• 2023年03月27日

    中村不折の愛が溢れる書道博物館

    東京国立博物館と書道博物館の共同で行われている企画展
    「王義之と蘭亭序」。

    私は今回、書道博物館に行ってきました。

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    今回の企画展は、書聖と呼ばれる東晋の書家・王義之と、その傑作・蘭亭序がテーマ。

    サントリー美術館で開催されていた「木米展」でも、
    蘭亭序を題材にした作品が展示されていることからも分かるように、
    東アジアの文人の世界に大きなインパクトを与えた作品です。

    王義之に至る三国時代も含む(!)書と、王義之のもの、
    さらに、王義之に影響を受けた作品の数々を、一望できます。

    特に、蘭亭序は、皆がこぞって真似をしたそうで、
    いろいろな人の蘭亭序を比べてみる、なんて楽しみ方も。

    皆が王義之の字に憧れ、神聖視するあまり、
    王義之の字を抜き出して本が作られたこともあったそうです。


    今回の企画展では、「王義之くん」を案内役に
    分かりやすい言葉で解説してくれています。
    私のような書になじみがない方にもおすすめです!


    三国志好きの方にぜひご覧いただきたいのが、国宝「世説新語」!!!
    曹操はじめ、三国時代の人々の逸話が集められた世説新語の、
    唐代の貴重な写本が観られます。



    王義之を中心に繋がる書の世界に浸った後、本館の常設展へ。

    私は初めて行ったのですが、常設展も、驚異的な充実ぶりでした!

    甲骨文、青銅器、爵、拓本など古代中国のものだけでなく、
    江戸時代の物も。

    おさんぽアートでよくご紹介する美術館は、
    財閥の流れを汲むものや、公的なものがほとんど。

    そんな中、書道博物館の収蔵品は、
    中村不折が個人的に収集したと聞いて驚きました。

    私も、三国志の本を集めていて、博物館にしたいという夢があるのですが、
    猛烈な努力と献身で、夢を叶えてしまったのが、中村不折!

    元々裕福なお家でもなく、奉公に出た幼年期を経て、
    画業で身を立てながら、書などの収集を続けたそうです。

    だんだん中村さんなら買ってくれると噂になり、持ち込みも増えたんだとか。

    現在も、「新宿中村屋」の看板文字や、清酒「日本盛」のラベル、
    夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』の挿絵や、
    島崎藤村『若菜集』などの装幀・挿絵でも目にする中村不折の作品。

    現在も残る作品の背景に、そんな物語があったと知り、
    中村不折さんへの尊敬と親しみが一気に膨らみました。

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    「王義之と蘭亭序」は、
    鶯谷の書道博物館で4月23日(日)まで開催中です。

    書に馴染みがない方も、
    時を超えて人を魅了する王義之の書、
    そして、書を愛した中村不折の情熱を、この機会にぜひご覧ください。

  • 2023年03月12日

    ルーヴルには愛がある❤

    春の暖かい陽射しに誘われて、
    六本木にある国立新美術館で開催中の「ルーブル美術館展 ―愛を描く―」を観てきました。

    PSX_20230309_160516.jpg LOUVREの綴りの中に、"LOVE″という言葉が入っているんですね。

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    ルーブル美術館から、今回は、美術史的な視点ではなく、
    「愛」というテーマで選ばれた作品が来日。

    PSX_20230309_160802.jpg 「愛」というテーマだと、似たような絵が多くなってしまうかと思いきや、
    様々なタイプの絵があり、とても見応えがありました!




    中でも、特に有名なフラゴナールの「かんぬき」は、1997年以来26年ぶりの来日。

    cj2mws.jpg その間に、「かんぬき」が描かれた時代の思想について研究が進み、
    絵の捉え方も変わってきたそうです。

    描かれている男女にも、室内の調度にも、
    ひとつの解釈におさまらない繊細なものを孕む作品です。

    ぜひ、人々の心を捉えてきた名作を、実際にご覧ください。



    西洋絵画を彩る様々な愛。

    PSX_20230309_190404.jpg 恋人たちの愛でも、幸せな結末もあれば、

    PSX_20230309_190722.jpg 死によってピリオドが打たれるものも。

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    キリスト教を信仰する人々の間では、
    神への愛も、身近な存在だったと感じます。

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    DSC_3233.JPG テーマごとに観ていくと、人の心の不思議さも考えさせられます。


    細かい視線に意味を見出したり、構図に引き込まれたり、
    描かれていないものが匂わされていたり。
    まずは眺めて、解説を読んで、存分に味わっていただきたいです。

    音声ガイドは、満島ひかりさんと、
    DeNAベイスターズファンとしてショウアップナイターに出てくださった
    声優の森川智之さんが担当しています。

    お二人のやりとりも楽しかったです!


    「ルーブル美術館展 ―愛を描く―」は、6月12日(月)まで、
    東京・六本木の国立新美術館で開催しています!

    詳しくは、ハートが散りばめられた展覧会のHPをご覧ください。



    また、「乃木坂46のオールナイトニッポン」の中で放送しているラジオドラマ、
    「監視員しおりは座らない」には、展示されている作品も登場します。

    展覧会とともに、ぜひお楽しみください。

  • 2023年02月18日

    豪華で愛らしいお雛さまが丸の内に

    ニッポン放送のご近所、明治生命館に去年お引越ししてきた、静嘉堂文庫美術館。

    2月18日から始まった
    「静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅲ
          お雛さま ―岩﨑小彌太邸へようこそ」に行ってきました。



    3月3日はひな祭り!

    我が家の子どもたちも、最近、園で習ってきたのか、
    「うれしいひなまつり」を口ずさんでいます。


    今回の展覧会は、タイトルに「岩﨑小彌太邸へようこそ」と入っているように、
    三菱第四代社長岩﨑小彌太の邸宅で飾られていたお雛さまを観ることができます。


    DSC_2940.JPG 小彌太が孝子夫人のために特別に作らせたという雛人形は、豪華絢爛!

    お人形の顔の生き生きとした愛らしさ、衣装の美しさは、ずっと眺めていても飽きません。

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    橘や桜を見ても、こんなにこんもりと生い茂らせるのかと驚きました。

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    そのほか、六本木鳥居坂にあった岩﨑小彌太邸を偲ばせる品々が並びます。

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    残された当時の写真に写っている、
    在りし日の邸宅を飾っていた美術品が目の前に。

    DSC_2932.JPG 瓦なども、小彌太邸の姿を想像する助けになってくれます。

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    DSC_2937.JPG さらに、岩崎小彌太の句も大きく掲げられ、様々な芸術を愛した姿が浮かび上がります。


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    岩崎小彌太夫妻の人柄に触れ、
    戦前の岩﨑小彌太邸に招かれた気分を味わえる
    「静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅲ
          お雛さま ―岩﨑小彌太邸へようこそ」は、
    丸の内に移った静嘉堂文庫美術館で、3月26日まで開催されています。

    春らしい気分を味わいに、ぜひお出かけください。

    日時指定予約制です。


    ※この記事に載っている写真は、
    静嘉堂文庫美術館の許可を得て撮影したものです。

  • 2023年02月06日

    ミュージックソンへの温かいお気持ち、ありがとうございました!

    「第48回 ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」への温かいお気持ちを、
    ありがとうございました。

    今年は、久し振りにお目にかかって直接募金をお預かりすることもできました。

    お出かけの途中、お買い物の帰りなどに、ニッポン放送に立ち寄ってくださった方、
    1年間貯めて、重たくなった小銭の瓶を持ってきてくださった方など、
    クリスマスに時間を縫って来てくださった皆さまのお話を伺えて嬉しかったです。


    去年の11月からの3か月間でお預かりした募金の総額は、
    8,641万3,880円になりました。

    コロナ禍、そして物価高の中にもかかわらず、
    たくさんのお気持ちをお寄せくださいまして、
    本当にありがとうございます。

    皆さまからお預かりした募金は、
    目の不自由な方が安心して街を歩くのに役立つ『音の出る信号機』の設置や、
    本を朗読した『声の図書』、『立体コピー機』などの視覚障害者用機器の整備に使われ、
    さらに、一部を医療従事者の皆さまの活動支援として寄付いたします。

    詳しくは、こちらの「ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」のページをご覧くださいませ。


  • 2023年02月04日

    フローラとファウナ

    今年のお正月にご紹介した東洋文庫ミュージアム

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    2月1日から企画展「フローラとファウナ 動植物誌の東西交流」が始まりました。

    PSX_20230204_153510.jpg フローラとファウナというのは、動物と植物を指す言葉なんだそうです。


    今年2023年は、シーボルトの来日から200年の節目の年!

    シーボルトが日本の動植物を描いた著作をはじめ、
    美しい動植物の図鑑・図譜が並びます。

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    さて、いきなりですが、私が一番気に入ったのが、『紅葉図譜』。

    DSC_2663.JPG 江戸時代に描かれたものなのですが、
    紅葉の葉の色の違いが、繊細に捉えられ、見事に表現されています。

    写真がぶれてしまっているので、ぜひ実物をご覧ください!

    当時の画材で、ここまで表現できること、
    そして、今こんなに美しい状態で観ることができることに感動しました。

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    DSC_2670.JPG 同じく江戸時代の『桜華八十図』『桜花聚品』も、
    白や薄ピンクの透けるような桜の花びらが美しく描かれています。


    動植物をじっくり観察し、そのまま描こうという姿勢は、洋の東西を問わなかったようです。

    PSX_20230204_154011.jpg バラ属 エレン・ウィルモット 1914年 ロンドン刊


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    DSC_2676.JPG 中国・日本・朝鮮の蝶類 ジョン・ヘンリー・リーチ 1892-94年 ロンドン刊

    日本のもの、西洋のもの、どれも、驚くべき精緻さを誇っています。


    東洋文庫の池山さんによれば、
    動植物を実物大で描こうとして、
    大きな本になったり、紙からはみ出すように描かれたりするようになったそうです。

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    今回ももちろん、東洋文庫ミュージアムおなじみの、個性的で楽しい解説は健在!

    DSC_2656.JPG 「この実、横断面がプロレスのマスクみたい...」というのは、
    観ている人が思う感想だと思うのですが、
    なぜかガラスケースの中に、既に書かれています(笑)


    動植物と向き合い、写し取り残すことに情熱を傾けた人々の息遣いを感じる
    「フローラとファウナ 動植物誌の東西交流」は、
    駒込の東洋文庫ミュージアムで5月14日(日)まで開催中です。

    これからの梅や桜の時期に、お隣の六義園と併せて訪問するのもおすすめです!

    なお、会期中には、ページ替えもあるそうですので、
    図鑑・図譜とのその時ならではの出会いをお楽しみください!

プロフィール

箱崎みどり

東京都生まれ。2011年ニッポン放送入社。 東京大学大学院修士課程修了(修士論文のテーマは「日中戦争期における「三国志」ブーム」) 趣味は、読書、プロ野球観戦、お笑いを見ること。特技は遠泳。


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