ニッポンチャレンジドアスリート

スポーツに打ち込み、磨き抜かれた技で、観る者を感動・興奮させるアスリートたち。アスリートの中には、障がいを持ちながら、国際舞台を目指している者たちもいる。そんなアスリートたちの戦い続ける素顔、軌跡、そして、支える人たちにも迫る。

2016.07.22
【安永聡太郎】CPサッカー(脳性まひ7人制サッカー)日本代表監督。Jリーガーとして活躍後、指導者に。世界選手権出場が目標。



■安永さんは2005年に選手引退後、スペインで監督修業を目指したが、ハードルは高く「どこかで指揮を執りたい」と思っていたところに舞い込んできたのが、障がい者サッカーのひとつ「CPサッカー・日本代表監督」の話だった。

「引退した後に『心のプロジェクト』というサッカー協会がやっているプロジェクトの仕事仲間から連絡をいただきまして『脳性麻痺のCPサッカーの代表監督が空いていて、探しているんだけど、興味はあるか』という電話がかかってきたのがきっかけで。週末どこかのチームをもって、というようなことでもなかったので、すごくいいチャンスでしたし…いい機会をいただいたので『ぼくでよければ是非やらせてください』というところでスタートしました」

「まあひたむきさと、一生懸命さというか、そういうところに心を打たれました。当然、体に麻痺があるわけですから、不自由な部分もあるんですけど、それをどうにか補おうとする…その中でも、ボールに対して「サッカーをプレーするんだ』っていうところを見て『ぼくに彼らを変えることが、少しでも役立つ部分が、ぼくに出せればなあ』というので、もうはじめやってから、すごく好きになりましたよね」

■脳性麻痺を持つ選手たちがプレーするCPサッカー。一般のサッカーとルールは違うのだろうか?

「CPサッカーのサイズは、大人のフルピッチの前半面なんですけど。そのサイズを、7人制でプレーをするのが、CPサッカーです。キーパー1人、フィールドプレイヤー6人。オフサイドはなしで、麻痺があるので、スローインも上から両手では投げられないので、片手でボールを持って、ボーリングのように転がしてもOK、ということでやっています」

「でも基本的には、サッカーとなんら変わらないっていうのが、ぼく個人としては、印象があります」

■指導する際、麻痺を抱える選手たちへのケアはもちろんだが、だからといって安永さんは、自らハードルを下げることはないという。

「ぼくはもう最初に、彼らに言ったんですけど『すべてできるものだとらえて接する』と。で『できなかったら自分で言ってこい。はじめてそこで君らちが、じゃあそこができないんだね、ととらえるから。言ってこないということは、できるととらえるから。ぼくは普通通り、自分のやりたいサッカーをみんなに提供して、それに取り組んでもらう』っていう話を、もう事前にしたので。ぼくはもう、彼らに対して気を使うとか、そういうものは全くないですね」

■CPサッカー代表監督に就任した安永さん。最初の仕事は、7月末から開催される世界選手権への切符をかけた予選大会。その代表メンバーを選ぶことだった。
CPサッカーでは、麻痺の程度によってプレーヤーが4つのクラスに分かれる。障がいの軽い選手・重い選手を必ず入れてチームを編成しなければならず、監督としての手腕や戦略が問われる競技だ。


「ぼくのやりたいサッカーについてきてくれるであろう、という選手たちを、選びました。今、CPサッカーの日本代表は13人いるんですね。それで、今回に関しては、30人の中から13人にしぼらせていただきました。1次選考、2次選考をやりまして、13人を決定したんですけど。その選手構成というのが…CPサッカーには、麻痺の度合いによって、8・7・6・5と分かれてるんですけど。8というのが、体のどこかに麻痺があるかた。7が半身麻痺のかた。5・6は四肢に麻痺のあるかたなんですけど、その選手たちを、7人制のゲームなので、8の人を1人つかってもOK。5と6の人から必ず1人使わなければいけない。それで7の人たちで残りを構成するのが、一番強いですよね。同じ7の人でも、半身麻痺の人でも、軽い人もいるので。そういう人たちは50メートルを6秒9で走ったりする。そういう人たちがより多い国が、強いという感じですね」

「軽いかたと、重いかたと両方いらっしゃるので、その中でできることを、ぼくがポジションの中で、どう役割を与えるかっていうところは重要になってくるのかなと思います。それぞれの選手のその障害の部分を、監督がどうとらえて、どうプラスにもっていうかっていうところだと思うので。あとは、麻痺のあるのが右なのか左なのか。それによってピッチの右サイドに立たせるのか、左サイドに立たせるのかっていう、その辺の組み合わせも、考えなければいけないっていうのは、すごく考えさせられるところですね」

■残念ながら、リオパラリンピックの出場を逃した日本。さらに4年後の東京大会では、競技種目から除外されることが既に決まっている。安永さんは今後に向けて、どんな展望を描いているのか?

「東京のパラリンピックからは、CPサッカーは外れています。なので、2024年に、もう一度、パラリンピック種目として入るために。CPサッカー界としては、やはりパラリンピックというひとつの目標、夢の舞台が整っているというのは、大きなことだと思いますので、そこを目指したいと考えています」

■安永さんの監督としての初陣は、7月末からデンマークで行われる世界選手権への切符をかけた予選大会。8つの出場枠をめぐり、13チームが4つの組に分かれて戦う。

「来年のアルゼンチンで行われるCPサッカーの世界大会があるんですけど、その出場枠が16あるんですね。まず決まってる8が、今回のリオパラリンピックの必定国の8カ国。残りの8つの参加出場権を、この夏に、7月デンマークで争います。ぼくがCPサッカー監督としての、初舞台です。フィンランド、デンマーク、カナダの順で戦うんですけど、ほぼほぼ互角だという話なので。フィンランド、デンマークで、決めたいです。2位以上が上がれるので、ぜひ頭2つで、選手には頑張ってもらって、決勝トーナメントを目指せればいいなと思うんですけどね」

■改めて、安永さんにとってCPサッカーの魅力とは?

「できることと、できないことがハッキリしているので、ぼくが捨てられないものは、選手も捨てられないと思っています。なのでぼくが積極的に捨ててあげることによって、彼らは一度、捨てたところから、前向きに取り組めるのではないかなと思っている。ぼくは彼らがする決断を手助けしてあげる、彼らは決断した思い切ったプレーで、観ている者に応援してもらえるような、そんな1人の選手になるようなところが、すごく魅力なんじゃないかなと思います」

※放送内容は、上のYouTubeの再生ボタンを押すとお聴きになれます。



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次のゲスト予定

10月23日(月)〜27日(金)、10月30日(月)〜11月2日(木)の2週間は、パラ馬術・宮路満英(みやじ・みつひで)選手と、コーラーの裕美子(ゆみこ)さんが夫婦で登場します。
満英選手は、1957年、鹿児島県生まれの59歳。10月29日に還暦を迎えます。JRAの調教助手として、海外のG1レースを勝ったシーキングザパールなど、数々の名馬の調教に携わりましたが、2005年、仕事中に脳卒中で倒れ、右半身まひなど重い後遺症が残りました。2007年にJRAを退職。その後パラ馬術を始めます。
満英選手は記憶障がいがあり、指定されたコースがよく覚えられないため、妻・裕美子さんが「コーラー」と呼ばれるガイド役を務め、声でコースを指示します。夫婦二人三脚で、昨年のリオパラリンピックにも出場。3年後の東京パラリンピックを目指しています。
インタビューも、満英選手の記憶を補うため夫婦一緒に受けられることが多く、今回は特別にお二人での出演となりました。リハビリを経て再び馬に乗ったときの喜び、夫婦で戦うことになった経緯、馬とのコミュニケーション、リオでの思い出、夫婦の絆、これからの夢…など、まるで夫婦漫才を聞いているような二人のお話を2週にわたってお楽しみください。

*11/3(金)は、祝日のため放送はお休みです。