2022年11月23日

「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」

上野の森美術館で、11月22日から開催されている
「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」を観てきました!

DSC_1962.jpg 「兵馬俑」と聞くと、秦の始皇帝の兵馬俑を思い浮かべる方が多いと思います。

秦の始皇帝は、兵馬俑を、等身大に近い大きさで写実的に作らせ、
8000体を自らと共に埋葬したと言われています。

兵馬俑が1974年に発見されてから、発掘されたのは1600体。
まだまだ多くの兵馬俑が眠っているのですね。

DSC_1978.jpg

監修の学習院大学名誉教授・鶴間和幸先生のお話を伺って驚いたのは、
1体1体の個性が光る兵馬俑8000体が、
2、3か月という短い間に、一気に作られただろうということ。

たくさんの人が従事して、分業して作業を行うことで、
万里の長城もそうですが、壮大な事業を成し遂げていたんだそうです。

DSC_1987.jpg 戦服将軍俑 統一秦

今回の展覧会では、始皇帝の兵馬俑の中から、
11体しか確認されていないという将軍俑のうち一体が、初めて日本にやってきます!
(鶴間和幸先生お気に入りの顔つきだそうです。)

さらに、秦の始皇帝の兵馬俑を中心に、
その前後の時代の兵馬俑も一緒に展示されています。


兵馬俑を並べてみると、大きさや特徴が、
秦の前後と、始皇帝の兵馬俑では大きく異なることが、よく分かります。

等身大だったのは、始皇帝の兵馬俑だけで、
前後の時代の兵士俑は、両手で抱えられそうな大きさです。

DSCyou.jpg 彩色騎馬俑 前漢

さらに、違いが鮮明なのは、始皇帝の兵馬俑が持つ、写実性。
中央アジアやギリシャの文化の影響を受けたと考えられています。

展示室で間近に対峙すると、1体1体顔が違い、
街を実際に行き交っていた様や、仕事ぶりや性格までもが伝わるような、
驚異的なリアリティを感じます。

DSC_1982.jpg 立射武士俑 統一秦



DSC_1984.jpg 鎧甲軍吏俑 統一秦

息遣いが感じられるような写実性が見られるのは、始皇帝の兵馬俑だけで、
展示されている前後の時代の兵馬俑からは、
顔立ちの違いや、肉体をリアルに再現したものがあるものの、
一人一人の個性が見いだせるほどのディテールは読み取れません。


その理由の一つとして、鶴間先生は、文化の違いを挙げています。

広大な中国大陸。
統一された時代には、支配者の出身地の文化が主流になるのですね。


そんな中、私が気になったのは、動物たち。
人物俑はリアリティを失っていくのですが、動物たちは生き生きと描写されています。

秦に続く漢代、武帝が姉に贈ったという「鎏金青銅馬(りゅうきんせいどうば)」。
始皇帝の兵馬俑の「戦車馬」に似ているように思いました。

DSC_1968.jpg 鎏金青銅馬 漢



DSC_1996.jpg

DSC_1997.jpg 戦馬俑 統一秦

DSC_1972.jpg 陶犬 漢

犬たちも愛らしい姿です。


想像上の動物だと思われる一角獣は、大きな目をしていますが、
口元の犬歯を剝きだした造形は小さいながら迫力満点。

DSC_1963.jpg

DSC_1965.jpg 彩色一角双耳獣 漢

動物たちを傭にする時には、人物像以上の愛情が感じられるように感じました。


実際に間近で対峙することで、佇まいを味わうこともできますし、
角度を変えて観ることもできます。

「兵馬俑と古代中国」は、上野の森美術館で、来年2月5日まで開催されています。

日時指定予約制ですので、予定を立ててお出かけください!

プロフィール

箱崎みどり

東京都生まれ。2011年ニッポン放送入社。 東京大学大学院修士課程修了(修士論文のテーマは「日中戦争期における「三国志」ブーム」) 趣味は、読書、プロ野球観戦、お笑いを見ること。特技は遠泳。


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