょうか。
2017年からクラス分けが変わりまして

このように、男女それぞれ6つのクラスがあります。(この表はすごく簡単にまとめたものです。)

今回記事になった東京大会ではどうなるのかといいますと、女子の場合はさっきの図から「PTS3」「PTS4」の2つのクラスを無くすということなのです。(※男子は「PTS2」「PTS3」が無くなります)

つまり、東京大会における女子のパラトライアスロンは、車椅子クラス・視覚障害のクラス・運動機能障害の程度が一番重いクラス・一番軽いクラスの4つのクラスでの実施となります。
谷選手の「PTS4」というクラスは、障害の程度でいうと「中間のクラス」に位置していて、その「中間のクラス」(=「PTS4」)と重度のクラス(=「PTS3」)がすっぽりと抜けてしまうということです。

実施が見送られたクラスは、競技人口が少ないことを理由などに選外になったそうです。

「じゃあPTS2かPTS5に入れば良いのでは?」と思いますが、トライアスロンでは自身のクラス以外での出場はできないことになっています。
その根底には、障害の程度によって身体の稼動域や運動機能に違いがあるために簡単に同じクラスにはできない・・という側面もあると思います。


リオパラリンピックの時も、男子・女子それぞれ「PT1~PT5」まで5つのクラスがありましたが、男子はPT1・2・4、女子はPT2・4・5の3クラスのみの実施となりました。
出場選手は男女合わせて60人(視覚障害の選手のガイド10人含む)でした。

ここ数年のパラトライアスロンの世界大会における出場者数を調べてみると、リオ大会時の60人よりも少ないことが多いです。
さらにクラス分けで細分化されるため、そのクラスにおける出場者が1人ということもありました。
(私が取材に行った5月の「パラトライアスロンシリーズ横浜大会」では、女子のPTS4は谷選手を含めて出場者は3人でした。)


競技人口が少ないとはいえ・・・その障害のクラスに属する選手がいるのにも関わらず、実力に関係なく出場できないということには心が痛みます。
一方で、スポーツをエンターテイメントとして考えたときに「観る側」は、多くの選手同士が競い合っている姿を楽しみにしている部分もあるでしょう。

記事によりますと「より障害の軽いPTS5との統合を目指す」とのことなので、今後の動向を見守りたいと思います。

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