ニッポンチャレンジドアスリート

スポーツに打ち込み、磨き抜かれた技で、観る者を感動・興奮させるアスリートたち。アスリートの中には、障がいを持ちながら、国際舞台を目指している者たちもいる。そんなアスリートたちの戦い続ける素顔、軌跡、そして、支える人たちにも迫る。

2016.01.11
【寺西一】ブラインドサッカー日本代表・強化指定選手。普段は協会スタッフも兼ねる「二刀流」で体験会など普及面でも活躍。



■幼い頃は「弱視」で、かろうじて見える状態だった寺西選手。しかし小学生になると、だんだん病状が悪化。中学2年生のとき、完全に視力を失った。寺西選手がブラインドサッカーに出逢ったのは、ちょうどその頃だった。

「当時、盲学校の寄宿舎に住んでいたんですけれども。そこに、できて1年くらいのブラインドサッカーのチームがありまして、ぼくは週末、学校の校庭で同級生や先輩と一緒にサッカーをして遊んでいたんですけど『サッカーやるなら一緒にチームに入ってやらないか』と、寄宿舎の指導員の先生に誘っていただいて。それでブラインドサッカーを知って、今まで続けているという感じです」
「コートを敵・味方が自由に入り乱れるというか、自由に動き回っていいという…動いていいエリアの制限がないので、この自由度の高さっていうのは、他の球技にはなかったんで、やってみて自分にとってすごく新鮮だったんです。自分がコートのどこにいるかわからないし、声だけでなかなか聞き分けることもできなかったし、敵・味方がわからなかったんですけれど。恐怖感よりも、自由に動けるという新鮮な気持ちの方が大きかったですね」

■和光大学に進学した寺西は、関東のブラインドサッカーチーム「乃木坂ナイツ」に立ち上げから参加。そこで実力を磨き、2010年、イングランドで行われた世界選手権で、初めて日本代表に招集された。日の丸を背負って戦った心境は?

「それまで合宿には参加させていただいたんですけれど、そのとき初めてユニフォームをもらえるメンバーに選んでいただいて、本当に周りのずっとやられている先輩についていくのが精一杯で、あまり覚えていないくらい緊張していましたね。役割は、そのときはゲームの終盤に入って、ボールを相手に渡さないことでした。自分たちがボールを持っていれば点を取られることもないですし、クラブチームでもでも代表でも、守備的な役割が多かったですね。」

■寺西選手は、ブラインドサッカーの普及活動でも活躍。体験会などに代表選手として参加し、実演を手伝っていたが、2012年1月から、日本ブラインドサッカー協会のスタッフとなり、選手としてプレーしながら、仕事として本格的に普及活動に取り組むことになった。選手と協会スタッフの「二刀流」その切り替えは、なかなか難しいところもあるのでは?


「2012年1月からブラインドサッカー協会のスタッフの1人として、入って行ったんです。これだけ毎日かかわっていくなら、ガッツリ、協会の1人として内容も把握してしてやっていった方がいいかな、と考え始めて、インターンとして関わり始めたんですね」
「切り替えっていうのは、最初はなかなか慣れなかったんですが、何より自分が一番好きなブラインドサッカーに、競技の部分だけではなく、知ってもらうための普及にも、といろいろな部分で関われているので、他の選手よりもサッカーに関わる時間が長いし、誰よりもブラインドサッカーが好きだという自信が、自分の中にあるので、そんなに折り合いの部分に、難しさは感じないです。それ以上にサッカーが好きであるというのが、優っているのかなと思いますね」

■2015年9月、パラリンピック最終予選を兼ねたアジア選手権で4位に終わり、リオ行きを逃したブラインドサッカー日本代表。その後、11月下旬に行われた強化合宿から、高田敏史(さとし)新監督が代表の指揮を執ることになった。

「『結果は結果としてあるけれども、サッカーをもっと楽しむ必要があるし、サッカーをもっと深く理解しなければいけない』と、最初に高田監督から言葉をいただきました。『サッカーを理解するためにも、もっと基礎の基礎から丁寧にやっていこう。まずは自分がうまくなること。楽しみながら、一つ一つの練習を丁寧にやっていってくれ』と。そして今回、高田監督にいわれたのは『クラブチームでの日頃の練習から丁寧に、チームの仲間との時間を大切にして、練習に取り組んでほしい』ということでした」

■寺西選手に、選手として、ブラインドサッカー協会のスタッフとして、そして個人的に、これからの夢、目標をきいた。

「選手としては、やっぱり、東京パラリンピックがやって来るので、そこには代表として選ばれていたいなと思います。そのために、国内の試合、全国大会レベルのところでタイトルをまだとっていないので、その優勝を目標にして、タイトルをとりたいと思っています。協会スタッフとしては「スポ育(※)」をより多くの子供に体験してもらうために、今より広い地域へ範囲を広げていきたいと思います」 

※ブラインドサッカーを通じて、小学校や中学校で行う体験授業

※放送内容は、上のYouTubeの再生ボタンを押すとお聴きになれます。


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次のゲスト予定

10月23日(月)〜27日(金)、10月30日(月)〜11月2日(木)の2週間は、パラ馬術・宮路満英(みやじ・みつひで)選手と、コーラーの裕美子(ゆみこ)さんが夫婦で登場します。
満英選手は、1957年、鹿児島県生まれの59歳。10月29日に還暦を迎えます。JRAの調教助手として、海外のG1レースを勝ったシーキングザパールなど、数々の名馬の調教に携わりましたが、2005年、仕事中に脳卒中で倒れ、右半身まひなど重い後遺症が残りました。2007年にJRAを退職。その後パラ馬術を始めます。
満英選手は記憶障がいがあり、指定されたコースがよく覚えられないため、妻・裕美子さんが「コーラー」と呼ばれるガイド役を務め、声でコースを指示します。夫婦二人三脚で、昨年のリオパラリンピックにも出場。3年後の東京パラリンピックを目指しています。
インタビューも、満英選手の記憶を補うため夫婦一緒に受けられることが多く、今回は特別にお二人での出演となりました。リハビリを経て再び馬に乗ったときの喜び、夫婦で戦うことになった経緯、馬とのコミュニケーション、リオでの思い出、夫婦の絆、これからの夢…など、まるで夫婦漫才を聞いているような二人のお話を2週にわたってお楽しみください。

*11/3(金)は、祝日のため放送はお休みです。