ニッポンチャレンジドアスリート

スポーツに打ち込み、磨き抜かれた技で、観る者を感動・興奮させるアスリートたち。アスリートの中には、障がいを持ちながら、国際舞台を目指している者たちもいる。そんなアスリートたちの戦い続ける素顔、軌跡、そして、支える人たちにも迫る。

2017.09.17
【澤田優蘭】パラ陸上・走り幅跳び選手。陸上を始めた翌年、17歳で北京パラリンピックに出場。ブランクを経て復帰、東京大会を目指す。



■澤田選手が網膜色素変性症を発症したのは6歳の頃だった。高校1年のとき授業を受けるのにも支障が出ていったん中退。翌年、都立文京盲学校に再入学。そこでパラ陸上に出逢う。

「まだ入った当初は、陸上競技をやろうとは思っていなかったんですけれども。『東京都障害者スポーツ大会』という全国の予選会にあたる大会があって、そこに出場することになったのがきっかけです」

「小さい頃から走ることが、特に好きだったし得意だったというところで、中学校のときには陸上部に入るということは決めていて・・・それが、道半ばで諦めてしまったというところだったので、障害者スポーツをやるとなったとき、もう陸上以外は考えていなかったですね。もう一度、やり切れなかったことを『パラ陸上』というところでやり遂げたいな、という気持ちでした」

■視覚障がいの選手が走り幅跳びをする場合、踏み切りがよく見えないという。大きな問題があるが、澤田選手はどうやって解決しているのだろうか?

「とにかく、助走距離と歩幅を確実にあわせていく、というところと・・・あとは視野をずらせば見えないことはないんですけれど、フォームが崩れてしまいますし、スピードもかなり落ちてしまったりするので、あえて見ない、ということを意識してます」

■競技を本格的に始めてすぐ、目覚ましい結果を出した澤田選手は、翌年、異例のスピードで日本代表に選ばれた。2008年に行われた北京パラリンピック、澤田選手は日本選手団最年少の17歳で、パラ陸上の代表に選ばれた。

「けっこうギリギリまで、かなりボーダーラインのところにいて。どうなるかわからないという状況で、本当に結果待ちの状態だったので『選ばれたよ』という連絡が来たときには、うれしかったです。けれど同時に『日本代表になったんだな』というので、ちょっとことが大きすぎて、自分のことに感じない部分もありました」

■北京パラリンピックの走り幅跳びでは自己ベスト記録を更新したが、最終順位は9位。翌年2009年、東京で行われた「アジアユースパラゲームズ」では100m、200m、走り幅跳びで優勝。当然2012年のロンドンパラリンピックでメダル目指すかと思われた澤田選手。しかし大学卒業後は、フルタイム勤務の一般の企業に就職。競技からはいったん遠ざかることになった。

「競技力としても足りない部分もありましたし、視力の低下で100mを走ることへの怖さとかというのも、出はじめたりしていたんですね。私の以前いたT13クラス走り幅跳びも、もうなくなると・・・国際大会でもなくて、アジアパラゲームスのときには100mだけで出場していたりもしていましたし。そういう意味で『どんなモチベーションでやっていけばいいのかな』というところで悩んで。ちょっと時間を置きたいな、と思ったのは一つです」

「競技よりも引退後の人生が長い、ということを考えたときに、私は社会の中でしっかりとやっていきたいなと思っていたので、いったん企業への就職を希望しました。就職して1年目は、本当に競技から離れてました」

■しかし、就職して1年経った頃、再び陸上への思いが強くなってきた澤田選手は、2015、年本格的に競技へ復帰することを決意。今年6月から「マッシュスポーツラボ」に入社。アスリート雇用で勤務することになった。

「マッシュグループって、女性の24時間を応援するというか、サポートしていくというところで、アパレル事業だったりビューティ事業だったりをやっている会社で。『あれ、ここ私が好きなブランドの会社だ!』と、パッと興味をもったんです。この会社に入って『スポーツをする女性』というひとつのモデルとして、広告塔というか何か活動できていくのでは、というイメージがついたんですね」

■澤田選手に、将来の目標を聞いた。

「競技の技術にしても、人としても、憧れの存在になれるというか。やはり『あ、あの人のああいう部分がすごい目標だな』と思ってもらえることが必要かな、と思っていて。そういうアスリートになれたらいいな、と思っています」

「パラアスリートでもオリンピックの選手にしても、そういった選手の競技の姿やドキュメンタリーを見ていると、やはり『この人のこういうところ、すごいな』と思うところは、絶対たくさんあるんですね。だから、自分の『とっておきの部分』というのが作れたらいいなと思います」

※放送内容は、上のYouTubeの再生ボタンを押すとお聴きになれます。
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次のゲスト予定

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満英選手は、1957年、鹿児島県生まれの59歳。10月29日に還暦を迎えます。JRAの調教助手として、海外のG1レースを勝ったシーキングザパールなど、数々の名馬の調教に携わりましたが、2005年、仕事中に脳卒中で倒れ、右半身まひなど重い後遺症が残りました。2007年にJRAを退職。その後パラ馬術を始めます。
満英選手は記憶障がいがあり、指定されたコースがよく覚えられないため、妻・裕美子さんが「コーラー」と呼ばれるガイド役を務め、声でコースを指示します。夫婦二人三脚で、昨年のリオパラリンピックにも出場。3年後の東京パラリンピックを目指しています。
インタビューも、満英選手の記憶を補うため夫婦一緒に受けられることが多く、今回は特別にお二人での出演となりました。リハビリを経て再び馬に乗ったときの喜び、夫婦で戦うことになった経緯、馬とのコミュニケーション、リオでの思い出、夫婦の絆、これからの夢…など、まるで夫婦漫才を聞いているような二人のお話を2週にわたってお楽しみください。

*11/3(金)は、祝日のため放送はお休みです。