あなたのご自宅は「表札」を出していますか?
街を歩いていると、ご自宅や会社の名前が書いてある「表札」を目にします。名前がプレートに印字されている表札や、大理石に名前がしっかり彫られている重々しい表札など。先日、ある住宅街を歩いていたら「宮崎さん」というお宅がありまして、その隣が「石川さん」、その隣が「山口さん」でした。「あ~この通りは都道府県の県名が3軒並んでいるのだなー」なんて思ったのですけど、そんな「表札」の歴史は意外と浅いのです。そもそも庶民が苗字を持つようになったのは明治4年。その年に戸籍法が制定されて、それと同時に郵便制度が始まって、住所と名前によって郵便物が届けられるようになりました。そして「表札」がぽつぽつと掲げられるようになってきたのですが、一気に広まるきっかけが大正12年に起こった関東大震災。
多くの家屋が倒壊、街は壊滅的な状態に。誰がどこに移転したのかわかるようにと「表札」が多くの人に使われるようになったのです。
今回はそんな「表札」にも利用できるちょっとユニークなものをピックアップ!兵庫県姫路市にある「積誠庵」という機械修理や金属加工を手がける町工場がありまして、そこの工場が「表札」などにも使える「ツインオブジェ」と呼ばれるものを製作し注目されているのです。
「ツインオブジェ」…一体どんなものなのでしょうか?
晴の輔 森さんが作られた「表札」にも使える「ツインオブジェ」とは、具体的にどんなものなのですか?
森「ツインオブジェは、左斜め前から見える文字と、右斜め前から見える文字が違って見えるように作製した、オーダーメイドの金属オブジェです。」
晴の輔 見る角度によって別の文字に見えるってことは
森「はいそうなります。右から見ると晴の輔さんと見えて、左から見ると『談志師匠』と見えるように作っております。」
晴の輔 (笑)相当緻密な計算が必要!
森「はい、御覧頂いた方からは『アートだね』とよく言われます。」
晴の輔 なるほど!どのような場面で使われているのでしょう。
森「結婚式のウエルカムボードとして新郎新婦のお名前を彫らせて頂いたり、会社の名前とキャッチフレーズを掘って受付に置いていただいたりしております。」
晴の輔 反響はいかがですか?
森「このオブジェは2方向から見ないと意味が無いので、パッと見は何だかよく分かりません。でも、2面性に気付いていただけたらほぼ全ての方に驚いていただいています。『こんなもの見たこと無い』とよく言われます。」
晴の輔 感動するでしょうね
森「そういう方が結構いらっしゃいますので嬉しくなります。」
森「工程としては、最初にお客様から文字をお伺いします。アルファベットと数字の組み合わせで文字数が同じことが条件になります。次に、コンピューターのCADというものでプログラムを作ります。プログラムは1文字だいたい数万行から百数十万行のボリュームになります。次に機械で1ブロック2日から長いもので1週間かけて彫っていきます。最後に手仕上げて磨いたり、調整したり、台座に接着したりします。文字数によりますが、2~3週間かけて作っています。」
晴の輔 職人技!
森「そう感じていただければありがたいなと思っております。」
晴の輔 町の工場からユニークな発想と商品が生まれることは「ものづくりの楽しさ」が最大限に発揮され素晴らしいことだと思います。
森「私自身はものづくりに関しては素人なのです。工業高校も出ていないし、この道何十年のベテラン加工士でもありません。5年前まではネジを回す方向が分かりませんでした。」
森「全くそんなことは無くて、この『ツインオブジェ』に関しましては『素人だから常識破りのオブジェを作ろうと』したのではと、今振り返ってみて思いました。」
晴の輔 熟練した職人さんだったらそのイメージが湧いても「これは相当時間かかるからやめよう」となるのですね?
森「そうなりますね。でも怖いもの知らずで始めたことが出来ちゃったのだと思います。」
森「かなり先の目標になるのですが、子どもたちが遊びながら自然と『ものづくりの現場』を見られるような工場を建てたいと思っています。危険な作業もありますので『ガラス越しからいつでも見られる』ようになれば、ものづくりに興味を持って出る子どもが増えるのではと考えています。」
晴の輔 ツインオブジェで子でも達をまず驚かせたいですよね。
森「小学生でも驚いて分かるようなものであれば興味が出ると思います。そんな子どもたちが増えたらいいなと感じています。」
「どっちだ!?晴の輔」
毎週スタッフから二者択一のお題が出ます。私がそれを選ぶというコーナーです。
晴の輔さんが、表札にも使えるツインオブジェを作るなら・・・
「本名で作ってもらう」
それとも
「芸名で作ってもらう」
どっちだ!?晴の輔
ん~、これツインだから本名と芸名で作ってもらえればね…でも選ぶなら…え~、じゃあ…決めました!
「芸名で作ってもらう」
今日は「兵庫県姫路市の町工場で生まれた表札にも使えるちょっと不思議なオブジェとは?」というトピックスでお届けしました。見る角度によって別の文字に見える金属のツインオブジェ!こういうものを時間かけて作っている町工場の姿を、もっと皆さんに知ってもらいたいと思いました。
そんな「積誠庵のツインオブジェ」に
それでは、次回もお会いしましょう。立川晴の輔でした。
-WEB版こぼれ話し1-
晴の輔 そもそもこのツインオブジェを作るアイディアはどこから?
森「コロナ禍で人と人との距離が離れて、ソーシャルディスタンスが大切と言われるようになりました。それが大切なのは分かりますが、何だか寂しい気がしました。私は金属加工をしていますので、金属加工で何か人と人との繋がりが表現出来るものを作れないかなと考えていた時に、美術の本で見る角度が違って見える物体がありました。これなら作れそうと思うと同時に、人と人の名前をくっつけたら面白いのではないかと思ったのがアイディアの始まりです。」
晴の輔 名前は皆、持っているものですからね。
-WEB版こぼれ話し2-
晴の輔 森さんが「ものづくり」を通じて大切にしていることは何でしょう?
森「日本のため、人のために役立つものを作りたいと思っています。それが便利なものだったり、感動できるものだったり、美味しいものだったり、形は色々あると思います。製品の種類としては、オーダーメイドにこだわってものづくりをしています。今の社会は大量生産、大量消費の社会になっていると思います。便利ではありますが、使い捨てにされる物もかなり多くなっていると感じております。でもオーダーメイドですと、自分だけのもので他に無いものであれば大切に飾ったり、毎日見てニヤニヤしたりして、長く大切に使おうと思うと思います。そのようなものを作りたいので、お客様お一人お一人のためにオーダーメイドで作ることを心がけています。」
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