ニッポンチャレンジドアスリート

スポーツに打ち込み、磨き抜かれた技で、観る者を感動・興奮させるアスリートたち。アスリートの中には、障がいを持ちながら、国際舞台を目指している者たちもいる。そんなアスリートたちの戦い続ける素顔、軌跡、そして、支える人たちにも迫る。

2017.06.05
【加藤健人】ブラインドサッカー日本代表。目の病気で視覚を徐々に失うが、20歳から競技を始め代表の中心選手に。東京でメダルが目標。



■子どもの頃からサッカー少年だった加藤選手。ところが、高校3年生のとき、次第に視力を失っていく「レーベル病」という難病を発症。サッカーを諦めなければならなくなった。そんな中、人生を変えてくれたブラインドサッカーと出逢った。

「引きこもりだったんですけれど・・・自分はこの先、何もできないんじゃないかっていう気持ちだったんですけれども、親は違ったんですよね。親は、健人のために治療法があるんじゃないか、何かできることがあるんじゃないかといろいろ探してくれたんですけど、そうやっていろいろ探した結果、インターネットでブラインドサッカーというスポーツを見つけてくれました」

■持ち前のサッカーセンスで、実力を磨いていった加藤選手。2007年、初めて憧れの日本代表に招集された。

「ブラインドサッカーを始めていく中で、少しずつ練習を積み重ねていくと、トラップもそうですし、他の技術も少しずつできてきてるなという実感はありました。1年目のときに試合でゴールを決めまして新人王もいただいて、その中でですね、ブラインドサッカーの日本代表になりまして。気持ちの中で日本代表を目指して行きたいって芽生えてきたんですよね。子どものときから『サッカー選手になりたい』という夢をもっていたので。はじめて国家斉唱・・・そのときはベンチだったんですけど、聴いたときは全身鳥肌が立って。それで、途中から試合にも出させてもらったんですけど、やっぱり緊張で思い通りのプレーはできなかった。そういう苦い経験があります」

「自分にとってですね、飛行機とか、海外に行くのも、それがはじめてだったんですよ。なので、生活の面もそうですし。あとの環境もそうだったんですけど。周りからいろんな声が聞こえてきたりですね。なかなか慣れなかったっていうのはあったと思いますね。」

■加藤選手の国際大会デビューは、北京パラリンピック・アジア予選。パラリンピックにまだ一度も出場したことのない日本代表にとって、負けられない戦いだった。

「自分にとって国際試合ってはじめてだったので。その前の大会では日本は勝ったりしていたんですよね。その中で、韓国もそうですしその他にも中国、イランより「日本のほうが強いんじゃないか」と。僕の中ではあったんですけど、いざやってみると他の国も強くて」

「代表になりたいだけじゃなく、代表になってどうなりたいか。勝利に貢献できるように何をしなきゃいけないか、ってそいうところまで考える、いいきっかけになったんじゃないかと思いました。まず日本の勝利に貢献するために、攻守に渡って、何かひとつだけできるだけではなくて、守備もできるし攻撃もできるし・・・そういうのが大切なんじゃないかなと思いました」

■結局、日本代表は北京に行けなかったが、世界の強豪と戦うことで、加藤のスキルは、さらに磨かれていった。2015年、リオパラリンピック行きをかけたアジア予選は、日本で開催された。大勢の観客を集めたが、中国、イランなどアジアの強豪を前に、惜しくも敗退。またしても悲願達成を阻まれてしまった。

「最後のひと踏ん張りといいますか。ここぞというところでゴールを決められてしまったり。ゴールを決めなきゃいけないところで、決められなかったり。そういうあとひとつが足りなかったかなと思っています。このとき日本代表は、しっかり守備をしてから攻撃するというサッカーをしたんですけども。負けないサッカーをやっていたと思うんですよね。大事な試合で勝てなかったりそういうのがあったので。もっとですね、ゴールを決められる、勝てるサッカーを今後はしていかないといけないなと思っています」

■加藤選手はブラインドサッカーの普及活動にも熱心で、体験会や講演会なども精力的にこなしている。
  
「より多くの人にブラインドサッカーを知ってもらいたいというのもありますし。アイマスクを付けてない人が、アイマスクを付けている人にどうコミュニケーションをとれば伝わるかって、すごく大切なんですよね。そのコミュニケーションの重要性って皆さんの日常生活、学校生活、社会生活にも活かせると思うので。経験した人に今後、コミュニケーションの重要性を広めてもらえれば、障害者、健常者が混じり合う社会づくりができるのかな、と思っています」

「はじめてやったかたはアイマスクって、やっぱり恐怖心があると思うんですよね。やっていくうちにですね、見えているかたがいろいろ指示を出してくれたり、声をかけてくれる中で、その不安って少しずつなくなっていくんですよね。その中で視覚に障害があるかたに声をかけてみよう、という気持ちなってくれるのかなと思っています」

■いよいよ3年後に迫った東京パラリンピック。加藤選手には、大きな目標がある。

「東京で・・・日本でオリンピック・パラリンピックが行われることって、自分が現役中には多分ないと思うんですよね。自分の子どもに活躍している、自分が頑張っている姿を見せたいなと思っています」

「東京パラリンピックはですね、出場することは決まっているんですけど。アテネから正式競技になって、ブラインドサッカー日本代表は今まで、パラリンピックに出たことがないんですよね。東京パラリンピックがはじめてになるんですけど。出ればいい、というわけではないと思うんですよね。結果を残すことがすごく大切かなと思っています。メダルをとるためにはですね、まず今年のアジア選手権が重要かなと思っているんで。そこでしっかり結果を残して、次に生かしていきたい思っています」

■最後に、加藤選手からメッセージをもらった。

「ブラインドサッカーは生で観ていただきたいなと思っています。近いところだと、7月に一番大きな大会『アクサブレイブカップ』という日本の選手権があるんですけど。7月にみなとみらいで予選ラウンドがありまして。それを勝ち上がって、4チーム3位決定戦、決勝戦がそのまた別の日で、調布の方でやります。埼玉T.Wingsの目標はですね、3位以内を目指して頑張っていきたいと思っているので、チーム一丸となって頑張っていきますので、応援サポートよろしくお願いします」

※放送内容は、上のYouTubeの再生ボタンを押すとお聴きになれます。
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次のゲスト予定

10月23日(月)〜27日(金)、10月30日(月)〜11月2日(木)の2週間は、パラ馬術・宮路満英(みやじ・みつひで)選手と、コーラーの裕美子(ゆみこ)さんが夫婦で登場します。
満英選手は、1957年、鹿児島県生まれの59歳。10月29日に還暦を迎えます。JRAの調教助手として、海外のG1レースを勝ったシーキングザパールなど、数々の名馬の調教に携わりましたが、2005年、仕事中に脳卒中で倒れ、右半身まひなど重い後遺症が残りました。2007年にJRAを退職。その後パラ馬術を始めます。
満英選手は記憶障がいがあり、指定されたコースがよく覚えられないため、妻・裕美子さんが「コーラー」と呼ばれるガイド役を務め、声でコースを指示します。夫婦二人三脚で、昨年のリオパラリンピックにも出場。3年後の東京パラリンピックを目指しています。
インタビューも、満英選手の記憶を補うため夫婦一緒に受けられることが多く、今回は特別にお二人での出演となりました。リハビリを経て再び馬に乗ったときの喜び、夫婦で戦うことになった経緯、馬とのコミュニケーション、リオでの思い出、夫婦の絆、これからの夢…など、まるで夫婦漫才を聞いているような二人のお話を2週にわたってお楽しみください。

*11/3(金)は、祝日のため放送はお休みです。