ニッポンチャレンジドアスリート

スポーツに打ち込み、磨き抜かれた技で、観る者を感動・興奮させるアスリートたち。アスリートの中には、障がいを持ちながら、国際舞台を目指している者たちもいる。そんなアスリートたちの戦い続ける素顔、軌跡、そして、支える人たちにも迫る。

2017.07.10
【上田頼飛】デフバスケットボール・男子日本代表監督。2014年就任。革新的な戦術と工夫で世界でも注目の指揮官に。真言宗僧侶。



■もともとバスケットボールの指導者を目指していた上田さん。デフバスケットボールと出逢ったきっかけは?

「私の住んでいる地域に野外にバスケットボールのコートがありまして、そこでバスケットボールをやるのがすごく好きで、その延長上で、ストリートバスケットボール、いわゆるスリーバイスリーというものにのめり込んでいって。そのときに外でバスケットをするということは、本当に知らない方々と出逢う機会が多くて。そのときに、たまたま、デフの選手と出逢ったのがきっかけです。そこの施設を運営されてるかたが、僕とつなげてくれた形ですね。そのときちょうど僕たちがスリーバイスリーで全国でトップだったんですけど。そのトップの選手と、そのデフバスケットの日本代表の選手が練習に来たっていうことで、よかったら一緒にやらないかっていうことでつなげてくれたんです」

「聞こえないだけで別に身振り手振りであったりとかやれば、コミュニケーションが取れたので。僕としては、全く違和感は持っていませんでした」

■デフバスケットボールとの出逢いから10年、上田さんは男子日本代表の監督に就任することになった。

「30歳になったときに、たまたまそれもスリーバイスリーの大会に、僕も久しぶりに出場させていただいたとき、現日本代表の、今、副キャプテンである大平(良龍)選手とはじめて出逢って。『懐かしいね、デフの選手と久々に遭った』ということで盛り上がり、そこから付き合いが始まって。その当時の監督の方がちょうど任期を終えられたということで、そのあと僕の方に依頼が来た次第です」

■耳が聞こえない選手たちと、上田さんはどのように接しているのだろうか?

「一番最初は、手話を覚えないといけないのかなと思って、こっそり練習はしたりはしたんですけど・・・途中で考えていく中で、物事の準備一つにしても、やってもらって当たり前っていうことがすごく目立って。これは彼らに合わせるのではなくて、彼らが僕に合わせていくような形を最初とっていくべきなのかな、という風に思い立って。そこから手話の通訳を入れるのをやめました。で、ホワイトボードを使ったりとか、映像を使ったり。そこは工夫は入れたんですけど、そのあたりの指導に対して、ちょっと工夫を入れているような形になります」

■現在、デフバスケットボールの強豪は、国として力を入れているリトアニアが筆頭で、アメリカやロシアが続く。日本代表は?

「世界ランクで言いますと、15位より下という風になってくるんですけど。アジアで言いますと、前回は1位がオーストラリア、2位が台北、3位が中国。それに1点差で負けてしまったという形で、第4位というような位置付けで。世界大会では、13チーム中12位という結果だったんですけども、世界ランク6位のイスラエル相手に10点差で、激闘できるところまで行けました」

■来年2018年7月にアメリカ・ワシントンで行われるU-21の世界大会。トップ寄りに行くには、21歳以下の若い選手の発掘が必要だ。
 
「アンダー21の選手を募集していくために、各地で広報活動を行ったりSNSで募集を行ったりはしているんですけど、なかなかそういう情報をいただける機会が少なくて。現状でいったら、5人というのが現状で。その中にも、アンダー19のフル代表に入っている選手も、デフの選手で1人いるんですけど。そんな選手も含めてけっこう期待の持てるようなレベルなので。本当にあと5人と言わずとも、3人くらいの選手でも・・・。補聴器をつけると聞こえてる選手もたくさんいますので」

■上田さんは去年結婚を機に、妻の実家である寺を継ぐため、修行を積み、真言宗山階派の僧侶になった。

「これがバスケットの監督業と、面白いことに非常につながっていて。やっぱりお寺というのは、地域を守っていくというのが僕たちの使命であると思っておりますので、いろんな方との協調をとっていくことであったり、本当に全てが通じていってるという状況なので、2つやっているというより、同じ流れで何かを行っているような状況です」

「長くお経を読んでいると、気持ちが落ち着いてないと、お経を読んでる最中にお経を間違えてしまうんですね。そういうことを体験していくと、日常生活をもっと引き締めていかないといけないなという風に思い・・・それが本当に監督に役立っているのかな、という風には思います」

■最後に、上田さんから一言メッセージをもらった。

「これからもデフバスケットボールの普及を全力で行っていきます。その中でやっぱり大会に出場できるということを知らないかたがたが沢山いらっしゃり、その活躍できる機会がたくさん失われています。完全に聞こえない選手対象だけではなくて、やっぱり補聴器をつけると聞こえている選手もたくさんいますので。だから、その情報が少しでも多くのかたがたに伝わるようにご協力いただけたら、非常に嬉しく思いますので、そのご協力をよろしくお願い致します」

※放送内容は、上のYouTubeの再生ボタンを押すとお聴きになれます。
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次のゲスト予定

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満英選手は、1957年、鹿児島県生まれの59歳。10月29日に還暦を迎えます。JRAの調教助手として、海外のG1レースを勝ったシーキングザパールなど、数々の名馬の調教に携わりましたが、2005年、仕事中に脳卒中で倒れ、右半身まひなど重い後遺症が残りました。2007年にJRAを退職。その後パラ馬術を始めます。
満英選手は記憶障がいがあり、指定されたコースがよく覚えられないため、妻・裕美子さんが「コーラー」と呼ばれるガイド役を務め、声でコースを指示します。夫婦二人三脚で、昨年のリオパラリンピックにも出場。3年後の東京パラリンピックを目指しています。
インタビューも、満英選手の記憶を補うため夫婦一緒に受けられることが多く、今回は特別にお二人での出演となりました。リハビリを経て再び馬に乗ったときの喜び、夫婦で戦うことになった経緯、馬とのコミュニケーション、リオでの思い出、夫婦の絆、これからの夢…など、まるで夫婦漫才を聞いているような二人のお話を2週にわたってお楽しみください。

*11/3(金)は、祝日のため放送はお休みです。